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目黒ですって
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「兄ちゃん、東京土産持って来た!」
「……また唐突に東京行って来たのか」
今回は全てにおいて無事のようだ。
薫も。
自分の財布も。
……バナナの方か。
ピヨピヨの方が好きだが、若干残酷なイメージがあるので、こっちの方がいいな。
「んじゃ、茶淹れるから、お菓子開けといて」
「了解!食べたかったんだよねぇ」
……兄ちゃんへの土産じゃなく、自分で食う事織込み済みだな?
まぁ、いっか……
「ホイ、お茶」
「ありがとうぅ」
ずずずずず……はぁ~……落ち着く。
「んで?なんで東京に行ってたんだ?」
「モグモグ……あれ見に行ったんだよ」
「あれ?」
「うん。寄生虫」
「ぶふっ!」
思わずお茶を吹き出してしまった。
「汚いなぁ~」
「おまっ……仕方ないだろっ?!」
いきなり寄生虫とか言われたら吹くだろ?
薫の事だから、ソレ系を育てたいとか言い出しそうだし……ってマサカ?
自分の手にあるバナナ菓子をジトリと見てしまった。
「どうしたの?兄ちゃん?」
「……まさか、コレに仕込んでないよな?」
「……ナニを?」
「……寄生虫」
「…………あはははは☆まっさかぁ~」
「今の間が怪しい」
「いや、それもアリだったかと思って☆」
「もっ?!もって事は、何かやったのかっ?!」
「いや、今回は何にもしてないから」
今回は。
過去を振り返れば様々な悪行の数々が走馬灯の様に流れるよ。
「ただ博物館を見て来ただけだよ?専門の所だったから、面白かったんだ」
「ほっ……そうだったんだな」
「確かに、自分でサナダムシとか育ててみようかな?ってチラッと考えたんだけどね?」
「やめろよ、そういうの……」
「いや、やめたよ?食費とか診療代の事考えて」
「お前の健康の事だけを考えろよ……」
なんで食費?
そりゃいくら食っても腹が減るから?
診療代?
虫下し貰うだけだろ?!
どんだけ長くなるまで育てる気だったのか……
「兄ちゃん、そっちのタイプも苦手だわぁ」
「うにょうにょ系ね」
「だな……ああいうの、心の底から無理って叫びたい位に苦手だな」
本当に無理。
うにょらーは本当に駄目。
力加減わからず潰しそうだし。
もう、本当に無理。
「けど蝶とか蛾とかは平気だよね?」
「あぁ。あれは硬さがあるから平気だな」
掴む所があるのは平気。
「変なの」
「変わってる所は人それぞれだろ?」
「まぁねぇ」
自分から見たら、薫の方が変人なんだから……いや、万人が思う事かもしれない?
「まぁ、あれだ。今回は妙な事も無くて良かったよ」
「妙なって酷いなぁ~」
「だってさ?前回は中島もいて、かなり大変だったんだぞ?」
「中島、可愛いヤツだったなぁ……」
「……兄ちゃんには、可哀相なヤツに見えてたがな」
「兄ちゃん、なんだかんだ言って、中島の事可愛がってたじゃん?」
「仕方なく面倒見てただけだし?」
「ツンデレ?」
「デレは皆無だが?」
「ちぇ~……」
「まぁ今回は生き物関係が無くてホッとしたよ」
心底ホッとしたね。
これで何か出たら、死ねるよ?
ショック死。
間違いないね。
「あっ……忘れてた。いるよ?いるいる」
「えっ……」
……マジかよ。
ナニ持って帰って来たの?
えっ?えっ?
まさか?
まさかの寄生虫っ?!
うわっ無理っ!!
無理無理無理無理無理無理無理っ!!
薫っ?!
お前、何て事しでかしてんのっ?!
「紹介します!『目黒』です!!」
……またそんな名前つけて。
「ん?えっ?目黒?何コレ?蝉?いや、蜂?」
「スズメガだよ?」
「はぁっ?! コレが蛾なのかっ?!」
見た目は全然蛾に見えない。
羽は透明だし。
おしりには黄色と黒のフワフワがある……若干海老みたいな形の尻尾?みたいだ。
頭と背中の方も薄い黄緑で目の回りが白く縁取りされている。
どこが『目黒』だね?
お腹の方も白い。
そして全体的にコロンとしている。
ちょっとお洒落な蝉か蜂にしか見えない。
しかもコレ。
蝶にしか無いと思っていたコレがある。
「ちょっと薫ぃ?ストローついてるけど?」
花の蜜を吸う為のクルクルストローがある。
「花の蜜吸ってるみたいだよ?ホバリングして吸ってたし」
「ホバリングっ?!」
「ハチドリみたいだったよ?ぶぅ~んって。思わず捕まえちゃったよねぇ」
……目黒、不憫な子。
「目黒は『オオスカシバ』っていうスズメガの一種なんだって」
「スズメガ、幅広いなぁ……」
「羽化したてだと鱗粉がついてて、羽は真っ白らしいよ?」
「へ~……なんか、可愛いなぁ……」
「でしょでしょ?妖精みたいで可愛いんだよ?」
あっ……良かった。
薫も妖精は可愛いって感性がしっかりあったわ。
「フワッとした所を網でとるの!」
妖精狩りっ?!
ヤベェ、妖精狩りだ!
逃げてっ!妖精さんっ!
「けど、さすがは本州だな。こっちにはいない昆虫が普通にいるんだもんなぁ……ホバリングするってなぁ。驚きだわ」
「だよねぇ……あっ、でも、こっちにもホバリングするのいるみたいだよ?」
「そうなのか?」
「ホシホウジャクってヤツ」
「へぇ~……見た事あるかなぁ?」
「普通にぶぅ~ん言うから蜂と間違っているのかもね。止まっている時は茶色いから、まんま蛾だし」
「あっ、なるほどな。そりゃわからんわ」
「羽を広げると黄色が見えるんだって。蜂に擬態してるって聞いたよ?」
「へぇ~……どこで聞いたんだ?」
「目黒の博物館」
「えっ?」
「『目黒』を捕まえた時に色々聞いたんだ」
「……持って帰って来て、良かったのか?」
「生態系が狂ったら困るから、逃がさない事、お墓を作って埋めない事って言われたかな?」
「そっか……お世話になったのか……」
「しっかりお礼言って来たよ?」
「うん。そうか……」
生き物と暮らすって難しい事なんだな。
「兄ちゃん、見て!飛ばしてみた!」
「はぁっ?!」
今、しみじみと回想しようと思ってたのにぃ?!
ちょ、ちょっと?!
目茶苦茶速いんだけど?!
……その日、目黒が花に近寄るまで2人で網を振り回し続けた。
後日、目黒のトップスピードが時速50km程もあると聞いて、遠い目をしてしまったのは……別のお話。
「……また唐突に東京行って来たのか」
今回は全てにおいて無事のようだ。
薫も。
自分の財布も。
……バナナの方か。
ピヨピヨの方が好きだが、若干残酷なイメージがあるので、こっちの方がいいな。
「んじゃ、茶淹れるから、お菓子開けといて」
「了解!食べたかったんだよねぇ」
……兄ちゃんへの土産じゃなく、自分で食う事織込み済みだな?
まぁ、いっか……
「ホイ、お茶」
「ありがとうぅ」
ずずずずず……はぁ~……落ち着く。
「んで?なんで東京に行ってたんだ?」
「モグモグ……あれ見に行ったんだよ」
「あれ?」
「うん。寄生虫」
「ぶふっ!」
思わずお茶を吹き出してしまった。
「汚いなぁ~」
「おまっ……仕方ないだろっ?!」
いきなり寄生虫とか言われたら吹くだろ?
薫の事だから、ソレ系を育てたいとか言い出しそうだし……ってマサカ?
自分の手にあるバナナ菓子をジトリと見てしまった。
「どうしたの?兄ちゃん?」
「……まさか、コレに仕込んでないよな?」
「……ナニを?」
「……寄生虫」
「…………あはははは☆まっさかぁ~」
「今の間が怪しい」
「いや、それもアリだったかと思って☆」
「もっ?!もって事は、何かやったのかっ?!」
「いや、今回は何にもしてないから」
今回は。
過去を振り返れば様々な悪行の数々が走馬灯の様に流れるよ。
「ただ博物館を見て来ただけだよ?専門の所だったから、面白かったんだ」
「ほっ……そうだったんだな」
「確かに、自分でサナダムシとか育ててみようかな?ってチラッと考えたんだけどね?」
「やめろよ、そういうの……」
「いや、やめたよ?食費とか診療代の事考えて」
「お前の健康の事だけを考えろよ……」
なんで食費?
そりゃいくら食っても腹が減るから?
診療代?
虫下し貰うだけだろ?!
どんだけ長くなるまで育てる気だったのか……
「兄ちゃん、そっちのタイプも苦手だわぁ」
「うにょうにょ系ね」
「だな……ああいうの、心の底から無理って叫びたい位に苦手だな」
本当に無理。
うにょらーは本当に駄目。
力加減わからず潰しそうだし。
もう、本当に無理。
「けど蝶とか蛾とかは平気だよね?」
「あぁ。あれは硬さがあるから平気だな」
掴む所があるのは平気。
「変なの」
「変わってる所は人それぞれだろ?」
「まぁねぇ」
自分から見たら、薫の方が変人なんだから……いや、万人が思う事かもしれない?
「まぁ、あれだ。今回は妙な事も無くて良かったよ」
「妙なって酷いなぁ~」
「だってさ?前回は中島もいて、かなり大変だったんだぞ?」
「中島、可愛いヤツだったなぁ……」
「……兄ちゃんには、可哀相なヤツに見えてたがな」
「兄ちゃん、なんだかんだ言って、中島の事可愛がってたじゃん?」
「仕方なく面倒見てただけだし?」
「ツンデレ?」
「デレは皆無だが?」
「ちぇ~……」
「まぁ今回は生き物関係が無くてホッとしたよ」
心底ホッとしたね。
これで何か出たら、死ねるよ?
ショック死。
間違いないね。
「あっ……忘れてた。いるよ?いるいる」
「えっ……」
……マジかよ。
ナニ持って帰って来たの?
えっ?えっ?
まさか?
まさかの寄生虫っ?!
うわっ無理っ!!
無理無理無理無理無理無理無理っ!!
薫っ?!
お前、何て事しでかしてんのっ?!
「紹介します!『目黒』です!!」
……またそんな名前つけて。
「ん?えっ?目黒?何コレ?蝉?いや、蜂?」
「スズメガだよ?」
「はぁっ?! コレが蛾なのかっ?!」
見た目は全然蛾に見えない。
羽は透明だし。
おしりには黄色と黒のフワフワがある……若干海老みたいな形の尻尾?みたいだ。
頭と背中の方も薄い黄緑で目の回りが白く縁取りされている。
どこが『目黒』だね?
お腹の方も白い。
そして全体的にコロンとしている。
ちょっとお洒落な蝉か蜂にしか見えない。
しかもコレ。
蝶にしか無いと思っていたコレがある。
「ちょっと薫ぃ?ストローついてるけど?」
花の蜜を吸う為のクルクルストローがある。
「花の蜜吸ってるみたいだよ?ホバリングして吸ってたし」
「ホバリングっ?!」
「ハチドリみたいだったよ?ぶぅ~んって。思わず捕まえちゃったよねぇ」
……目黒、不憫な子。
「目黒は『オオスカシバ』っていうスズメガの一種なんだって」
「スズメガ、幅広いなぁ……」
「羽化したてだと鱗粉がついてて、羽は真っ白らしいよ?」
「へ~……なんか、可愛いなぁ……」
「でしょでしょ?妖精みたいで可愛いんだよ?」
あっ……良かった。
薫も妖精は可愛いって感性がしっかりあったわ。
「フワッとした所を網でとるの!」
妖精狩りっ?!
ヤベェ、妖精狩りだ!
逃げてっ!妖精さんっ!
「けど、さすがは本州だな。こっちにはいない昆虫が普通にいるんだもんなぁ……ホバリングするってなぁ。驚きだわ」
「だよねぇ……あっ、でも、こっちにもホバリングするのいるみたいだよ?」
「そうなのか?」
「ホシホウジャクってヤツ」
「へぇ~……見た事あるかなぁ?」
「普通にぶぅ~ん言うから蜂と間違っているのかもね。止まっている時は茶色いから、まんま蛾だし」
「あっ、なるほどな。そりゃわからんわ」
「羽を広げると黄色が見えるんだって。蜂に擬態してるって聞いたよ?」
「へぇ~……どこで聞いたんだ?」
「目黒の博物館」
「えっ?」
「『目黒』を捕まえた時に色々聞いたんだ」
「……持って帰って来て、良かったのか?」
「生態系が狂ったら困るから、逃がさない事、お墓を作って埋めない事って言われたかな?」
「そっか……お世話になったのか……」
「しっかりお礼言って来たよ?」
「うん。そうか……」
生き物と暮らすって難しい事なんだな。
「兄ちゃん、見て!飛ばしてみた!」
「はぁっ?!」
今、しみじみと回想しようと思ってたのにぃ?!
ちょ、ちょっと?!
目茶苦茶速いんだけど?!
……その日、目黒が花に近寄るまで2人で網を振り回し続けた。
後日、目黒のトップスピードが時速50km程もあると聞いて、遠い目をしてしまったのは……別のお話。
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