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第一章 ヒノモト珍道中
神のお仕事
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「よし。大体教えたし、私は自分の世界に戻るよ。わかんないことがあったら何時でも会いに来てね。」
そう言い残して恩神は自分の世界に帰っていった。名前を聞いていなかったので何と呼べば応えてくれるのかはわからないが、青年改め『闘争の神』コンゴウは取りあえず神として自分の成せねばならぬ事に取りかかる事にした。
今、元の世界では『Second World』全体の大型アップデートが行われているという体をとっているらしい。『中世編』は今までの百年後が舞台になるようだが、その実態はコンゴウのような神が最低限の準備を整えるまでの猶予期間のようだ。事実、現世を見ると時間が止まっている。非常にありがたいと共に申し訳無くもあるので彼は真面目に仕事を始めた。
「まずはPCを用意して、と。」
コンゴウは和風の部屋に合うデザインのPCを生み出して作業を始める。プラスチック製ではなく、木製に漆塗りで蒔絵まで施された逸品だ。中々の出来に満足しつつ、まずはここ『ガイア』の世界について調べてみる。PCの検索エンジンにダメ元で色々なワードを入れると驚くことにあらゆる情報が手に入った。
そこで世界や神についても調べてみると、面白い答えが返って来た。どうやらこの検索の答えを与えてくれているのが『ガイア』の意思のようなのだ。『ガイア』は自我を持たないが、『神』はその代行者ということらしい。故にコンゴウを含めて神達は決して万能では無いし、様々な義務に縛られている。ただ、PCのように世界の情報を引き出す手段を創造することは可能なので、『神』とは条件付きではあるが全能の存在と言えるらしい。
そこで知った神の義務とは、簡単に言えば知性ある者に『加護』と『試練』を与えて『信仰』を得ることだ。『加護』とはその神の権能に即した力を信徒に与える事で、『試練』とは神々の出した難題を示す。『試練』を達成した者により強い『加護』を与えることも神の義務だそうだ。また、『試練』の数と難易度は神によって異なるが、『最終試練』は特別に難しくする必要がある。その理由は後述しよう。そうして恩恵を与えることで、知的生命体は神を『信仰』し、その『信仰』が神のエネルギーとなる。多くの『信仰』を集めれば神としての格が上がり、逆に『信仰』を失うと神は消滅するのだという。これでは義務、というより職業だ。神といっても楽ではないらしい。
幾つもの神を『信仰』する人はそれら全ての『加護』を得ることも可能で、元の世界よりも神と人の関係が密接という印象を受ける。実際、はっきりとした御利益があるので、どの『神』をも信じていない知的生命体は皆無に近いようだ。きっとプレイヤー達は色んな神の『加護』を得るために奔走するだろうな、とコンゴウはひとりごちた。
そこでコンゴウは『闘争の神』についても検索してみる。すると彼に与えられた権能は予想通り戦闘に関するものだった。具体的に言えば戦闘状態に入った時に感覚が研ぎ澄まされ、筋力や反応速度が二倍近く上昇し、無属性魔法使用時に効果上昇と消費魔力の減少、武器の習熟が早くなり、初めて使う武器でも何となく使い方が解るというものだった。しかもこれは最も簡単な『試練』を乗り越えた者に与えられる、最も弱い『加護』である。さらに難しい『試練』を突破すれば、更なる恩恵が与えられると考えるととんでもない『加護』だ。
「なんだこれは。ゲームバランスが崩壊…いや、しないな。」
戦いに身を置く者ならば必ず欲する『加護』だが、『試練』の難易度が高すぎる。『試練』の内容は『神』が決められるのだが、『ガイア』が定めた最低限の難易度があるのだ。PCで幾つかウィンドウを開いて情報収集と『試練』の内容の設定を行っていたのだが、コンゴウの出す『試練』は彼がプレイヤーだった頃に倒した個体に限るようだ。とりあえず『第一の試練』として序盤では倒すのが難しかった『一つ目小僧』を設定したところ、エラーが出たのである。原因を色々と調べた結論は、『難易度不足』なのだった。
それからは魔物の能力を低い物順に並べて弾かれない最低ラインを調べる所から始まった。まあ彼の趣味に合わせて日本の妖怪変化に限定したのでそこまで時間はかからない。だが、『第一の試練』を任せられる最低ラインの妖怪は、『鴉天狗』だった。
『鴉天狗』とは文字通り天狗の一種で鴉の頭部と翼を持つ山伏の法衣を纏った妖怪だ。長大な錫杖を振り回し、風系統の妖術を自在に操る『天狗』は非常に強力だ。しかもコンゴウがプレイヤーだった時に倒した個体は乱暴者で他の『鴉天狗』を数体相手にしても勝てる実力者だったので、普通の『鴉天狗』の数倍強い。むしろ『天狗』の長であった『大天狗』がコンゴウに討伐を依頼した程だといえば強さが伝わるだろうか。アップデートでどんな初期装備を与えるのか知らないが、序盤の装備では絶対に勝てないと断言できる。
「これはひどい。僕の亜神が生まれるのは何時になることやら。」
全ての『試練』を乗り越えた者に与えられる報酬が、『亜神』への『昇神』である。『亜神』とは『神』の従属神のことで、仕える神の権能から派生した能力を与えられる。今のところ、『闘争の神』であるコンゴウに『亜神』はいない。まだ正式な『試練』を定めていないのだから当たり前である。故にしばらくは一人でいる事になりそうだ。寂しくはあるが、良くも悪くも入院生活で孤独には慣れている。ゆっくり待たせて貰おう。
「神殿の立地は…もう決まってるのか。…富士山の頂上?人、来てくれるかなぁ。」
神を祀る神殿には二種類ある。それは『共奉神殿』と『本神殿』だ。前者はあらゆる神を祀り、後者は一柱の神のみを祀っている。詳しく見ていこう。
どんな街にも必ず一カ所以上の『共奉神殿』がある。プレイヤーのログイン・ログアウトする拠点であり、全ての神の『第一の試練』を受けることが出来る場所だ。どこにいても『加護』を受ける事が可能だし、どこからでも己の信じる『神』に供物を捧げる事が出来る。『ガイア』の住人にとっても、プレイヤーにとっても、そして神々にとっても都合のいい場所だ。
一方、『本神殿』はそこの主である一柱の『神』を祀っている。『神』の『試練』の内、『第二の試練』以降はここでしか受けられない。つまりより強い『加護』を得たいなら『本神殿』へ足を運ばねばならない、ということだ。それに『本神殿』でしか手には入らないアイテムもあるので、近くを通るなら行って損はないだろう。
『闘争の神』の『本神殿』は、日本の富士山ー『ガイア』ではヒノモト列島の天道火山ーの頂上に建立出来るようだ。彼がプレイヤーだった頃に和風の武具ばかり使っていたからここに決まったのだろうか。そんなことを考えながらコンゴウは『本神殿』を建立していく。世界観を壊さない様に日本列島を治める『ヤマト鬼王国』の建築様式を踏襲して出来た神殿は、中央の本殿を四つの拝殿が囲う神社風の建物となった。我ながら満足の出来である。
「神殿の清浄な空気を魔物はひどく嫌う、か。神がいなかった前とは大違いだな。」
知性のない獣や魔物は『神殿』から溢れる神々の力を恐れ、街に近寄ることは無いらしい。プレイヤーだった時には稀に理不尽な数の魔物が集落を襲ったものだが、このあたりはゲーム的に見ると良調整だろう。
「後は、『加護』をどの国に与えるかだけど…まあ、ここだよね。」
『ガイア』において、神々は『加護』を特定の国や集落、または部族に与えることが出来る。『加護』を与えた国が危機に瀕した際、救済するために動く義務が発生する代わりに太い絆で結ばれたその国からは普通の信徒よりも多くの『信仰』が得られるのでメリットは大きい。
コンゴウが選んだのは、日本列島の『ヤマト鬼王国』だった。『ヤマト鬼王国』は軍事を鬼が、経済を人間が、政治を両種族が行う国家だ。現鬼王はコンゴウと共に魔神の使い魔に狂わされた先代鬼王を倒した戦友。単なるNPCだと思っていたが、あの時から人格があったはずなので彼の事は他人とは思えなかった。
