上 下
82 / 88
2年生

第77話 ジェイミーはナルシスト

しおりを挟む
コンコン

恭佑「…あのさ。」

シーン

恭佑「さっきはごめん。俺が悪かった。」
高嗣「…け、ケイトちゃん。あ、あの。」
ケイト「…何よ!」
高嗣「…さっきはごめんなさい。」
ケイト「絶対許さないから!」
高嗣「…ぼ、僕は反省してます。城田さんも。」
ケイト「…あんたたちの話なんて聞きたくもない!」
高嗣「…。」
恭佑「あんなぁ。俺たちはマジで反省してるんやで。つーか姉ちゃんも佐藤に悪口言っておいてお互い様やん。」
ケイト「…。」
恭佑「仲直りしようや。」
ケイト「…仲直りの条件があるわ。」
恭佑「ん?何や?」
ケイト「私の居場所を誰にも言わないこと。」
恭佑「は?姉ちゃん帰る場所ないん?」
高嗣「城田さん。実は」
ケイト「私。逃げてきたの。イギリスから。彼氏と会えないのが耐えれなくて。」
恭佑「い、イギリス?!」
ケイト「彼氏とは遠距離恋愛で会えるのは年に数回。」
恭佑「は?年に数回って。」
ケイト「それでもお互い好きで大好きで別れられなかった。私は彼以外好きになれる男はいないし、彼も私に一筋でやっぱり俺にはケイトだけだって言ってくれてる。」
恭佑「どんだけ硬派な彼氏やねん。」
ケイト「彼氏、見た目はイケメンでチャラそうだけど中身は別なの。今までの歴代の彼女も私入れて2人みたいだし。」
恭佑「こんな立派な家に住んでイケメンでチャラ男やないってどんだけできた男やねん。そんな男ホンマに実在するんか?」
ケイト「私にとって自慢の彼氏なの。ふふふ。」
高嗣「僕にとっても自慢したいくらいの友人です。彼はスゴすぎです。」
恭佑「…俺にとっても自慢、いや憧れのスーパースターがいるけどな。」
高嗣「…だ、だ誰ですか?」
恭佑「…ジェイミー・ヨシヒロ・バーナード。テニスの。」
高嗣「…そ、そそうなんですね。す、凄いですね!」
恭佑「佐藤なんやねん。今棒読みしたやろ。」
高嗣「…し、ししてません。してません。」
恭佑「まさかこの家の主って」
佳宏「俺だよ。」
恭佑「は?」

スタスタスタスタ

高嗣「…ひ、ヒロ!」
恭佑「ひ、ヒロ?!って太陽!」

突然声がして廊下の奥に視線を向けるとヒロと鷹島さんとソウジさんがいた。
3人はこちらへ向かって歩いてきた。

佳宏「タカ。久しぶり。そして、キミははじめましてかな?」
恭佑「…あ、あの。」
佳宏「ゆっくりしていってねー。」
恭佑「…はい。」
佳宏「タカ。タカの新しいお友達?」
高嗣「…あ、え、あ、うん。」
佳宏「Hi!Nice to meet you.僕はジェイミーだよぉ。君の名前は?」
恭佑「…あ、んとその。し、し、城田恭佑です!」
佳宏「キョウちゃんね!よろしくね、キョウちゃん。」
恭佑「は、はい!『キョウちゃんって呼ばれた!』」
佳宏「キョウちゃんは何歳?」
恭佑「…は、20歳です。」
佳宏「僕の先輩かー。僕は19。キョウちゃんはどこ出身なの?」
恭佑「…えー、東京です。」
高嗣『う、嘘言うんですね?!』
佳宏「東京かー。僕はアメリカのベルビューて場所。シアトルのすぐ近く。」
恭佑「し、知ってます。」
佳宏「WOW!ベルビューわかる日本人うれしい!」
恭佑「…じ、実はジェイミーさんが憧れなんです。俺の。ファンだから、その、知ってました。」
佳宏「oh my got!…僕のファンだったんだね!うれしいよ!ありがとう!」
恭佑「ジェイミーさんと日本語で会話できてうれしいです。正直。」
佳宏「まあ父が日本人だからー。あと彼のお陰かな。」

