『家族魔法』によって現れた少女に夫扱いされてる

リオロ

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夫ことレッカ転送されました

戸惑いの魔法ライトニングflying

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「ここはどこですか……答えてください。プレアさん」
辺りを見渡すが私にはここがどこだか理解ができない。
本棚にたくさんの本が並び、床はガラクタだらけの部屋ということだけは理解できた。
「プレアで良いぞ!レッカよ。ここはプレア様とレッカの愛の巣♪」
その少女はわざとらしく、下手糞な誘惑をした。
「真面目に答えてください」

「こ、答える! 答える! 私の夫になると同意したではないか。だから転移した」
プレアは妄言を吐きながら慌てて用紙を突き出した。

霧雨烈火はプレアの夫となり辛いときも嬉しいときもどんな時も分かち合うことを誓います。

ナンダコレ。
「というわけだ。理解してもらえたかな?我が夫よ」
「いえ、これは詐欺です」
そう詐欺、もしくは悪質かつ巧妙なドッキリである。
「そんなこと言って~、う、れ、し、い、ん、だ、ろ、う?」
「黙ってください」
いや、確かに可愛いですよ、ですが私は21歳、彼女はどう見ても13か14。
これでは私はロリコンです。
画面の中なら許される性癖ですが、現実?なら許されません。
まぁ幻術の可能性すらありますが…………。
「ちなみにプレア様は22歳だ。レッカは21だからな、年上だぞ」
意味が分からない、体格が明らかに22歳のソレではない。
もう一度彼女を足から頭の天辺まで見ていく。
幼い肢体、全体的にキュッとした身体、童顔、翠の大きな瞳、栗色のウェーブロング。
身長もよくて中学生程度。
「嘘ですよね? というよりどうやって年齢を!? しかも考えていること当てた!?」
私の発言に満足したのか自慢気な笑みを浮かべるとピラリと下の服をめくり露骨に誘惑した。
「キスしてくれたら~。教えてあげようかなーなんてエヘヘ……わかった言う。その無言の圧力をやめろ、いえ止めてください」
ったく。さっさと上下関係を理解してほしいものです。
それに下手な誘惑は好きではない、照れてくれる方がいい。
「家族魔法に使うこの本! 魔道書っていうのだがな!持つだけで隠している秘密などもわかるぞぉ。スケベさん♪ぱそこんとかいう物にエッチィ画像を溜め込んでいたな。467枚」
本物だ……本物の魔法使いだ。
40桁パスワードを通らないと見れないはずの秘蔵フォルダがバレている……。
ということはあの画像の内容が全て筒抜け。
「にしてもお前。女の人をこういう目で見てたのか……というより絵の画像が多いな。特に茶髪の子。もしかして今、プレア様……私も脳内であんなことやそんなことになってるのか?」
そんな質問を涙目で紅潮しながら聞かないで欲しい。
ちなみに答えはノーだ。
まだなっていない。
「ふふっ。とりあえずは信じたようだな。ちなみにここの家はお前の住む世界とは違う世界にある」
それは果たして『ちなみに』で伝えるレベルの内容なのだろうか。
どおりで見たこともないガラクタがあるわけだ。
目玉とか、剣とか、恐竜?の頭蓋骨などだ。
「そんなことより部屋汚くないですか?」
「おぉっと。触るなよ。これは魔法の触媒に使う大切な宝の山だからな。ダーリンの部屋はこの部屋を出て右に用意したぞ♪」
急にダーリンと呼ばないで欲しい。
気持ち悪いわけではないが、可愛いのだが鳥肌が立つ。
それと触媒とはなんだろうか。
「なぁ、レッカよ。ところで夫婦ってなにすればいいのだ?聞ける人がレッカ、貴様しかいないのだ……やはり夫婦はその……アレとかするのか?」
アレ?アレとはなんだろうか。
私には残念ながら分からない。
しかし唯一分かることは、
「まだ夕食食べてないのでお腹空きました。調理するところあります?あと野菜とか」
「バカアアアアアアアアアアア!!」
彼女の繰り出した握り拳がこちらへと向かう。
最初の二回は不意討ちだったが三回目は違ういます。
私はそれを凝視しながら身体の重心をなんか、こう、クッとして回避した。
つもりだった。
「電撃魔法 ライトニング!!」
「はい?」
次の瞬間、彼女の腕から紫電が見え、私の身体はガラクタの海へとダイブしていた。
魔法か……そういえば26歳まで童貞を守りきると魔法が使え――――。
私の意識はflyingしていった。
………………。
「ん?」
「お、愚か者。ようやく目覚めたか。そ、その……ちょっち強すぎたな。すまん。詫びと言ってはなんだがその、料理作っといたぞ」
手足をモジモジさせウルウルとした瞳をこちらに向ける。
栗色の髪と相まって一見すると内気な少女のだ。
まぁ実際は生意気な外見少女なのだが、わかっていたのですがね、はい。
可愛いですよ、日本文化を身体で表現してますよ、明らかに、そう、萌えです。
「どうした? 見惚れてないで早く来い」
腹立つな、でもせっかく作ってくれたわけだしいただきますか。
「その料理はどこに置いたのですか?」
「あぁ、ついでに私たちの素晴らしい家を紹介しよう、まず書斎を出て――――」
そう言って私たちは書斎を出る、真っ直ぐ伸びた廊下に部屋が4つ、下への階段一つ。
ここまではふつう、というより異世界感ゼロである、まるで現代日本の家だ。
「紹介しよう、左側の二つの部屋は倉庫だ」
そしてなんだろう、この予想斜め下な残念なクオリティは。
「それでぇ~♪こ、こ、の、部屋が!我々の部屋だ」
プレアがドアを開けた。
一見すると普通だ、ドレッサー、クローゼット、テレビ……テレビ?
よくよく考えたら異世界とか言ってたはずだ、書斎はまぁファンタジーだったが廊下、そしてこの部屋……うわ、ベットダブルじゃん。
ってそうではない、なぜか現代ちっくだ。
テレビあるし。
「あの……プレアさん。本当に異世界、別世界なのですか?見覚えあるものが――――」
「あぁ、何回か世界移動してショッピングしてたからな、支払いしてないけど」
滅茶苦茶だ。
「プレアさん、お互いプライバシーがあるでしょう。私の部屋を作ってください」
「夫婦は秘密などないものだ」
「では私があなたの薄い本をあなたの目の前で書いていいわけですね。私、絵上手いんですよ。どういうジャンルがいいですか?**か***か**、いや*****も良いですね」
「ごめんにゃさい……今部屋作ります。少し離れて……拡張座標の確認、物体移動魔法 スペース!!」
あんまり魔法っぽくない魔法を涙目でプレアは唱えた。
すると廊下に一つドアが増えた。
どういう仕組みなのか。謎が謎を呼ぶミステリー。
「こ、ここがお前の部屋だ。その本書くよりプレア様をだな……」
「なんですか? ごにょごにょ言って、聞こえませんよ。大きな声でハッキリと言ってください」
「何でもない!!」
「……そうですか」
ともかく自分の部屋を確認しなけれ……ば……。
ドアを開けると壁が大破した私の部屋がありました。
景色はよかったです、だだっ広い夜の草原が異世界だと理解させてくれました。
でもね、風通しが良すぎませんか?

これ。
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