「これでよし、っと。あぁ~、疲れた。ちょっと休憩…」
『本神殿』のセッティングやデザインの調整を終えた『闘争の神』コンゴウは、それから暫しの眠りについた。その間に他の神々も準備を終え、世界は動き始める。彼は仮眠をとったつもりだったが、ガイアでは百年が過ぎ去って既にゲームは再開しようとしていた。
コンゴウが寝ている間、多くの神々があらゆる手段を用いて精力的に『信仰』を集めていた。その理由はもちろん、『闘争の神』の目覚めに備えるためである。
神々は交流を求めれば大抵応えてくれるもの。にもかかわらず、同格の『神』は片手で数えられる最上位神の一柱、『闘争の神』は誰の呼び掛けにも応えなかった。実際はただ居眠りしていただけなのだが、神々はそれを暴力の権化といえる『闘争の神』が一人で何かを企んでいると疑心暗鬼になったのである。
彼が『加護』を与えた『ヤマト鬼王国』は強大な軍事力を誇る島国で、他国に攻め込むことも他国に攻め込まれることも無かった。故に『闘争の神』が直々に力を奮い、その為人を窺う機会は起こらなかったのである。ある『神』が業を煮やして己の『神』としての力、『神力』を与えた獣、『神獣』を放ってちょっかいを掛けた時も、あっさりと鬼族の戦士に撃退されてしまった。ただでさえ強靱な鬼族が、『闘争の神』の『加護』を受けて超強化されているのだから当然だろう。
しかも『闘争の神』は世界中で戦うことを生業とする戦士や騎士、それを目指して憧れる者達に深く信仰されていた。さらに『共奉神殿』で『第一の試練』を突破した者は、例外なくその強大な『加護』で戦士として名を残すので、これが更なる『信仰』を集めている。『闘争の神』は労せずして神としての格をどんどん上げていった。それに焦った神々が『信仰』集めに奔走する、という循環が出来たのである。
ある意味で世界が非常に活性化している時、遂に異界の門が開かれた。『ガイア』の住人が『冒険者』と呼ぶ者達が百年ぶりに来訪する。それが『ガイア』にどんな変化と動乱を齎すのか、『神』ですら知ることは出来なかった。
そう言い残して恩神は自分の世界に帰っていった。名前を聞いていなかったので何と呼べば応えてくれるのかはわからないが、青年改め『闘争の神』コンゴウは取りあえず神として自分の成せねばならぬ事に取りかかる事にした。
今、元の世界では『Second World』全体の大型アップデートが行われているという体をとっているらしい。『中世編』は今までの百年後が舞台になるようだが、その実態はコンゴウのような神が最低限の準備を整えるまでの猶予期間のようだ。事実、現世を見ると時間が止まっている。非常にありがたいと共に申し訳無くもあるので彼は真面目に仕事を始めた。
「まずはPCを用意して、と。」
コンゴウは和風の部屋に合うデザインのPCを生み出して作業を始める。プラスチック製ではなく、木製に漆塗りで蒔絵まで施された逸品だ。中々の出来に満足しつつ、まずはここ『ガイア』の世界について調べてみる。PCの検索エンジンにダメ元で色々なワードを入れると驚くことにあらゆる情報が手に入った。
そこで世界や神についても調べてみると、面白い答えが返って来た。どうやらこの検索の答えを与えてくれているのが『ガイア』の意思のようなのだ。『ガイア』は自我を持たないが、『神』はその代行者ということらしい。故にコンゴウを含めて神達は決して万能では無いし、様々な義務に縛られている。ただ、PCのように世界の情報を引き出す手段を創造することは可能なので、『神』とは条件付きではあるが全能の存在と言えるらしい。
そこで知った神の義務とは、簡単に言えば知性ある者に『加護』と『試練』を与えて『信仰』を得ることだ。『加護』とはその神の権能に即した力を信徒に与える事で、『試練』とは神々の出した難題を示す。『試練』を達成した者により強い『加護』を与えることも神の義務だそうだ。また、『試練』の数と難易度は神によって異なるが、『最終試練』は特別に難しくする必要がある。その理由は後述しよう。そうして恩恵を与えることで、知的生命体は神を『信仰』し、その『信仰』が神のエネルギーとなる。多くの『信仰』を集めれば神としての格が上がり、逆に『信仰』を失うと神は消滅するのだという。これでは義務、というより職業だ。神といっても楽ではないらしい。
