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第四章
自己愛神ポルカフィフ
しおりを挟むーー俺の名前は黒川蓮花です!ーー
「それにしても、カエアンが友達を家に連れて来るなんてなぁ!」
シャルナさんがカエアンを見ながらそう言った。
「今まではカエアンさんが、友達を家に連れてくることはなかったのですか?」
「あまり無いな。カエアンが保育園の頃は、よく紫苑ちゃんを連れてきてたんだがなぁ。」
「、、、、カエアンさんは、紫苑さんと保育園の頃から一緒だったんですね、、、幼なじみとは聞いていましたが。」
「そうさっ!僕と紫苑くんは今も昔もずっと一緒なのさ。」
カエアンが戻ってきた。
どうやら俺とシャルナさんの話を聞いていたようだ。
白龍さんがニコニコと優しそうに微笑んだ。
「本当にカエアンは、紫苑さんが好きですねぇ。」
「そりゃあね。」
シャルナさんは、俺とカエアンを見てこう聞いた。
「それじゃあ、君たち、今日は何をして遊ぶのかい?いや、もしかして勉強会だったかな?もうすぐ高校で定期テストがあるしね!笑!」
「エッ?!そうなんですか?」
定期テスト、、、そういえば、転入してからまだ一度も受けていなかった。
最近、俺は料理に夢中になって勉学を怠っていた。
家に帰ったら今までの復習に、明日の授業の予習をしなければ、、、。
「はっ」
いやいやいや、今はそれどころではないんだった。
紫苑さんを現世に取り戻しに行かなくてはならないんだった。
階段の件も誤解だと説明しなくては、、、
俺がどうこう考えていたら、カエアンは、シャルナさんにハグしてこう言っていた。
「シャルナさーん!僕達、シャルナさんの都市伝説を聞きに来たのさ!」
「!!マジか!カエアン、俺は嬉しいぞ都市伝説の良さをわかってくれて。今日はどんな都市伝説を聞きたいんだい?」
「月夜神様に対抗できるぐらい強い都市伝説はありますか?」
「えっ」
カエアンではなく、俺が颯爽にシャルナさんにそう聞いたため、シャルナさんはポカンと俺を見る。
「君!月夜神都市伝説を知っているのか?!」
「え、あ、はい。カエアンから聞いて、、、。あと、、、、俺は蓮花です。」
この人はいつになったら俺の名前を覚えてくれるのだろうか、、、
まぁ、俺もシャルナさんが高校の校長だなんて知らなかったので、強くは言えないが。
「できれば、すぐに実行でき、異世界の行き帰りが好きにできるような都市伝説が良いです。」
月夜神都市伝説のように、異世界に囚われてしまって現世に帰れなくては元も子もない。
現世に戻れることは最低条件である。
「なんだ?まさか都市伝説を実行して月夜神様を倒そうとか思ってるのか?」
シャルナさんは面白いものを見つけたかのように
目を光らせた。
「はい。この前、紫苑さんと一緒に月夜神都市伝説を実行してみたんです。そしたら本当に異世界に行ってしまって、、、月夜神様に会ったんです。」
「ほぅ!」
シャルナさんは俺の話を楽しそうに聞いている。
信じているかはわからないが、馬鹿なことを言うなと否定してこないのは助かる。
「そのあと月夜神様とお茶をすることになったのですが、お茶をする前に月夜神様に顔面を殴られました。」
「ええ?!月夜神様ってそんなに凶暴なの?!」
「はい。そのあとなんやかんやで現世に帰ってきたんですが、あのあと、紫苑さんは昨日の夜にまた、月夜神様に会いに行ってしまったようなのです。」
「あらま~!」
「今日、紫苑さんは高校に来ませんでした。家にも居ませんでした。」
「、、、本当かい?」
今まで楽しそうに聞いていたシャルナさんは俺が見た限り初めて真剣な顔をした。
「本当さ。今日、紫苑くんは高校に来なかった。僕に一言も連絡なしでね。おかしいよ。」
カエアンも悲しそうにそう言った。
「、、、なるほどな。」
フムフム、と、シャルナさんは頷きながら俺とカエアンを見た。
「それで君は、紫苑ちゃんが月夜神様のいる異世界に閉じ込められていると思ったんだな。そしてそれをうちのカエアンが信じたと、、、」
「はい。そのとおりです。、、、、、、、、、、、、あと、俺は黒川蓮花です。」
ガシッ!!
