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異種族合同もやし&発酵祭が、なぜか国家反逆罪になった件
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最初は、ただの祭りだった。
⸻
「発酵!」
「もやし!」
「豆ぇぇぇ!!」
森の広場は、完全におかしかった。
焚き火。
鍋。
樽。
壺。
石臼。
エルフが味噌を混ぜ、
ドワーフが巨大鍋で煮込み、
獣人が樽を担いで走り回る。
「納豆は右だ! 右!」
「それはヨーグルト用だ、混ぜるな!」
「糸が切れた!? やり直しだ!!」
叫び声が飛び交う。
旗まで立っていた。
《第一回
異種族合同
もやし&発酵祭》
誰が許可したのか?
知らない。
誰が主催なのか?
知らない。
俺は、端っこで座っていた。
「……俺、関係者じゃないからな?」
誰も聞いていなかった。
⸻
「もやし神様!」
「こちらの発酵キノコをどうぞ!」
「豆の祝福を!」
「いや、だから名前……」
いつの間にか、俺の周りだけ露店が形成されている。
完全に中心。
完全に御神体。
「……なんでだよ」
もやしを齧りながら、俺は空を見上げた。
⸻
その時だった。
地鳴り。
金属音。
整然とした足並み。
森の外から、王国騎士団が現れた。
百はいる。
重装。
軍旗。
空気が、一気に冷える。
先頭に立つ男が、声を張り上げた。
「王国騎士団である!」
「この集会を即刻解散せよ!」
「当該人物――」
剣先が、一直線に俺を指した。
「無職もやし神を名乗る者を
国家反逆罪の容疑で拘束する!」
⸻
「……は?」
俺の声は、完全に素だった。
「ちょ、待て」
「俺、飯作ってただけなんだが」
だが、騎士団長は聞く耳を持たない。
「異端発酵を広め」
「神殿の権威を貶め」
「異種族を扇動し」
「無許可集会を主導した!」
「全部してねぇ!!」
完全に言いがかりだ。
⸻
だが。
怒ったのは、俺じゃなかった。
「ふざけるな!」
最初に吠えたのは、ドワーフだった。
「俺たちの酒場を潰す気か!」
「祭りを奪うな!」
獣人が前に出る。
「腹を満たして何が悪い!」
「子どもが笑ってるのが見えねぇのか!」
エルフが、静かに弓を引く。
「……彼は、何も強制していない」
「我々が選んだだけだ」
空気が、張り詰める。
⸻
騎士団長が叫ぶ。
「逆らえば反逆だ!」
その瞬間。
誰かが言った。
「じゃあ、反逆でいい」
――終わった。
⸻
異種族が、動いた。
ドワーフが盾を構える。
獣人が前線に出る。
エルフが森に溶ける。
いつの間にか、陣形ができている。
「……ちょっと待て」
俺は立ち上がった。
「話し合おう?」
「剣いらないだろ?」
だが、誰も聞いていない。
なぜなら――
「総大将は下がってください!!」
「え?」
「御神体に何かあったら終わりです!!」
「待て待て待て!!」
いつの間にか、俺は守られる側になっていた。
⸻
戦闘は、始まった。
だが、異様だった。
誰も俺に指示を仰がない。
誰も命令を求めない。
勝手に動く。
勝手に連携する。
しかも。
「もやし神様が見てるぞ!!」
「納豆を信じろ!!」
士気が異常に高い。
⸻
一方、騎士団。
「なぜ……押されている!?」
理由は簡単だ。
全員、飯を食っていた。
発酵食品バフ。
もやし回復。
スタミナ無限。
対する騎士団は、通常食。
勝てるわけがない。
⸻
数刻後。
騎士団は、撤退した。
死者なし。
捕虜なし。
ただ、完敗。
⸻
静寂。
そして――
「勝ったぞおおおお!!」
大歓声。
俺は、頭を抱えた。
「……俺、何もしてない」
誰かが肩を叩く。
「それでいいんです」
「え?」
「神は、そこにいるだけでいい」
「俺は神じゃない!!」
声は、歓声に掻き消された。
⸻
その夜。
焚き火の前。
俺は、もやしを食っていた。
遠くで、異種族が踊っている。
「……どうしてこうなった」
空から、声。
「うん、あのね」
女神だった。
「もう修正無理」
「投げるな!!」
「だって、祭りで軍返したらもうさぁ!」
俺は、ため息をついた。
こうして。
異種族合同もやし&発酵祭は、
国家反逆事件として記録され。
俺は――
「無職」
「無名」
「総大将」
という、意味不明な存在になった。
次の日も、俺は飯を作る。
世界が勝手に戦う中で。
⸻
「発酵!」
「もやし!」
「豆ぇぇぇ!!」
森の広場は、完全におかしかった。
焚き火。
鍋。
樽。
壺。
石臼。
エルフが味噌を混ぜ、
ドワーフが巨大鍋で煮込み、
獣人が樽を担いで走り回る。
「納豆は右だ! 右!」
「それはヨーグルト用だ、混ぜるな!」
「糸が切れた!? やり直しだ!!」
叫び声が飛び交う。
旗まで立っていた。
《第一回
異種族合同
もやし&発酵祭》
誰が許可したのか?
