33 / 67
33話 アイトさん、コイツこそが第一の魔神です
しおりを挟む
僕たちはしばらくウーゼンでのんびり過ごした。
色んな効能の温泉があるらしく、飽きることがない。
それと魔術の練習も行っていた。
この数日で僕はボックス・ディメンションを使えるようになっていた。
そんなある日。
僕らの前に魔導技士イルヴァーナと魔神シシーが現れた。
「人がせっかく寛いでいるって言うのに、ホント間の悪い連中ですね」
ナナさんがうんざりした様子で言う。
「まぁ、そう言うな。私たちは君たちと戦うつもりはないよ」
イルヴァーナは苦笑いを浮かべている。
彼女とシシー以外は誰もいない。他の魔導技士は来ていないようだ。
「ただ君たちに王都に来てもらいたいだけなんだ。晩餐会の招待客として」
「え、僕らが晩餐会に?」
「そうだ。イシュー王子が君たちにお会いしたいらしい」
なんで王子が僕らに会いたがるのだろう?
ナナさんの方を見ると彼女も困惑している。
「ナナ、ミミから聞いたと思いますがこれはイースの意思ですわ」
シシーがナナさんに向かって囁くように言った。
イース。
ミミと初めて会った時にもその名前を聞いた。
ナナさんはやれやれと頭を振る。
「アイトさん、すみませんがここは従った方が面倒なことにならなくて済みそうなんです」
「うん、僕は構わないよ」
ナナさんが素直に従うことが意外だった。
イースというのは何者なのだろう?
「感謝するよ。私はてっきり拒絶されるものと思っていた」
イルヴァーナもナナさんの態度が意外だったようだ。
「早速、出発と行きたいところだが……」
イルヴァーナはシシーの方を見やる。
「もちろん、温泉に入りますわ」
「ということなんだ。すまないがもう少しここでゆっくりさせてくれないか?」
どうやらイルヴァーナたちも温泉の魅力には逆らえないようだった。
◆
王都は国の中心部にある。
南にはオーロラ平原が広がっている。そこは立ち入りが制限されているらしく、一部の者たちしか入れないらしい。
その平原を横目に見遣りながら僕らは王都へと入っていく。
さすがに王都の中でキャンピングカーは目立つので、街中は用意されていた馬で向かう。
王都はこれまで訪れたどんな街よりも広く栄えていた。僕が見たこともないような食べ物や道具がたくさんあった。
僕はワクワクしながら見回していたが、ナナさんは興味がなさそうだった。ミミは馬に跨ったまま眠っている。器用なモノだ。
しばらく街中を進むと、目の前に大きな宮殿が現れた。ウンディーネの水の宮殿よりも荘厳で立派な造りだった。
ここに王族たちが住んでいるんだ。まさか自分がこの宮殿に招待される日が来るなんて思わなかった。
僕らは宮殿の門を通って中に入った。
馬から降り、宮殿内の通路を進む。門番や他の兵士たちとすれ違ったが、みんな僕らのことを奇異な目で見てきた。
その度に「勝手に見るな」とナナさんが怒るので僕は内心ハラハラしていた。
「ここだ」
イルヴァーナが豪華な造りの扉の前に立つ。
開け放たれた扉から中に入ると、美しい調度品に囲まれた部屋の中央に一人の青年が立っていた。
立派な衣服を身に纏っている。間違いない。彼がイシュー・アナフィリア王子だ。眼を引くのは、雪のように真っ白な髪だ。
「王子、彼らが魔神とその開放者です」
イルヴァーナに紹介された僕は王子の前に膝を突く。しかし、ナナさんは立ったまま王子を睨みつけている。
「久しぶりだね、ナナ」
微笑を浮かべて王子は言った。
僕は思わずナナさんを見上げた。
「え、ナナさん、王子と知り合いだったの?」
「知り合いも何もアイトさん……」
ナナさんは王子に指を突きつける。
「コイツこそが第一の魔神イースですよ」
色んな効能の温泉があるらしく、飽きることがない。
それと魔術の練習も行っていた。
この数日で僕はボックス・ディメンションを使えるようになっていた。
そんなある日。
僕らの前に魔導技士イルヴァーナと魔神シシーが現れた。
「人がせっかく寛いでいるって言うのに、ホント間の悪い連中ですね」
ナナさんがうんざりした様子で言う。
「まぁ、そう言うな。私たちは君たちと戦うつもりはないよ」
イルヴァーナは苦笑いを浮かべている。
彼女とシシー以外は誰もいない。他の魔導技士は来ていないようだ。
「ただ君たちに王都に来てもらいたいだけなんだ。晩餐会の招待客として」
「え、僕らが晩餐会に?」
「そうだ。イシュー王子が君たちにお会いしたいらしい」
なんで王子が僕らに会いたがるのだろう?
