それでも君を愛している

壱度木里乃(イッチー☆ドッキリーノ)

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 ぐにょりとしたその違和感は。
 その大木から離れて存在するという初めての経験は。
 怖れていたほど苦しくはない。
 けれどもきっと、そんなには持たないだろう。
 直観的にそう感じた。

 そのまま進み続けて、ガチャリと守くんが鍵を開ける。
 いつも木から見つめていた向かいの一号棟の守くんの家に、初めて踏み入れる薄暗い人の居住空間に、キョロキョロと周りを見渡した。

「ヨシノ、嬉しい……ヨシノがオレの家にいる」

 玄関の扉を閉めた途端に強く抱きしめられた。

「ちょっと待ってて」

 守くんはそう言って離れると室内へと入って何かを持って戻ってきた。
 それは湿ったティッシュだ。
 枝の切り口に巻きつけられて、水分を素直に吸い上げ始めた感覚から栄養成分が含まされていることがわかった。

「こっちに来て」

 腕を引かれてさらに奥へと進み、見えてきたのは守くんの寝室だ。
 そこで私は枝を握らされたまま人の交配行為につきあわされた――

 手荒く押し倒され、着物を乱され、全身を這う守くんの濡れた舌に唇に、そして雄の象徴からポタポタと流れ落ちる体液に。
 寝具の上でされるがままの私にその欲情を受け入れる性の器はない。
 けれども雄しべのような突起で私のしっかりと抱えられた内股を擦られる度に、それを望んでいたという感覚が私を襲い、そして達する時の守くんの艶めいた表情に、あぁ…と目を細める。
 腹へと胸へと放出された白い精液が私の肌を通って内部に浸透するごとに、私の爪先から頭の先まで言い知れぬ高揚感が駆け巡って。
 もっとしてと。
 もっともっと出してと。
 もっと荒々しく触れてと。
 もっともっと強く擦り付けてと心から切望する。
 それはまるで満開という、わずかな時間のきらめきのために。
 木の先についている蕾が、その蕾を支える枝が、そのために栄養を吸い取り続けている根が、そして吸い取った栄養を一つ一つの枝まで確実に送り届けようとする幹が。
 それらすべての部分が一斉に高みを目指す瞬間に似た感覚で。

「ヨシノ…好きだ…」

 と何度もつぶやきながら、暗く狭い寝室でハァハァと獣のような息を吐いて腰を振り続ける君を。
 同じように荒くなった呼吸とともに揺さぶられる裸体で受け入れ続けた。
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