知らない。
誰が主催なのか?
知らない。
俺は、端っこで座っていた。
「……俺、関係者じゃないからな?」
誰も聞いていなかった。
⸻
「もやし神様!」
「こちらの発酵キノコをどうぞ!」
「豆の祝福を!」
「いや、だから名前……」
いつの間にか、俺の周りだけ露店が形成されている。
完全に中心。
完全に御神体。
「……なんでだよ」
もやしを齧りながら、俺は空を見上げた。
⸻
その時だった。
地鳴り。
金属音。
整然とした足並み。
森の外から、王国騎士団が現れた。
百はいる。
重装。
軍旗。
空気が、一気に冷える。
先頭に立つ男が、声を張り上げた。
「王国騎士団である!」
「この集会を即刻解散せよ!」
「当該人物――」
剣先が、一直線に俺を指した。
「無職もやし神を名乗る者を
国家反逆罪の容疑で拘束する!」
⸻
「……は?」
俺の声は、完全に素だった。
「ちょ、待て」
「俺、飯作ってただけなんだが」
だが、騎士団長は聞く耳を持たない。
「異端発酵を広め」
「神殿の権威を貶め」
「異種族を扇動し」
「無許可集会を主導した!」
「全部してねぇ!!」
完全に言いがかりだ。
⸻
だが。
怒ったのは、俺じゃなかった。
「ふざけるな!」
最初に吠えたのは、ドワーフだった。
「俺たちの酒場を潰す気か!」
「祭りを奪うな!」
獣人が前に出る。
「腹を満たして何が悪い!」
「子どもが笑ってるのが見えねぇのか!」
エルフが、静かに弓を引く。
「……彼は、何も強制していない」
「我々が選んだだけだ」
空気が、張り詰める。
⸻
騎士団長が叫ぶ。
「逆らえば反逆だ!」
その瞬間。
誰かが言った。
「じゃあ、反逆でいい」
――終わった。
⸻
異種族が、動いた。
ドワーフが盾を構える。
獣人が前線に出る。
エルフが森に溶ける。
いつの間にか、陣形ができている。
「……ちょっと待て」
俺は立ち上がった。
「話し合おう?」
「剣いらないだろ?」
だが、誰も聞いていない。
なぜなら――
「総大将は下がってください!!」
「え?」
「御神体に何かあったら終わりです!!」
「待て待て待て!!」
いつの間にか、俺は守られる側になっていた。
⸻
戦闘は、始まった。
だが、異様だった。
誰も俺に指示を仰がない。
誰も命令を求めない。
勝手に動く。
勝手に連携する。
しかも。
「もやし神様が見てるぞ!!」
「納豆を信じろ!!」
士気が異常に高い。
⸻
一方、騎士団。
「なぜ……押されている!?」
理由は簡単だ。
全員、飯を食っていた。
発酵食品バフ。
もやし回復。
スタミナ無限。
対する騎士団は、通常食。
勝てるわけがない。
⸻
数刻後。
騎士団は、撤退した。
死者なし。
捕虜なし。
ただ、完敗。
⸻
静寂。
そして――
「勝ったぞおおおお!!」
大歓声。
俺は、頭を抱えた。
「……俺、何もしてない」
誰かが肩を叩く。
「それでいいんです」
「え?」
「神は、そこにいるだけでいい」
「俺は神じゃない!!」
声は、歓声に掻き消された。
⸻
その夜。
焚き火の前。
俺は、もやしを食っていた。
遠くで、異種族が踊っている。
「……どうしてこうなった」
空から、声。
「うん、あのね」
女神だった。
「もう修正無理」
「投げるな!!」
「だって、祭りで軍返したらもうさぁ!」
俺は、ため息をついた。
こうして。
異種族合同もやし&発酵祭は、
国家反逆事件として記録され。
俺は――
「無職」
「無名」
「総大将」
という、意味不明な存在になった。
次の日も、俺は飯を作る。
世界が勝手に戦う中で。
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