12 / 21
家族旅行
しおりを挟む
5月3日からの連休初日にわたしたち家族はUSJで遊び、そのまま大阪のホテルに泊まって、翌日の朝京都に向け出発した。京都は神社が多いというイメージだったが、神社が多い県で上から十八番目だということが旅行計画を立てている間にわかった豆知識だ。わたしは縁結びに強い神社に参りたかったので、縁切り縁結びに強い安井金毘羅宮に付き合ってもらうことにした。安井金毘羅宮は縁切り縁結び碑が有名で、その力は凄まじいという。その碑は高さ1.5メートル、幅3メートルの絵馬の形をした巨石で、中央の亀裂を願い事を願いながらくぐるとご利益がある。数多くの人の願いを受ける碑には、身代わりのお札である「形代」がびっしりと貼られていて、碑が見えないほど。その異様な姿に、何度も参拝したことのあるわたしを含め家族は驚愕した。
「わー、これ、すごいね。」
母の第一声は、感嘆の声だった。
「わたし、あっちで書く紙買ってくるね。」
形代という名がわからなかったわたしは、紙と表現し、なんのことか理解した様子の家族と共に授与所に向かった。だが、形代はそこにはないようで、巫女さんに案内してもらった形代授与所という別の場所に向かい、無事に形代を手に入れることができた。
書くことは、決まっている。
―純平と結婚できますように。
来世?過去も現在も?タイムスリップしてきた場合はどう書けば良いのかわからなかったので、そのまま書くことにした。
「僕も書きたい!」
和希がわたしの形代を覗き込んで言う。
「和希はいいだろう。」
父が言う。小学1年生には、たしかに早い気もする。
「せっかく来たんだし、書きたいなら書いたら?」
母が言うと和希は、うん、と言って、走って形代授与所まで行ってしまった。
父が仕方がないなと言いながら後を追う。残った母は、わたしが何を書くのか興味津々といった様子で、
「何書いてるの?」
とわたしの手元を覗き込んできた。
「だめ、見せない。」
わたしが手で隠すので、母は身を引き少し悲しそうな顔をした。その様子を見てかわいそうに感じたわたしは、
「もう、いいよ。」
と勢いよく母に形代を手渡した。
「ありがとう。」
と言った母が受け取る前にわたしが手を放してしまったようで、ひらりと下に落ちてしまった。
「あ!」
慌てたわたしは、形代を踏みつけてしまった。
「わー、縁起悪いね。」
そう言いながらかがんで拾い上げたとき、わたしの世界は闇に包まれた。
「わー、これ、すごいね。」
母の第一声は、感嘆の声だった。
「わたし、あっちで書く紙買ってくるね。」
形代という名がわからなかったわたしは、紙と表現し、なんのことか理解した様子の家族と共に授与所に向かった。だが、形代はそこにはないようで、巫女さんに案内してもらった形代授与所という別の場所に向かい、無事に形代を手に入れることができた。
書くことは、決まっている。
―純平と結婚できますように。
来世?過去も現在も?タイムスリップしてきた場合はどう書けば良いのかわからなかったので、そのまま書くことにした。
「僕も書きたい!」
和希がわたしの形代を覗き込んで言う。
「和希はいいだろう。」
父が言う。小学1年生には、たしかに早い気もする。
「せっかく来たんだし、書きたいなら書いたら?」
母が言うと和希は、うん、と言って、走って形代授与所まで行ってしまった。
父が仕方がないなと言いながら後を追う。残った母は、わたしが何を書くのか興味津々といった様子で、
「何書いてるの?」
とわたしの手元を覗き込んできた。
「だめ、見せない。」
わたしが手で隠すので、母は身を引き少し悲しそうな顔をした。その様子を見てかわいそうに感じたわたしは、
「もう、いいよ。」
と勢いよく母に形代を手渡した。
「ありがとう。」
と言った母が受け取る前にわたしが手を放してしまったようで、ひらりと下に落ちてしまった。
「あ!」
慌てたわたしは、形代を踏みつけてしまった。
「わー、縁起悪いね。」
そう言いながらかがんで拾い上げたとき、わたしの世界は闇に包まれた。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。
たまこ
恋愛
公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。
ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。
※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
【完結】ルースの祈り ~笑顔も涙もすべて~
ねるねわかば
恋愛
悪路に閉ざされた貧しい辺境ルースライン領。
兄を支えたい子爵令嬢リゼは、視察に来た調査官のずさんな仕事に思わず異議を唱える。
異議を唱えた相手は、侯爵家の子息で冷静沈着な官吏ギルベルト。
最悪の出会いだった二人だが、領の問題に向き合う中で互いの誠実さを知り、次第に理解し合っていく。
やがてリゼが王都で働き始めたことを機に距離を縮める二人。しかし立ちはだかるのは身分差と政略結婚という現実。自分では彼の未来を縛れないと、リゼは想いを押し込めようとする。
そんな中、故郷の川で拾われる“名もなき石”が思わぬ縁を呼び、リゼの選択と領の未来を動かしていく――。
想いと責務の狭間で揺れる青年と、自分を後回しにしがちな少女。
すれ違いと葛藤の先で、二人は互いを選び取れるのか。
辺境令嬢の小さな勇気が恋と運命を変えていく。
※作中の仕事や災害、病、小物の知識などは全てフィクションです。史実や事実に基づいていないことをご理解ください。
※8万字前後になる予定です。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
籠の鳥〜見えない鎖に囚われて✿❦二人の愛から…逃れられない。
クラゲ散歩
恋愛
私。ユリアナ=オリーブ(17)は、自然豊かなオータム国にあるグローパー学院に在籍している。
3年生になって一ヶ月が経ったある日。学院長に呼ばれた。技術と魔術の発展しているフォール国にある。姉妹校のカイト学院に。同じクラスで3年生の男子3名と女子3名(私を含め)。計6名で、半年の交換留学をする事になった。
ユリアナは、気楽な気持ちで留学をしたのだが…まさか学院で…あの二人に会うなんて。これは…仕組まれていたの?幼い頃の記憶。
「早く。早く。逃げなきゃ。誰か〜私を…ここから…。」
距離感ゼロ〜副社長と私の恋の攻防戦〜
葉月 まい
恋愛
「どうするつもりだ?」
そう言ってグッと肩を抱いてくる
「人肌が心地良くてよく眠れた」
いやいや、私は抱き枕ですか!?
近い、とにかく近いんですって!
グイグイ迫ってくる副社長と
仕事一筋の秘書の
恋の攻防戦、スタート!
✼••┈•• ♡ 登場人物 ♡••┈••✼
里見 芹奈(27歳) …神蔵不動産 社長秘書
神蔵 翔(32歳) …神蔵不動産 副社長
社長秘書の芹奈は、パーティーで社長をかばい
ドレスにワインをかけられる。
それに気づいた副社長の翔は
芹奈の肩を抱き寄せてホテルの部屋へ。
海外から帰国したばかりの翔は
何をするにもとにかく近い!
仕事一筋の芹奈は
そんな翔に戸惑うばかりで……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる