底辺冒険者、ギルドを辞めて最強鬼畜魔神(美少女)とキャンピングカーで旅に出る

一本坂苺麿

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60話 VSニニアリア

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 準備を終えた僕らはミミのデーモン・ディメンションからオーロラ平原に戻ってきた。

 しかし、平原の様子は先程までと様変わりしていた。

「な、何だこれは!?」

 隣のイルヴァーナが声を上げる。
 彼女の視線の先には異常に発達した植物があたり一面生い茂っている。
 しかもその植物は動物のように草や蔓を動かして千年王との戦いで負傷した者たちに襲いかかっている。

「デーモン・ディメンションの中では時間の経過はあまりないって話だったはずだ」

 イルヴァーナは魔剣で植物を薙ぎ払う。

「ごく短時間でイースの影響を受けているってこと?」

 僕も彼女にならって魔剣で切り払う。

「そう考えて間違いないと思います」

 僕の服の中からミニナナさんの声がする。
 なぜそんなところに入り込むのかはあえて聞かなかった。

 僕らの背後から息を呑む声。
 振り返ると数名の天使兵がデーモン・ディメンションから出てくるところだった。
 最後の天使兵が出てくると、ディメンションは閉じられた。

 クイーナや亜人王、シシーやミミ、そして天使のセンター長たちはそれぞれ別行動だった。

「今はとにかくこの植物をどうにかして状況を確認しましょう!」

 僕は天使たちに声を掛けていると、斜め前方の植物群が一気に吹き飛ばされた。

「……もどっでキダ」

 オルトロス形態のニニアリアがゆっくりとした足取りで僕らの方に歩み寄って来る。

「イースはどこに行ったんだ?」

 僕が問いかけると、ニニの方の頭が王都の方を向く。

「バカ! テキにオシエルナ!」

 アリアの頭がニニの後頭部に噛みつく。

 僕はイルヴァーナと見交わした。

 王都には一般の国民たちがいる。イースが何をしようとしているにせよ、良くないことだけは確かだ。

「アァ、イースのトコロにはムカワセナイゾ」

 ニニとアリア、二頭とも僕らの方を向く。

「ナナのカイホウシャ、ずっとオマエをクイタカッタ!」


 ニニアリアが牙を剥いて飛びかかって来た。

「来たぞ!」

 天使兵が叫び、僕らはパワー・ウィングを展開して飛び上がった。
 ここに来る直前、僕とイルヴァーナはセンター長からこのパワー・ウィングの装備を貰っていた。さらに魔術印も刻み込み、魔力を流し込めるようにしていた。展開した光の翼は紫色に変化している。

 獲物を見失ったニニアリアの牙と爪が空を切る。
 彼女は僕らを見上げ、唸り声を上げる。足で地面を蹴飛ばし飛び上がった。周りに土が抉れ飛んでいく。そして落ちることなく僕らの方に突進してくる。

 彼女たちも魔神なのだから、ナナさんたちと同様空を飛べても不思議ではない。だけど、この巨体で実際に飛ばれると度肝を抜かれてしまう。

「アイトくん!」

 隣のイルヴァーナに呼びかけられる。
 彼女のパワー・ウィングも紫色に変化していた。

 僕らは翼を振り羽ばたき、光の羽を迫り来るニニアリア降り注がせた。

 突然の攻撃にニニアリアたちは唸り声を上げながら体をのけぞらす。

「その調子ですアイトさん!」

 僕の服の中に潜り込んでいたミニナナさんが顔を覗かせている。

 彼女の言う通り、ニニアリアの注意を引きつけることに僕らは成功していた。

 下の草原地帯を見ると、亜人王たちがこっそりとデーモン・ディメンションから出て来るところであった。彼らは僕が呼び出したスター・バイクなる天使の乗り物に乗って草原を駆けていく。

 今から彼らは賢者の石を回収しに行ってくれる。
 そして賢者の石が来るまで僕らで持ち堪える。もちろん、その間にイースに好き勝手させるわけにはいかない。

 ニニアリアの突進攻撃を避けつつ、今度は魔剣を取り出して斬撃を放つ。

「グゥ! チョゴマガドォ!」

 突然、ニニアリアの体から黒い炎が燃え盛りだした。
 炎は彼女たちの体に纏うように広がり、尾の方で巨大な蛇の形になっている。

「なんだアレは!? 魔術か!?」

 天使兵が大声で尋ねてくるが、僕にもわからない。
 懐のナナさんを見ると、苛立たしげにニニアリアを見ている。

「アレは黒炎蛇法ですね。あの炎は生き物みたいに動き回りますよ」
「なるほど。私も初めて見るが、禍々しいな……」

 イルヴァーナも銀色の魔剣を構える。

「コンガリヤコウ!!」

 ニニアリアの2つの口から黒い火球が放たれる。
 僕らは散開してソレを避けた。その間に彼女たちは再び僕に向かって突進してきた。しかも、先程よりも格段に速くなっている。

「気をつけて! さっきよりも動きが素早いです!」

 僕はみんなに呼びかけた。
 ニニアリアの爪から発せられる黒炎を避ける。が、それで油断してはならない。尻尾から燃え盛る炎の蛇が襲いかかってくる。

「アイトくん!」

 イルヴァーナが魔剣の斬撃を飛ばし、炎の蛇を吹き飛ばす。
 それで僕は難を逃れることができたが、炎の蛇はすぐに元の形に戻ってしまった。
 アレを攻撃しても意味がないらしい。

「サッサトヤカレチャエッ!!」

 ニニアリアが口から黒炎を放とうとした時、地上から勢いよく天使の小型シャトルが飛び上がっていった。

「ナンダァ!?」
「エ、コワイィ!」

 ニニアリアたちは突然のシャトルの出現に驚いているらしい。

 あのシャトルには天使のセンター長が乗り込んでいる。彼には天使の国から天使軍の増援をしてもらうことになっていた。

「ナンカワカンナイケド、モヤシチャエッ!」

 ニニアリアはシャトルに向かって火球を放とうとした。

「おーう! 躾のなってない犬ッコロだな!!」

 シャトルの方から勢いよくあの喋る黒猫が飛び降りてきた。

 黒猫の周りが光だし、彼の背後から巨大なドラゴンが這い出てきた。
 ニニアリアの火球とドラゴンの火球がぶつかり合い。周りに弾け飛ぶ。

 黒炎が漂う中、ドラゴンがニニアリアに襲いかかり、前足の付け根に噛み付いた。
 叫び声を上げながらもニニアリアも2つの頭でドラゴンに噛みつく。さらに尾の炎の蛇がドラゴンの顔めがけて襲いかかる。

「させるかよ!」

 黒猫がドラゴンの腕から飛び上がり、再び光が発生し、中から水を纏った龍が出てきた。
 炎の蛇と水の龍は互いに巻き付き合い、対消滅する。

 ニニアリアとドラゴンは爪や牙を喰い込ませ合いながら草原へと落ちていく。

「お前ら、イースのところに行け! ニニアリアは俺に任せろ!」

 黒猫の言葉に僕らは躊躇うことなく従った。
 いつまでもニニアリアだけの相手をしているわけにはいかない。
 イースがいる王都に向かわなければ。


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