27 / 27
第五章
いやそれ絶対僕じゃないよ?!
しおりを挟む僕の名前はフィフ・ヨンフィルス、13歳。
僕の父と母は人体学者と薬学者であったが、僕が幼い頃に病気で他界してしまった。
僕はその頃5歳だった。
そんな僕が今まで生きてこられたのは、両親が残してくれた数年は余裕で暮らせるくらいの財産に、ニ冊と三冊の医学書と薬学書のおかげだ。
それと、僕が住んでいるこの小さな村には『医者』と呼ばれる存在が、両親以外いなかった、と言うのもあるだろう。
もうこの村には『医者』と呼ばれる存在が僕しかいない。
今のところこの村には重症病者はいないし、風邪をひいたと人が訪ねてきても、「これを飲んで体を暖かくして寝てください。」と言ってはちみつの入った瓶を渡せばなんとかなる。
だって大抵の病気はよく体を休めれば自己治癒力で勝手に治ってくれるのだ。
これを聞いて「だったら、医者なんて必要無いだろう!」と思うだろう。
僕もそう思う。
だが、そのおかげで僕は今、この村で生活できているんだ。
人々は『医者に見てもらったから大丈夫だ』と、安心でき、自己の治癒力で勝手に風邪を治す。
僕はお金がもらえる。
winwinじゃないか!
今はまだそれでいい。
でもいつかはしっかりとした知識を身に着け、たくさんの怪我や病を治せるようになりたい。
そして、、、最終的には、自分を不老不死に改造
してみせる!
それが僕の最終的な目標だ。
―――――――――――――――――――――――――――
朝、僕は墓場にシャベルを持って向かった。
骨や死体も薬の材料になるため、墓を掘ってそれらを家に持って帰るのだ。
墓場に着き、しばらく墓を掘っていると、どこからか唸り声が聞こえてきた気がした。
少し気にはなったが、僕はそのまま墓を掘る。
すると、今度はハッキリと何度も声が聴こえてくる。
――✗✗✗✗!✗✗✗✗!✗✗✗✗!!!――
「Dazugede?喋ってる、、、何語だろう?英語ではないな、、、」
異国のものだろうか?
僕は流石にこれを無視するわけには行かず、声のする方向へ走る。
ちょっと走ると、地面の上から裸足の足が逆さまに出ていた。
声の主は、裸足の下に逆さまに埋まっているようで、そこから『Dazugede!』と、声が聞こえる。
「はぁ。」
いったい何したらこんなにすっぽりと土の中に埋もれられるのだろう?
僕は土の上から突き出ている素足をグッと掴んで思いっきり引っ張った。
「ぐぬっ!」
抜けない、硬い!
ただ引っ張るだけでは切りがないので、シャベルを使って掘る、引っ張る、掘る、を繰り返していく。
ぽすっ
「抜けた!」
見事に足首以外土に埋まっていた少年は、やはり、異国の人のようだった。
土に埋まっていたため、顔にも多少泥が付いていたが、自前の白さが伺える。
僕もよく、肌が白いと言われるが、その僕とこの少年は同じくらい白い。
髪は黒い。
少し青みがかっている気もするが真っ黒だ。
少なくとも僕はこれほど髪の毛が黒い人は今、初めて見た。
キリッとした細めの眉に、長くて太いまつげ、、、
美青年だ。
背は高いから年上かな?
いや、僕の身長は低すぎるから、あまり参考にならないな。
それにしてもどこの国の人だろう?
黒髪黒目だから東の方の人かな?
地面に埋もれてたその人は、ゲホゲホと激しく咳をしていた。
「大丈夫?」
言葉が通じるかわからないけど、とりあえず僕はその地面に埋もれてた人に話しかけた。
そうすると直ぐに、
「✗✗✗✗✗✗、✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗、、、アリガトウ。」
と、はじめの言葉は理解出来なかったが、最後の言葉は、少し歪なイントネーションながらもこちらの国の言葉を発したので、自分にお礼を言っていることを理解出来た。
この黒髪少年は母国語以外も話せるらしい。
まぁ、助かった。
話が通じないよりはずっといい。
黒髪少年は、あたりをキョロキョロと見まわし、顔を青ざめていた。
僕はその様子をシャベルを片手に弄びながら眺める。
黒髪少年が不意にこちらを見つめてきたと思ったら、考え込むように僕にこう聞いてきた。
「あなたの名前はフィフですか?」
僕は驚いた。
今まで一度も会ったことのないような異国のものに急に名前を当てられたのだから。
いや、僕の名前を村の人の誰かに聞いたのかもしれない。
「なんで僕の名前を知っているの?」
僕は、黒髪少年の言葉にこう返した。
フィフだということを肯定した。
そうすると黒髪少年はいきなり頭を下げてこう言った。
「俺をあなたの弟子にしてください!!!」
僕は今、知り合ったばかりの黒髪少年に弟子入りを申し込まれた。
「いやなんでだよ?!!!」
僕は叫んだ。
「何で、今日あったばかりで名前も知らない君を弟子に取らないといけないんだよ?!てか弟子も募集してないしっ!教えられるようなことも無いよ!」
僕の言葉に黒髪少年は首をコテリ傾げたあと、真剣な目つきで僕を見る。
「スミマセン、師匠。俺の名前は黒川蓮花と言います。気軽に蓮花と呼んでください!弟子入りを志望する理由はですね、フィフ師匠がシャベル一つで大トカゲの怪獣と戦い、怪獣の内臓をえぐって見事に倒し、村を救ったという噂を聞きまして、、、!」
「いや、それ絶対僕じゃないよ?!それに師匠とか呼ぶの辞めてくれない?」
黒髪少年、いや、蓮花?が、あこがれの眼差しで僕のことを(いや、僕だと勘違いして)話すのを慌てて止める。
シャベル一つで自分が大トカゲの怪獣と戦い、見事に勝利?
いやいやいやいや、ナイナイナイナイ!
あり得ない!
そもそも僕、魔物すら見たことも触ったことも無いんだよ?!
冒険者ですらないし!
きっと、たまたまその勇者様が僕と同じ名前だったとか、、、
「いえ、絶対貴方が師匠です!俺を貴方の弟子にしてくれるまで俺、離れませんから!」
蓮花が僕にしがみついて離れない。
「だからっ!僕じゃないってばっ!理由は?根拠は?!」
「なんかそんな気がしたからです!」
「はぁ?!」
なんかそんな気がしたからです?
なんだよそれ?!
だからそれ絶対僕じゃないんだって!!!
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、生命を懸けて鬩ぎ合い、幾度も涙を流す旅路の中で自分の在り方を探す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※基本週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開中(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる