だから振り向いて

黒猫鈴

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「?」

生徒会長の様子がおかしいことに気付いた。
何やら先程からニヤニヤと笑っているのだ。
隠そうとしてわざとキツい顔にしているのだが私にはバレバレ。
心配になった私は理由を聞いてみることにした

「篠原会長、どうしたのですか?」

篠原満也(しのはらみつや)生徒会長。
青い髪と瞳。
鋭い目に形のいい顔。
美形と呼ばれる種類に入る彼は学園のスターだ。

「あん?なんだ夕張」

その篠原を側で支えるのが私、夕張葉(ゆうばりはっぱ)
篠原に並び生徒会副会長をやっている。
これでも自分が美形だと自覚はある
じゃなきゃこんな立場にはいない…

「先程からにやけていますよ?」
「…ちっ、隠してたのに…夕張には見抜けられたか」

舌打ちし悔しそうな篠原に苦笑だけを返した。
私には篠原のどんな表情だって見抜ける気がする。
…それは私が、篠原満也を愛しているから。

初対面は一年前…まだ書記だった私の前に現れた会計の篠原。
キツい目つきに、胸に矢が刺さった気がした。
息もすることを忘れそうになるほどの感覚。
きっとこれが一目惚れなんだと、私は目を離すことが出来ないまま思った

それから一年…
生徒会長になった篠原、そして副会長になった私。
未だ告白が出来ぬまま、この状態が続いていた。

「それで何があったんですか?」
「ああ…今外部生に学園の案内をしてやったんだが」
「へぇ…で?」
「そいつが、俺を媚びらないし、怖がらねぇ奴で…」

篠原は美形だが目つきがキツい。
だから媚びる人、そして怖がって寄り付かない人とで大体わかれる。
まぁ別れるといっても8:2の割合でだけど

「会長の俺にもかかわらず、生意気で…惚れた」
「え?」

惚れた…?
篠原、が?
外部生に?
嘘だろう?
思わず口を開けたまま呆然としてしまった私に

「間抜け面」

だと笑う篠原。
笑う、その声が遠くなる気がした。
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