幾つもの神を『信仰』する人はそれら全ての『加護』を得ることも可能で、元の世界よりも神と人の関係が密接という印象を受ける。実際、はっきりとした御利益があるので、どの『神』をも信じていない知的生命体は皆無に近いようだ。きっとプレイヤー達は色んな神の『加護』を得るために奔走するだろうな、とコンゴウはひとりごちた。
そこでコンゴウは『闘争の神』についても検索してみる。すると彼に与えられた権能は予想通り戦闘に関するものだった。具体的に言えば戦闘状態に入った時に感覚が研ぎ澄まされ、筋力や反応速度が二倍近く上昇し、無属性魔法使用時に効果上昇と消費魔力の減少、武器の習熟が早くなり、初めて使う武器でも何となく使い方が解るというものだった。しかもこれは最も簡単な『試練』を乗り越えた者に与えられる、最も弱い『加護』である。さらに難しい『試練』を突破すれば、更なる恩恵が与えられると考えるととんでもない『加護』だ。
「なんだこれは。ゲームバランスが崩壊…いや、しないな。」
戦いに身を置く者ならば必ず欲する『加護』だが、『試練』の難易度が高すぎる。『試練』の内容は『神』が決められるのだが、『ガイア』が定めた最低限の難易度があるのだ。PCで幾つかウィンドウを開いて情報収集と『試練』の内容の設定を行っていたのだが、コンゴウの出す『試練』は彼がプレイヤーだった頃に倒した個体に限るようだ。とりあえず『第一の試練』として序盤では倒すのが難しかった『一つ目小僧』を設定したところ、エラーが出たのである。原因を色々と調べた結論は、『難易度不足』なのだった。
それからは魔物の能力を低い物順に並べて弾かれない最低ラインを調べる所から始まった。まあ彼の趣味に合わせて日本の妖怪変化に限定したのでそこまで時間はかからない。だが、『第一の試練』を任せられる最低ラインの妖怪は、『鴉天狗』だった。
『鴉天狗』とは文字通り天狗の一種で鴉の頭部と翼を持つ山伏の法衣を纏った妖怪だ。長大な錫杖を振り回し、風系統の妖術を自在に操る『天狗』は非常に強力だ。しかもコンゴウがプレイヤーだった時に倒した個体は乱暴者で他の『鴉天狗』を数体相手にしても勝てる実力者だったので、普通の『鴉天狗』の数倍強い。むしろ『天狗』の長であった『大天狗』がコンゴウに討伐を依頼した程だといえば強さが伝わるだろうか。アップデートでどんな初期装備を与えるのか知らないが、序盤の装備では絶対に勝てないと断言できる。
「これはひどい。僕の亜神が生まれるのは何時になることやら。」
全ての『試練』を乗り越えた者に与えられる報酬が、『亜神』への『昇神』である。『亜神』とは『神』の従属神のことで、仕える神の権能から派生した能力を与えられる。今のところ、『闘争の神』であるコンゴウに『亜神』はいない。まだ正式な『試練』を定めていないのだから当たり前である。故にしばらくは一人でいる事になりそうだ。寂しくはあるが、良くも悪くも入院生活で孤独には慣れている。ゆっくり待たせて貰おう。
「神殿の立地は…もう決まってるのか。…富士山の頂上?人、来てくれるかなぁ。」
神を祀る神殿には二種類ある。それは『共奉神殿』と『本神殿』だ。前者はあらゆる神を祀り、後者は一柱の神のみを祀っている。詳しく見ていこう。
どんな街にも必ず一カ所以上の『共奉神殿』がある。プレイヤーのログイン・ログアウトする拠点であり、全ての神の『第一の試練』を受けることが出来る場所だ。どこにいても『加護』を受ける事が可能だし、どこからでも己の信じる『神』に供物を捧げる事が出来る。『ガイア』の住人にとっても、プレイヤーにとっても、そして神々にとっても都合のいい場所だ。
