私と化け狐と世界

１巻

目覚め

──・・・ん？ここは・・・

私が目を覚めると、不思議な場所にいた。そこは、何とも綺麗で幻想的な場所だった。水の中のようなそんな空間に、木が何本も生えている林のようなものが存在していた。まるで、夢でも見ているかのような、そんな感触だった。

──何処だろう・・・

この場所が気になった私は、起き上がった。そして、改めて周りを見渡してみる。やはり私の目には、水の中に林が存在しているように見えた。

──何か・・・ここ、見覚えが・・・

初めてここに来たはずの空間。だが、私には前にもこの場所に来た事のあるような、そんな薄い記憶が頭をよぎった。だが、それを思いだそうとすると・・・

私＊「うっ・・・！」

ズキッという痛みが頭に襲いかかる。まるで、脳が『思い出すな』という警告をしているように。

私＊「はぁ・・・はぁ・・・」

私は痛みに耐えられず、考えるのをやめた。しかし、その直後・・・

私＊「っ!?」

──あ、頭が・・・！

ズキズキとした激痛が頭に襲いかかり、私はその場に崩れるように頭を抑えて倒れた。そして、転げ回りながら声も出せないような激痛に抗った。

──痛い痛い痛い痛い痛い!!

心の中でそう呟きながら頭を抑える。それでも頭の激痛は治まるどころか、痛みは徐々に酷くなっていった。

──もう・・・無理・・・

痛みに耐えられなくなった私は、意識を失った。

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私＊「・・・ん」

あの後、またもや目を覚ました。上向きに寝ているのか、白で統一された天井が目に映った。

私が天井をぼーっと眺めていると、私の左側から声をかけられる。

？＊「おはよ～、良く眠れたかな～？」

その声には聞き覚えがあった。そう、私の身体にビリビリとする『スタンガン』を当て、ここに運んだ白衣姿の女性だった。

私＊「・・・っ!!」

私は女性を見ると、咄嗟に身体を動かそうとした。しかし・・・

私＊「うっ・・・！」

──身体が・・・痛い・・・

？＊「うふふ・・・」

身体の痛みを感じている中、その様子を見ている女性は、まるで予想していたかのように、また面白がるように静かに笑った。

？＊「そりゃあ、痛いわよねぇ・・・」
私＊「・・・私の身体に・・・何を・・・」
？＊「ちょっと、改造させてもらったわ」
私＊「っ!!」

その言葉を聞いた時、私の頭の中は真っ白になった。っと言うより、理解が追いつかなかった。それでも、女性の話は止まらない。

？＊「と言っても、見た目はそんなに変わってないけどね？」
私＊「・・・え？」

そう言われて私は、自分の身体のあちこちを見てみた。女性に言われた通り、目立った外傷や注射などは無かった。しかし・・・

──何？この絆創膏・・・

私の左腕には、絆創膏ばんそうこうが貼ってあった。しかし、さすってみても傷があるような感じがせず、痛みも無かった。そして、何となく部屋全体の距離感が掴めていないのを感じた。変だと思った私は、自分の顔をさすってみた。そして、自分の左眼に眼帯がしてあることを知った。

──眼帯・・・？

？＊「あぁ、その眼帯は外さない方がいいわよ？」
私＊「・・・え？」
？＊「と言うより、外さないでほしいなぁ・・・」
私＊「・・・どうしてですか」

私は、女性に自分でも分かるほどの鋭い眼差しで睨みながら質問する。その質問に女性は・・・

？＊「まぁ、外されると困るからよ」
私＊「・・・そうですか」

予想していた答えだった。この時、私の脳からある事が司令された。

──賭けてみるか・・・

私は、女性に満面の笑顔を向けた。

？＊「賭けようって言うの？」
私＊「そうですよ・・・っ!?」

私がそう発した時、再びあの激痛が頭に走った。

私＊「あぁ・・・頭・・・がっ・・・！」
？＊「まずい・・・」

女性の『まずい』という言葉までは聞き取れたが、その後は聞き取れなかった。そして、意識が朦朧とし、見ている風景もぼやけて見えてきていた。そして、意識が途切れた。

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私＊「・・・ん」

目が覚める。そして私の目に映ったのは、いつもの私の部屋の天井だった。そう、いつもの自分の部屋の天井。

──今までのは・・・

私＊「夢・・・だったの・・・？」

私は起き上がって鏡の前に移動する。そして、自分の身体のあちこちを見てみる。すると、左腕には絆創膏、そして左眼には眼帯がしてあった。

──夢じゃないんだ・・・

私＊「はぁ・・・」

私は一つのため息を吐いた後、部屋を出てリビングに向かった。リビングに着くと、冷蔵庫から冷水を取り出してコップに注ぎ、冷水を飲んだ。

私＊「学校・・・行かないと・・・」

ふとそう思った私は、部屋に戻って準備をし、学校へ登校した。