底辺冒険者、ギルドを辞めて最強鬼畜魔神(美少女)とキャンピングカーで旅に出る

一本坂苺麿

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19話 アイトさん、気にせず登りきりましょう!

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 翌日。
 僕らは古代樹を登り始めた。
 山脈の尾根のような大樹の根をキャンピングカーが走り抜ける。

「す、すごいね。こんなところまで走ることができるなんて」
「特別性ですからね。こんなところもへっちゃらですよ!」

 ナナさんは胸を張って言った。

「まぁ、あの幹からは流石に無理ですけどね」

 彼女は前方を指差して言った。
 その先には、巨大な壁のように広く大きい古代樹の幹が鎮座していた。
 幹は遥か上空まで伸びており、厚く暗い雲を突き抜けている。

 いよいよ古代樹に登れるんだ!

 ◆

 幹の側に到着した。
 幹には螺旋状に階段が設置してある。これで樹の頂上まで登ることができるらしい。

「さて、ここからは……徒歩ですか?」

 ナナさんは恐る恐るといった様子で尋ねてきた。

「うん、じっくりと見て回りたくてさ。ダメかな?」

 確かに、この樹を登っていくのはもはや登山だろう。
 だけど、僕はこの樹を歩いて登ってみたかった。

「いえ、そんなことはないですよ。必要な道具はボックスディメンションで取り出せますからね」

 そう言うとナナさんは頭上の幹を見上げた。

「それにしても、頭にくるぐらい大きいですねー。いっそ蹴り倒したくなりますわ……あ、あは、もちらん冗談ですけど!」

 慌ててそう言うナナさんだけど、彼女ならホントにやりかねないなと思う。

 ◆

 僕らは階段を登り出した。
 そこまで急じゃないので序盤は平気だった。
 しかし、上に上に行くにつれてキツくなってきた。

「アイトさーん、ちょっとあそこで休憩しませんかぁ?」

 ナナさんが少し登った先にある広場のような場所を指して言う。

「う、うん。そうだね」

 僕も彼女の提案に賛成した。
 階段を登り切った僕らは、広場のようなところに着いた。
 外側には手摺りが付いていて、展望台のような所だとに思える。
 僕は疲れも忘れて手摺りに駆け寄った。

「うわ、すごいやナナさん。まだ半分くらいなのにこんなに高い!」

 眼下には昨日立ち寄った廃墟の街が広がっている。
 それがまるで小さなオモチャに見えてしまうのだから、自分たちがどれだけ登ったのか良くわかる。
 ナナさんが昨日吹き飛ばしてしまったエリアも良く見えた。それは僕が想像していたよりもかなりエグい惨状だった。取り敢えず、気にしないことにする。

「すごいね、ナナさん――」

 そう話かけてみると、彼女はジッと廃墟の街を見下ろしていた。

「ど、どうしたのナナさん?」
「うーん、どうやら面倒な連中が来たみたいですね」
「え!?」

 僕は街に目を凝らしたが、誰も見つけることができなかった。

「どんな人たちかわかる?」

 そう問いかけると、ナナさんはコクリと頷いた。

「小賢しいことに気配を消そうとしていますからね。おそらく、魔術師たちでしょう」

 魔術師……

「この樹にも、きっと来るよね?」
「でしょうね。けど、わらわたちは気にせず登りましょう」
「え、いいの?」

 ナナさんのことだから、面倒を避ける為にさっさと降りてしまうモノと思っていたのに。

「あんな連中のことなんて気にせず登り切りましょう」

 ナナさんはニッコリと笑ってそう言った。
 彼女がそう言ってくれるのなら、僕としてもこの樹を登り切りたい。
 謎の魔術師たちのことは気になるけれどね。

「ただ、どうにも……」

 ナナさんは何かを言いかけたが、途中でやめてしまった。
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