俺はシャルナさんにいきなり肩を掴まれた
「協力するよ!君!!!」
「あの、だから、、、、俺は!、、、、もういいです、ありがとうございます、シャルナさん。」
俺はシャルナさんに名前を覚えてもらうことを諦めた。
ーー自己愛神ポルカフィフ都市伝説ーー
俺とカエアンとシャルナさんは机を囲んで向かい合って座る。
机の上にはろうそく一本に、部屋の中は電気は消していて、暗かった。
どこからか『君が代』の音楽が微かに聞こえてくる。
「あるところに、フィフという名の少年がいました。」
シャルナさんは都市伝説を話しだした。
「フィフは、黄銅色の髪に深い青紫色の瞳をしていました。
フィフの母は数年前に魔女狩りで火あぶりの刑にされて死にました。
母が火あぶりにされた後、フィフの父は母を異端だと言い出した村人を殺しました。
その結果、父は牢に入りました。
フィフは罪人の子として村人に忌み嫌われました。
同年代の子供にはいじめの対象として、卵や石を投げられました。
フィフは考えました。
何故、父と母は死んだのかを。
数年考えてフィフが出した答えは『弱かったから』でした。
それからフィフは腕立て腹筋プランク走り込みなど、体を鍛えはじめました。
フィフの体はフィフの努力の数だけ鍛えられていきました。
ある日、フィフのいる村に、魔術師のポルカフィフが訪れました。
ポルカフィフは雪のように白い髪に濁った青紫色の瞳をしていました。
ポルカフィフは、村の人々の前で村長を魔術で殺しました。
フィフは、村長はフィフの父を牢に入れた張本人なので死んでくれてスッキリしました。
ポルカフィフは何十もの魔術式を組み合わせ、直径30cmくらいの生物巨大化穴(Biological giant, hole)を造りました。
ポルカフィフはその穴に、ヤモリを1匹入れました。
するとたちまち、生物巨大化穴(Biological giant, hole)から、体長30mぼどの恐竜、いや、巨大ヤモリが出てきました。
巨大ヤモリは次々と村人を踏み殺していきました。
村人たちは、泣き、叫び、大急ぎで巨大ヤモリから逃げます。
ポルカフィフはいつの間にかに居なくなっていました。
村人たちが逃げる中、一人の少年が鉄製のシャベルを片手に巨大ヤモリの前に立ちはだかりました
その、勇気ある少年は、フィフでした。
フィフは震える両足を地面に押し付け、巨大ヤモリに向けて、両手でシャベルを構えます。
巨大ヤモリはフィフの背丈の高さに顔を近づけ、、、、、、フィフをぺろりと飲み込んでしまいました。
村人たちはそれを見て絶望しました。
ですが、巨大ヤモリはそのあと1歩も動きませんでした。
約10秒後、巨大ヤモリは倒れ、巨大ヤモリのお腹を破いてフィフが出てきました。
それを見た村人たちはフィフを褒め称えました。
ですがフィフは、村人たちがフィフに対して発する褒め言葉が全く心に響きませんでした。
今までのフィフ対する不遇を思い出すと、素直に喜ぶことはできなかったのです。
その後、フィフは卵や石を投げつけられることも、悪口を言われることもなくなりました。
それどころか皆、毎日毎日フィフの事を褒めちぎるのです。フィフは居心地悪くなったため、村を出ました。
『魔術師ポルカフィフ』は、長髪白髪の怪物として、一部の地域では有名でした。
村々に顔を出しては得体のしれない怪物や化物を生み出し、人々を殺すからです。
そんなある日、どこかの村人の少女がポルカフィフにこう問いました。
『あなたはどうして私達を殺すの?私達はあなたに何かひどいことをしてしまったの?』
少女の問いに対して、ポルカフィフはこう答えました。
『まさか!僕は君たちと今が初対面だよ。むしろ君たちには感謝しているよ。ありがとう、僕のネズミになってくれて』
そう、ポルカフィフは自己中心的で子供な心の持ち主なのでした。
フィフとポルカフィフの顔はとても似ていました。
そのため、フィフはどの村に行っても嫌な顔をされました。
だから、フィフはポルカフィフが嫌いになりました。
フィフもポルカフィフも村々を転々と移動していたため、鉢合わせに合うことは度々ありました。
ポルカフィフはフィフに出会う度、表情を歪めてフィフの全てを否定しました。
フィフは更にポルカフィフの事が嫌いになりました。
ポルカフィフはフィフの悪口をたくさん言いつつも、フィフを殺したりフィフの体に傷をつけたりはしませんでした。
まるでフィフのことを傷つけられないかのように。
そんなある日、フィフは手違いで、命の髪、いや、命の神、サイオスから、呪いをかけられてしまいました。
その結果、フィフは死なない体、(immortality)に、なってしまったのでした。
一方、ポルカフィフはいつの間にかに村人たちに『自己愛神ポルカフィフ』として、崇め祀られるようになっていました。
どうか、これ以上村人を殺さないでくださいと願いを込めて。
知っていましたか?
自己愛神ポルカフィフもしくはフィフに会う方法が一つだけあるのです。
朝方5時にこの歌を唱えるのです。
『イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ
ツライツライツライツライツライツライツライツライ
クルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイ
なんで僕だけ
僕は幸せになりたいだけなのに
君はーーーーーー』
アリを踏み殺しながら唱えればポルカフィフに、
シャベルで穴を掘りながら唱えればフィフに出会えます。
気をつけて。
フィフもですが、ポルカフィフは特に精神的に病んでます。
綺麗事を言って、キレさせないように注意しましょう。
もし、仲良くなれたら弟子として色々なことを教えてくれるでしょう。
もとの世界に帰りたくなったら『帰りたい』と、言えば、多分帰れます。
この、自己愛神ポルカフィフ都市伝説、あなたは実行しますか?
終わり!」
シャルナさんは身振り手振りを使って、大変わかりやすく都市伝説を語ってくれた。
「自己愛神ポルカフィフねぇ。正直言うと会いたくないね。なんか面倒臭そう。」
カエアンが前髪をいじりながらそう言った。
「そうですね。ですが、実行してみる価値はありそうです。『帰りたい』と、一言言えば帰れるみたいですし、、、やれるだけやってみましょう。」
正直めちゃくちゃ怖い。
俺なんかがポルカフィフに会ったら『帰りたい』と言う間もないうちにぶっ殺されるんじゃないだろうか。
でも、自己愛神ポルカフィフは、月夜神都市伝説のシルバーさんと同じ、都市伝説の世界の神様だ。
シルバーさんの事とか何か知っているかもしれない。
紫苑さんを取り戻すためだ。
俺、黒川蓮花は、都市伝説を実行する覚悟を決めた。
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