ナナさんの方を見ると彼女も困惑している。
「ナナ、ミミから聞いたと思いますがこれはイースの意思ですわ」
シシーがナナさんに向かって囁くように言った。
イース。
ミミと初めて会った時にもその名前を聞いた。
ナナさんはやれやれと頭を振る。
「アイトさん、すみませんがここは従った方が面倒なことにならなくて済みそうなんです」
「うん、僕は構わないよ」
ナナさんが素直に従うことが意外だった。
イースというのは何者なのだろう?
「感謝するよ。私はてっきり拒絶されるものと思っていた」
イルヴァーナもナナさんの態度が意外だったようだ。
「早速、出発と行きたいところだが……」
イルヴァーナはシシーの方を見やる。
「もちろん、温泉に入りますわ」
「ということなんだ。すまないがもう少しここでゆっくりさせてくれないか?」
どうやらイルヴァーナたちも温泉の魅力には逆らえないようだった。
◆
王都は国の中心部にある。
南にはオーロラ平原が広がっている。そこは立ち入りが制限されているらしく、一部の者たちしか入れないらしい。
その平原を横目に見遣りながら僕らは王都へと入っていく。
さすがに王都の中でキャンピングカーは目立つので、街中は用意されていた馬で向かう。
王都はこれまで訪れたどんな街よりも広く栄えていた。僕が見たこともないような食べ物や道具がたくさんあった。
僕はワクワクしながら見回していたが、ナナさんは興味がなさそうだった。ミミは馬に跨ったまま眠っている。器用なモノだ。
しばらく街中を進むと、目の前に大きな宮殿が現れた。ウンディーネの水の宮殿よりも荘厳で立派な造りだった。
ここに王族たちが住んでいるんだ。まさか自分がこの宮殿に招待される日が来るなんて思わなかった。
僕らは宮殿の門を通って中に入った。
馬から降り、宮殿内の通路を進む。門番や他の兵士たちとすれ違ったが、みんな僕らのことを奇異な目で見てきた。
その度に「勝手に見るな」とナナさんが怒るので僕は内心ハラハラしていた。
「ここだ」
イルヴァーナが豪華な造りの扉の前に立つ。
開け放たれた扉から中に入ると、美しい調度品に囲まれた部屋の中央に一人の青年が立っていた。
立派な衣服を身に纏っている。間違いない。彼がイシュー・アナフィリア王子だ。眼を引くのは、雪のように真っ白な髪だ。
「王子、彼らが魔神とその開放者です」
イルヴァーナに紹介された僕は王子の前に膝を突く。しかし、ナナさんは立ったまま王子を睨みつけている。
「久しぶりだね、ナナ」
微笑を浮かべて王子は言った。
僕は思わずナナさんを見上げた。
「え、ナナさん、王子と知り合いだったの?」
「知り合いも何もアイトさん……」
ナナさんは王子に指を突きつける。
「コイツこそが第一の魔神イースですよ」
0
あなたにおすすめの小説
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる