34 / 67
34話 アイトさん、魔神の使命なんてクソです
しおりを挟む
「第一の魔神イース?」
「どういうことだ!?」
僕とイルヴァーナの疑問が重なる。
どうやら彼女もイースのことは初耳だったらしい。
「イシュー王子は確かに人間だったはず……」
「肉体は確かに人間のモノよ」
混乱している僕らにシシーが説明する。
「だけど、精神は魔神イースなのよ」
「要するに、この野郎は他者の肉体を奪い取っているんですよ」
ナナさんが吐き捨てるように言う。
「奪い取っているとは人聞きが悪いな。私は正当な儀式によって献上された肉体を使っているだけだよ」
イシュー王子、いや魔神イースが気分を害した様子もなく言う。
「献上? 国王陛下はこの事を了承しているのか?」
イルヴァーナが問いただす。
彼女もイースに対して警戒心を抱いているらしい。
「当然だよ。王族はみな私のことを知っている。このイシューも自分の役割を理解していたさ」
王子の肉体の献上。
それがイースが解放される為に必要なこと?
どうやら、魔神ごとに解放条件は違うらしい。
「私のことはいいさ。それよりもナナ。君には困ったよ。全ての魔神が解放される前に王狩りを始めてしまうなんてね」
イースの言葉にナナさんは鼻を鳴らす。
「お前の都合なんて知ったことじゃない。わらわはただ、このアイトさんと共に自由を満喫したいだけ」
「果たして今のこの国で自由を満喫できるかな?」
一体2人は何の話をしているのだろう?
ついていけない。
「すみません。王狩りって何のことですか?」
僕の問いかけに答えてくれたのはイースだ。
「百年王を倒すことさ。四体の内、三体は既に君たちが倒してしまったけどね」
後一体百年王がいるんだ。
「ナナの開放者くん、そもそもなんで百年王なんてモノたちがこの国にいると思う?」
「えと、彼らは……妖精を封印するためとか」
僕の答えにイースは頷く。
「その通りだ。妖精の発する魔力を封じる為なんだよ。では、誰が百年王に妖精たちを封印させたと思う?」
え? 誰が封印させたか?
僕は考えたが、さっぱりわからない。
「すいません。検討もつかないです」
「それが普通さ。魔神だけが知っている。この国の自由を縛り付けている存在。彼らは天上に住まう者」
イースは指を上に差し上げる。
それは遥か彼方の上空を指し示しているようだ。
「私は彼らのことを天使と呼んでいる」
「天使?」
天に住まう者。
空には鳥人が住んでいると聞いたことがあるけれど、それとはまた別の存在らしい。
「私たち魔神は千年前から天使たちと戦い続けてきた。しかし、勝てたことはない。奴らが創り出した千年王のせいでね」
また新しい者が登場してきた。百年どころか千年だって?
それも魔神たちがソイツに負けるだなんて、想像できない。
「千年王こそがこの国の呪縛の元凶だ。ヤツは四体の百年王が倒された時、いや、正確に言えば、この国の総魔力量がある一定のラインを超えた時に目覚めるようになっている」
イースは淡々と話を続ける。
「私達は何度も王狩りで百年王たちを倒し、千年王を滅ぼそうとした。だがヤツには勝てず、その度に封印され、そして新たな百年王が配置されるってわけさ」
ちょっと僕には想像できない話だ。
千年王との戦いを彼ら魔神はこれまで何回も繰り返して来たってことだろ?
「千年王を倒してこの国を呪縛から解放すること。それが私たち魔神の使命なんだよ」
イースはため息を吐く。
「今回で11回目だ。万全な状態で挑むため、7人の魔神全てが解放されてから百年王たちを倒して回るつもりだった。それを君たちがさっさと倒してしまったってわけさ」
「どういうことだ!?」
僕とイルヴァーナの疑問が重なる。
どうやら彼女もイースのことは初耳だったらしい。
「イシュー王子は確かに人間だったはず……」
「肉体は確かに人間のモノよ」
混乱している僕らにシシーが説明する。
「だけど、精神は魔神イースなのよ」
「要するに、この野郎は他者の肉体を奪い取っているんですよ」
ナナさんが吐き捨てるように言う。
「奪い取っているとは人聞きが悪いな。私は正当な儀式によって献上された肉体を使っているだけだよ」
イシュー王子、いや魔神イースが気分を害した様子もなく言う。
「献上? 国王陛下はこの事を了承しているのか?」
イルヴァーナが問いただす。
彼女もイースに対して警戒心を抱いているらしい。
「当然だよ。王族はみな私のことを知っている。このイシューも自分の役割を理解していたさ」
王子の肉体の献上。
それがイースが解放される為に必要なこと?
どうやら、魔神ごとに解放条件は違うらしい。
「私のことはいいさ。それよりもナナ。君には困ったよ。全ての魔神が解放される前に王狩りを始めてしまうなんてね」
イースの言葉にナナさんは鼻を鳴らす。
「お前の都合なんて知ったことじゃない。わらわはただ、このアイトさんと共に自由を満喫したいだけ」
「果たして今のこの国で自由を満喫できるかな?」
一体2人は何の話をしているのだろう?
ついていけない。
「すみません。王狩りって何のことですか?」
僕の問いかけに答えてくれたのはイースだ。
「百年王を倒すことさ。四体の内、三体は既に君たちが倒してしまったけどね」
後一体百年王がいるんだ。
「ナナの開放者くん、そもそもなんで百年王なんてモノたちがこの国にいると思う?」
「えと、彼らは……妖精を封印するためとか」
僕の答えにイースは頷く。
「その通りだ。妖精の発する魔力を封じる為なんだよ。では、誰が百年王に妖精たちを封印させたと思う?」
え? 誰が封印させたか?
僕は考えたが、さっぱりわからない。
「すいません。検討もつかないです」
「それが普通さ。魔神だけが知っている。この国の自由を縛り付けている存在。彼らは天上に住まう者」
イースは指を上に差し上げる。
それは遥か彼方の上空を指し示しているようだ。
「私は彼らのことを天使と呼んでいる」
「天使?」
天に住まう者。
空には鳥人が住んでいると聞いたことがあるけれど、それとはまた別の存在らしい。
「私たち魔神は千年前から天使たちと戦い続けてきた。しかし、勝てたことはない。奴らが創り出した千年王のせいでね」
また新しい者が登場してきた。百年どころか千年だって?
それも魔神たちがソイツに負けるだなんて、想像できない。
「千年王こそがこの国の呪縛の元凶だ。ヤツは四体の百年王が倒された時、いや、正確に言えば、この国の総魔力量がある一定のラインを超えた時に目覚めるようになっている」
イースは淡々と話を続ける。
「私達は何度も王狩りで百年王たちを倒し、千年王を滅ぼそうとした。だがヤツには勝てず、その度に封印され、そして新たな百年王が配置されるってわけさ」
ちょっと僕には想像できない話だ。
千年王との戦いを彼ら魔神はこれまで何回も繰り返して来たってことだろ?
「千年王を倒してこの国を呪縛から解放すること。それが私たち魔神の使命なんだよ」
イースはため息を吐く。
「今回で11回目だ。万全な状態で挑むため、7人の魔神全てが解放されてから百年王たちを倒して回るつもりだった。それを君たちがさっさと倒してしまったってわけさ」
0
あなたにおすすめの小説
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる