太陽を継いだキミに

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三章 試練、来たれり

第14話 勇気の炎、試練の克服

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「火よ、焼き払え」
 シリウスは攻撃しながら熱を撒いて、下地作りをする。
「炎は揺らめく」
 地面に熱を浴びせ、陽炎による幻を見せる。
 ミノタウロスは身体を炙られ、彼の攻撃は当たらない。
 俺は中距離から体力を削って行く。
 このまま彼が力尽きるまで攻撃する。
 しかしミノタウロスは俺を探し当てる。
「見つかった。何故!?」
「いつまでも隠れられると思うな」
 ミノタウロスは気流の流れを読んで俺に大剣を当ててきた。
「意志が温い。突き抜ける気持ちが無い」
 炎も通らなくなる。炎を突っ切って来たミノタウロスは確かめる様に剣で打ち合う。 
「剣技はそれなりに鍛えている」
 評して、彼は重く踏み込み、進む。
「だが、修羅場を越えた事は無いな!」
 ミノタウロスは一閃、連撃を成す。俺は押し切られて大剣に吹き飛ばされる。

 地面に叩き付けられて呆然とする。
 なんだ、これは。
 確かに、掻き集めただけの勝ち筋だ。
 だが、食い下がり、削り切る。それだけの事は出来る筈だ。だけど、アイツは。
「進化している?」
 それを真っ向から打ち破った。
「俺の力は試練。克服して強くなる能力だ」
 俺はミノタウロスに火傷の跡を刻み付けた。だが、それだけだった。
 俺は、何をすれば良かったんだ。
 項垂れるシリウスにミノタウロスは言った。
「見逃してやろう」
 勝てるイメージが、湧かない。
 勝つだけでも駄目だ。
 俺はどうやって強くなればいいんだ。
 シリウスは重い足取りで歩いて行った。
 イフリートは去りゆく俺に声を掛ける。
「お前は何も理解しちゃいない。火を手に入れて遊ぶ馬鹿だ」
「只の馬鹿じゃ無い事を見せてみろ」

 シリウスは考える。
「俺はユズリハが巫女を背負いながらもヒトとして笑う。その笑顔に惚れたんだ」
 楽しい思い出を火が照らし、思わず笑みが溢れてしまう。
「俺はユズリハに会いたい」
 彼女を想うと切なさで胸が痛くなる。
「俺は太陽に押し潰されそうな彼女を助けたい」
「そして、彼女の隣に立ちたい」
 弱々しく燃える炎に耳を傾ける。
 炎は俺の心の弱さと希望を写し出す。
「俺はかつてユズリハの隣に立てなかった。弱さを乗り越えることが出来なかった」
「だから彼女を一人にしてしまった」
 もう、あの華奢な背中に全てを背負わせたく無い。
 だから俺は太陽の隣に立つ。
「我が心、我が炎よ。俺は共に行こう。太陽に向かって!」
 炎が鼓動して、イフリートが笑った。
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