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***覗き穴の正体***
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「あそこの壁に開いている穴から覗くと見えますよ」
狭い通路の先をキッツーが指さしました。
決してすぐそこではなかった、その場所は。
分厚い垂れ幕に両側が囲まれていて、先ほどまでの雰囲気とは打って変わって、とても陰気な空間でした。
想像とは異なっていた様子に「穴から見るの?」と人形が不思議そうに尋ねました。
「ミイラは風と光に弱いらしいのです」
ずる賢いキッツーがもっともらしく答えましたが、嘘です嘘です、大嘘です。
本当のはずがありません。
穴の向こう側の室内では扇情的な催しが行われていました。
大人が楽しむ猥褻な娯楽です。
覗き穴周辺はこちら側からはただの壁ですが透視鏡となっていて、室内からは客の助平顔がつぶさに見られました。
そのあくどい仕様を利用して、卑猥な絡みを穴から覗く少年たちをニヤンがカメラで撮影するつもりなのです。
脅しのネタにするためでした。
いつだってこうやって弱みを握ると貴族の家から金を巻き上げていました。
慣れた様子でニヤンが室内側の幕の背後に隠れ、その時を待ちます。
キッツーもまたスッと姿を消しました。
写真の中に入らないようにです。
何も知らない人形が壁に近づき、置かれていた台の上へと上って、言われた通りに穴へと顔を近づけました。
そして、アッと声を上げて首を傾げました。
「ど、どうですけぇ?」
くぼんだ穴に顔を入れたまま「どうですけぇって言われても…」と人形が従者に答えます。
おかしいのです。
竜のミイラがないのです。
代わりに裸の人間がいます。
薄暗い空間で重なり合って何かをしてます。
乗っかってる男は、腰をなぜだか大きく振っていて。
乗っかられている女は、床の上で脚を大きく広げて髪を振り乱しています。
あろうことに本番ショーが行われている真っ最中でしたが、人形にはふざけているようにしか見えませんでした。
「ぼっちゃん、ど、どうなんですけぇ?」
見習い少年剣士が興味津々で身を乗り出してきました。
プノーシンもやはり伝説の竜のミイラが見たいのです。
けれども耳を澄ませて、なんだろうと顔を傾けました。
わずかに漏れ聞こえてくる、アァンッ、アァンッという声に違和感を覚えたからです。
「なんか…ドラゴンのミイラが見当たらないんだ」
人形の返事に、どういうことですけぇと従者もまた台に乗りました。
頼りない主の代わりに確かめようとしたのです。
そっと人形の肩を押して退け、穴に顔を入れるとアッと小さく声を上げました。
「こ、これは…」
人形よりは世故に長《た》けてる少年剣士が青ざめました。
違うと。
騙されたと。
プノーシンが本能的に危険を察知した、その時です。
よしよし、いいぞ、キノコヤローも写真に収めてやれとニヤンがほくそ笑んだ、その時です。
「ここで、なにをしているんじゃあ!!」
地を這うようなダミ声が背後から響き渡りました。
狭い通路の先をキッツーが指さしました。
決してすぐそこではなかった、その場所は。
分厚い垂れ幕に両側が囲まれていて、先ほどまでの雰囲気とは打って変わって、とても陰気な空間でした。
想像とは異なっていた様子に「穴から見るの?」と人形が不思議そうに尋ねました。
「ミイラは風と光に弱いらしいのです」
ずる賢いキッツーがもっともらしく答えましたが、嘘です嘘です、大嘘です。
本当のはずがありません。
穴の向こう側の室内では扇情的な催しが行われていました。
大人が楽しむ猥褻な娯楽です。
覗き穴周辺はこちら側からはただの壁ですが透視鏡となっていて、室内からは客の助平顔がつぶさに見られました。
そのあくどい仕様を利用して、卑猥な絡みを穴から覗く少年たちをニヤンがカメラで撮影するつもりなのです。
脅しのネタにするためでした。
いつだってこうやって弱みを握ると貴族の家から金を巻き上げていました。
慣れた様子でニヤンが室内側の幕の背後に隠れ、その時を待ちます。
キッツーもまたスッと姿を消しました。
写真の中に入らないようにです。
何も知らない人形が壁に近づき、置かれていた台の上へと上って、言われた通りに穴へと顔を近づけました。
そして、アッと声を上げて首を傾げました。
「ど、どうですけぇ?」
くぼんだ穴に顔を入れたまま「どうですけぇって言われても…」と人形が従者に答えます。
おかしいのです。
竜のミイラがないのです。
代わりに裸の人間がいます。
薄暗い空間で重なり合って何かをしてます。
乗っかってる男は、腰をなぜだか大きく振っていて。
乗っかられている女は、床の上で脚を大きく広げて髪を振り乱しています。
あろうことに本番ショーが行われている真っ最中でしたが、人形にはふざけているようにしか見えませんでした。
「ぼっちゃん、ど、どうなんですけぇ?」
見習い少年剣士が興味津々で身を乗り出してきました。
プノーシンもやはり伝説の竜のミイラが見たいのです。
けれども耳を澄ませて、なんだろうと顔を傾けました。
わずかに漏れ聞こえてくる、アァンッ、アァンッという声に違和感を覚えたからです。
「なんか…ドラゴンのミイラが見当たらないんだ」
人形の返事に、どういうことですけぇと従者もまた台に乗りました。
頼りない主の代わりに確かめようとしたのです。
そっと人形の肩を押して退け、穴に顔を入れるとアッと小さく声を上げました。
「こ、これは…」
人形よりは世故に長《た》けてる少年剣士が青ざめました。
違うと。
騙されたと。
プノーシンが本能的に危険を察知した、その時です。
よしよし、いいぞ、キノコヤローも写真に収めてやれとニヤンがほくそ笑んだ、その時です。
「ここで、なにをしているんじゃあ!!」
地を這うようなダミ声が背後から響き渡りました。
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