愛の操り人形~サンピーノキオ~

壱度木里乃(イッチー☆ドッキリーノ)

文字の大きさ
3 / 15

***コーオ・ローギィ騎士団長の勘違い***

しおりを挟む
「問題ないようだ…よかった」

 満足げに口角を上げた青年に勇猛な顔つきをした騎士団長が「もう少し大きく作るかと思いましたが…」と話しかけました。
 その言葉に、なるほどと。
 大きさが想像していたのと違うという意味だなと人形は察しました。
 確かに背丈は博士の半分程度しかありません。
 でも問題点があるとも思えませんでした。
 その時のローギィ騎士団長が、実は性交の相手をさせるにはやや小さく感じていたことを人形は後になって理解しました。

「このくらいがちょうどいいよ」

 心情を汲みきれない表情で博士が返事をしました。
 わずかに騎士団長が首を傾げます。
 ジェペット博士のことは赤子の頃から知っているのです。
 博士が異性よりも同性に惹かれる嗜好であることもわかっていました。
 だから、ぷらんぷらんと揺れるおちんちんの付いた男型で、生きた性愛人形を作るのも納得がいきます。
 けれども、もう少し大きい方がいろいろと都合がよくないかと。
 確か初恋の相手は…と。
 心の中で知る限りの博士の過去を振り返りながら考えていたのでした。

「様子を見て、改造アップデートするつもりだけど」
「そうですか…確かにそれがいいですね」

 アップデートという響きを耳にして。
 実際の性交を通して、部位パーツをより好みに作り上げていくつもりなのかとローギィ騎士団長は合点しました。
 そして人形もまた、人形は人形で生まれたての思考回路で読み取りました。
 おそらくは、まずは動作の安定性を優先し、さらなる完全型へと着実に近づけていくに違いないと。

「サンピーノキオ、お前は今日からジェペットさまに誠心誠意尽くすのだ。自己を省みず、一心にだぞ」

 強い口調でかけられた言葉はまるで入団したての騎士団員に向けてのようです。
 とてもじゃないですが、性愛人形セクサドールに対してとは思えません。
 人形の素地である思考が何かしらの違和感を覚えて、パチパチ、パチパチと瞬きを促しました。

「では、私はこれで失礼します。ごゆっくりどうぞ」

 もう十分に見届けたとばかりに騎士団長が唐突に退室を願い出ました。
 人形がまだ一言も発していないというのにです。
 興味はないのでしょうか。
 でもそれは自分が邪魔になると思ったからだったのです。
 対人関係を築くのが苦手な青年博士が今からこの部屋ですること、したいこと。
 それは性交セックスだと。
 今すぐにでもヤりたいはずだと。
 早々におっぱじめたいはずだと。
 経験が豊かすぎる壮齢騎士はそう思いこんでいたのです。

(ぼくは感知できてるぞ…)

 いいぞ、サンピーノキオと。
 その調子だ、サンピーノキオと人形はまたしても自身を鼓舞しました。
 そしてそのまま騎士団長の表情を拾い上げると、そうかと。
 感慨深く噛みしめているんだなと瞬時に掘り下げました。
 誕生したばかりの人形は自分の推測が少しばかり間違っている可能性に全く気がついていなかったのです。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー

白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿) 金持ち‪社長・溺愛&執着 α‬ × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω 幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。 ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。 発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう 離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。 すれ違っていく2人は結ばれることができるのか…… 思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいα‬の溺愛、身分差ストーリー ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

処理中です...