ヒロは僕の方をチラッと見た。

佳宏「タカー。試合前日までここに泊まるね。」
高嗣「うん。あ、ごめんなさい。友達勝手に家に入れちゃいました。」
佳宏「いいんだよー。」
高嗣「え?」
佳宏「タカのお友達なんだから信頼できるでしょ。それに、タカがお友達連れてきてくれることが僕はうれしい。」
高嗣「…本当にいいんですか?」
佳宏「だからタカのお友達なら信頼できるって言ってるじゃん。」
高嗣「…ヒロ。あ、ありがとう。」
佳宏「いえいえ。もちろん彼女も連れてきていいんだからね。」
高嗣「え?か、彼女?!か、か、彼女いません。」
佳宏「タカまだ彼女いないのー?」
高嗣「はい。」
佳宏「早く紹介してよー。楽しみにしてるんだから。」
高嗣「…はい。き、気になる人ならいます。」
佳宏「WOW!どんな人?」
高嗣「そ、そこまでは教えられません。」
佳宏「気になるー。どこの人?スクール?」
高嗣「違います!」
佳宏「じゃあオフィスだ!」
高嗣「バイト先じゃありませんよ!」
佳宏「じゃあどこよー。」
高嗣「まだ教えれませんよー。」
ソウジ「ジェイミーさん。」
佳宏「何?」
ソウジ「そろそろお弟子さんのご紹介を。」
佳宏「WOW!すっかり忘れてたー。ごめんね、太陽。」
太陽「大丈夫ッス。てか高嗣とジェイミーさんってお友達だったんすね。」
佳宏「そうだよぉー。」
太陽「何で教えてくれなかったンスか。」
佳宏「だってまさかタカと太陽がフレンドなのは知らなかったしー。」
太陽「高嗣もどうして教えてくれないんだよ。」
高嗣「えーと。バレるのが恥ずかしかったからです。」
太陽「なんじゃそりゃ。」
高嗣「だってこんな有名人と友人なんて知られたら恥ずかしいじゃないですか。実際カッコイイし。」
佳宏「タカぁー。俺をイケメン扱いしてくれるの?やっぱり俺カッコイイし世界一の美貌の持ち主だと思ってるでしょ。」
高嗣「世界一の美貌かはわかりませんが、ヒロが目立つのは間違いありません。」
佳宏「え?俺が目立つ?ルックス最強だから?」
高嗣「うんと、ルックス最強かはわかりません。」
佳宏「タカー。結局僕をほめないんだね。」
高嗣「だってほめたらヒロがつまらない人間になります。」
佳宏「え?僕がつまらない?」
高嗣「ヒロにはほめない人間も必要です。」
佳宏「…タカ。ありがとう。」
太陽「ジェイミーさんナルシスト全開。」
佳宏「タカ。聞いてよ。太陽は僕を女性扱いするんだよ。」
太陽「だって支度は長いし、化粧してるし、ネイルしてるし女みたいじゃないスか。おまけに練習に遅刻するし。」
佳宏「だって俺の楽しみなんだもーん。」
太陽「俺には理解できないすね。」
佳宏「タカ、聞いて。太陽日焼け止め付けないんだよ?アウトだと思わない?」
高嗣「…僕もつけませんよ。」
佳宏「oh my got!タカつけないとシミが増えるんだよ。」
高嗣「そうなんですね。」
太陽「別に年とったらシミくらい誰でも出るだろ。」
佳宏「太陽!俺の弟子なんだから日焼け止めくらいはつけてよ。」
ソウジ「…ジェイミーさん!そろそろご紹介を。」
佳宏「はーい。タカ。ボクの弟子の太陽だよ。よろしくね!」
太陽「よろしくッス。」
しおりを挟む

処理中です...