私と化け狐と世界

氷菜

文字の大きさ
21 / 39
4巻

禁忌の化け狐

しおりを挟む
優良の発言に私は、驚きのあまり大きな声を出してしまった。

優良「しっ!静かにしてよ・・・」
私*「ご、ごめん・・・」
優良「まぁ、驚くのも無理ないけどさ?」

此処で疑問に思った人もいるだろう。何故、化け狐なだけなのに私がここまで驚いているのか。

以前、月音から説明されていたのだが、化け狐は本来、月音のようにめすおすは全くもっていない。しかも、もしも男性だったとしても生まれた後に、原因不明で死んでしまうらしい。しかし、優良はの化け狐で、しかも優良本人が言うには、結構な年齢だという。その為、優良が化け狐なのだという事に驚いたのだ。

私*「そう言えば、訳ありって言ってたけど・・・」
優良「・・・・・」

質問に、優良は一気に表情を引きつらせた。しかし、優良はゆっくりと事を話し始めた。

優良「僕は、普通の化け狐じゃないんだ」
私*「・・・・・」
優良「主は『雄の化け狐が存在しないから』だと思っているだろうけど、問題はそこじゃない」
私*「・・・え?それじゃあ、何が問題なの?」
優良「僕は『父親が吸血鬼』で『母親が化け狐』なんだよ」
私*「・・・はぁ!?」

またもや私は大きな声を出してしまった。父親が「吸血鬼」で母親が「化け狐」という、種族すら違う妖怪同士の間に生まれたのが優良。しかも、化け狐には有り得ないの化け狐。そんな妖怪は、これまで聞いたことがなかった。

私*「ということは・・・優良って・・・」
優良「『吸血化け狐』ってことになるね」
私*「・・・・・」
優良「あ、あとね・・・」
私*「・・・?」

私がほぼ放心状態でいると、優良が私の耳元に口を持ってきて、そして静かに・・・

優良「あの月音っていう化け狐・・・」
私*「・・・月音さん?」
優良「警戒しといた方がいいよ」
私*「?それってどういう・・・」
優良「それは・・・っ!ごめん、また後で」

優良はその事を言った後、何かを感じ取り私の身体にスーッと戻ってしまった。

私「えっ!?ちょっと・・・」

──コンコン──

私「っ!?」
?「梨由さん?入ってもいいですか?」

──・・・月音さん?

私はベッドから降りると、少し警戒しながらドアを開けた。そこには、白衣を着た月音が立っていた。

私*「月音さん・・・?何で白衣・・・」
月音「大丈夫ですか?しばらく気を失ってたみたいですけど・・・」
私*「うん・・・大丈夫だけど・・・」
月音「そうですか・・・それでは・・・」
優良(っ!!主、今すぐその場から離れて!)
私*「っ!」

──ザクッ!──

私*「・・・えっ?」

私が咄嗟に反応し、その場から急いで後ろに下がると、私がいた場所にお札が煙を出しながら刺さっていた。しかも、そのお札は月音が私の術を解く時に使っていたお札と全く同じものだった。

私*「危ないよ!何するの!?」
月音「あぁ、やっぱり避けられましたか・・・」
私*「・・・月音さん?」
月音「まぁ、予想はしてましたけどね」
私*「・・・・・」

いきなり私に攻撃してきた月音は、いつもと雰囲気が全く違かった。戦闘を嫌いそうなあの月音が、私に攻撃をして不気味に笑っていたのだ。

優良(やっぱり・・・悪い予感が当たった)
私*(えっ?どういう事・・・)
優良(説明は後!今は逃げて!)
私*(わ、分かった!)

私は右手に発煙弾を出現させ、ピンを抜き月音の足元に転がした。すると、発煙弾は一気に展開し煙が発生した。

私*「よし、今!」
月音「・・・・・」

私は煙の中を突っ走り、部屋の外へと走る。そして、部屋を出ると急いでドアを閉めてその場から走って逃げた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

月音「・・・・・」
?*「あ~あ、逃げられちゃった」
月音「・・・そもそも、あなたのミスでしょう?風夜」
風夜「俺じゃねぇよ!あの娘が悪ぃんだ!」
月音「はぁ・・・まぁいいです。後を追いましょう」
風夜「いや、追わなくてもいいぜ」
月音「・・・・・」
風夜「・・・あいつがいるだろうからよ」
月音「・・・そうですか。死なないといいですね、彼女」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

処理中です...