一方、『本神殿』はそこの主である一柱の『神』を祀っている。『神』の『試練』の内、『第二の試練』以降はここでしか受けられない。つまりより強い『加護』を得たいなら『本神殿』へ足を運ばねばならない、ということだ。それに『本神殿』でしか手には入らないアイテムもあるので、近くを通るなら行って損はないだろう。
『闘争の神』の『本神殿』は、日本の富士山ー『ガイア』ではヒノモト列島の天道火山ーの頂上に建立出来るようだ。彼がプレイヤーだった頃に和風の武具ばかり使っていたからここに決まったのだろうか。そんなことを考えながらコンゴウは『本神殿』を建立していく。世界観を壊さない様に日本列島を治める『ヤマト鬼王国』の建築様式を踏襲して出来た神殿は、中央の本殿を四つの拝殿が囲う神社風の建物となった。我ながら満足の出来である。
「神殿の清浄な空気を魔物はひどく嫌う、か。神がいなかった前とは大違いだな。」
知性のない獣や魔物は『神殿』から溢れる神々の力を恐れ、街に近寄ることは無いらしい。プレイヤーだった時には稀に理不尽な数の魔物が集落を襲ったものだが、このあたりはゲーム的に見ると良調整だろう。
「後は、『加護』をどの国に与えるかだけど…まあ、ここだよね。」
『ガイア』において、神々は『加護』を特定の国や集落、または部族に与えることが出来る。『加護』を与えた国が危機に瀕した際、救済するために動く義務が発生する代わりに太い絆で結ばれたその国からは普通の信徒よりも多くの『信仰』が得られるのでメリットは大きい。
コンゴウが選んだのは、日本列島の『ヤマト鬼王国』だった。『ヤマト鬼王国』は軍事を鬼が、経済を人間が、政治を両種族が行う国家だ。現鬼王はコンゴウと共に魔神の使い魔に狂わされた先代鬼王を倒した戦友。単なるNPCだと思っていたが、あの時から人格があったはずなので彼の事は他人とは思えなかった。
「これでよし、っと。あぁ~、疲れた。ちょっと休憩…」
『本神殿』のセッティングやデザインの調整を終えた『闘争の神』コンゴウは、それから暫しの眠りについた。その間に他の神々も準備を終え、世界は動き始める。彼は仮眠をとったつもりだったが、ガイアでは百年が過ぎ去って既にゲームは再開しようとしていた。
コンゴウが寝ている間、多くの神々があらゆる手段を用いて精力的に『信仰』を集めていた。その理由はもちろん、『闘争の神』の目覚めに備えるためである。
神々は交流を求めれば大抵応えてくれるもの。にもかかわらず、同格の『神』は片手で数えられる最上位神の一柱、『闘争の神』は誰の呼び掛けにも応えなかった。実際はただ居眠りしていただけなのだが、神々はそれを暴力の権化といえる『闘争の神』が一人で何かを企んでいると疑心暗鬼になったのである。
彼が『加護』を与えた『ヤマト鬼王国』は強大な軍事力を誇る島国で、他国に攻め込むことも他国に攻め込まれることも無かった。故に『闘争の神』が直々に力を奮い、その為人を窺う機会は起こらなかったのである。ある『神』が業を煮やして己の『神』としての力、『神力』を与えた獣、『神獣』を放ってちょっかいを掛けた時も、あっさりと鬼族の戦士に撃退されてしまった。ただでさえ強靱な鬼族が、『闘争の神』の『加護』を受けて超強化されているのだから当然だろう。
しかも『闘争の神』は世界中で戦うことを生業とする戦士や騎士、それを目指して憧れる者達に深く信仰されていた。さらに『共奉神殿』で『第一の試練』を突破した者は、例外なくその強大な『加護』で戦士として名を残すので、これが更なる『信仰』を集めている。『闘争の神』は労せずして神としての格をどんどん上げていった。それに焦った神々が『信仰』集めに奔走する、という循環が出来たのである。
ある意味で世界が非常に活性化している時、遂に異界の門が開かれた。『ガイア』の住人が『冒険者』と呼ぶ者達が百年ぶりに来訪する。それが『ガイア』にどんな変化と動乱を齎すのか、『神』ですら知ることは出来なかった。
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