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4章:返り咲いちゃいました~そしてカエルは王妃に~
えぇ、でも陛下ですから
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「陛下、なにをおっしゃるのです。
陛下たる者、射止め損ねると?」
(陛下たる者…)
絶大なる信頼を含む固有名詞にされた挙げ句、逆に聞かれてしまうとは。
全くどうしてくれようか。
「陛下がヘケロ妃殿下のお心もお身体もモノにされるのは極めて目前。
つまりは遅かれ早かれ王妃になられるわけですから問題ないかと」
「いや、それは…そう…なのだが…」
確かに逃す気はない。
ヘケロ以外は考えられないのだから。
(となると…)
こうなったらこの際、退位希望が認められていないことにはもはや抗うまい。
議会で効力の付与が却下されたとなれば却下なのだから。
とするならば、がしかし…とどこからどう反論していいのかがわからない。
「ご安心下さい、陛下。
国民には本日の朝一番に陛下のご婚姻とそれをもってして正式名称『全国あちらこちらからの拝顔の儀』通称『元々が特別なオンリーワンの貴方にだって王妃のチャンス!! さぁ、笑顔で行こう、ゴゥートゥーキャッスルキャンペーン』の終了を号外で告知済みです」
「いや、だからまだ求婚中だぞ」
「えぇ、でも陛下ですから。
それともキャンペーン継続を希望されますか」
「いや、それはないが…」
「ということですので、告知も問題ないかと。
それから、ヘケロ妃殿下におかれましては州としても初参加でしたので順位が優先されましたが、現状は二年先まで抽選希望がびっしりと埋まっておりました。
それなのでそのまま移行する形で通称『元々が特別なオンリーワンなのだから敗者でも大丈夫、さぁ笑顔で古都に行こう、ゴゥートゥーキャッスルキャンペーン』を始めました」
「宰相、意味がわからないのだが…」
どういうことなのだ、これは。
またしても事後報告なのか。
自分たちで決められることは評議会で決めろと伝えてはあるが、王の承認を何だと思っているのだの第二弾か。
あ、わかったぞ。
これは詳細を追求したら王代理とともに決めましたと返事が来るパターンだな。
そうに違いない。
「はい、陛下、少々お待ち下さいませ。
いま資料をお目にかけます。
例のモノを!!」
パンパン、パンパンと侍従長兼宰相歴六十年以上の老人が手を叩き、ザッと若手が立ち上がる。
えっほ、えっほと重厚この上ない特大な机を持って来た。
ドンッと目の前に置かれるや否や、パラララ…と机上に図案が広げられる。
「陛下、要するに遷都でございます」
「遷都?」
「はい、いくつか案は上がったのですが、やはりモロコーシムーラ州よりもあえてそのお隣のポイーフル州が新しい王都にはより適しているかと。
まずはご覧下さいませ。
西は我が国屈指の兵力を誇るブルガリリア州、つまり陛下の公領でございますが、ブルガリリア州が同盟国及び異教徒ダンジーキ族へと睨みをきかせ、防衛に関しては特に問題はございません」
トントンと宰相が図面を指先で叩いて地域を示す。
描かれているのはジセイカ王国領土と隣接するサンジーノオ・ヤーツ教国家、そしてその周辺を取り巻く異教徒国家との勢力構造が色分けされた世界地図だ。
「ん、そうだな」
「はい、そして南の脅威ツマミィグゥイ族にはカジーユ・ウグーミ・メイ・ジセイカ前王が治められるグーミ州が、東の脅威ソショーク教徒にはメル・ティキース殿下のトーキゲン・テイチヨーコ州が戦略上の重要な要塞としての役割を担って下さってます。
ですが近年、躍進めざましい北の蛮族ヤショーク族に対してはこのように手薄でございます」
「確かにそれはその通りだが、なぜそれが遷都にいきなり結びつくのだ。
新しい王都とはなんだ」
陛下たる者、射止め損ねると?」
(陛下たる者…)
絶大なる信頼を含む固有名詞にされた挙げ句、逆に聞かれてしまうとは。
全くどうしてくれようか。
「陛下がヘケロ妃殿下のお心もお身体もモノにされるのは極めて目前。
つまりは遅かれ早かれ王妃になられるわけですから問題ないかと」
「いや、それは…そう…なのだが…」
確かに逃す気はない。
ヘケロ以外は考えられないのだから。
(となると…)
こうなったらこの際、退位希望が認められていないことにはもはや抗うまい。
議会で効力の付与が却下されたとなれば却下なのだから。
とするならば、がしかし…とどこからどう反論していいのかがわからない。
「ご安心下さい、陛下。
国民には本日の朝一番に陛下のご婚姻とそれをもってして正式名称『全国あちらこちらからの拝顔の儀』通称『元々が特別なオンリーワンの貴方にだって王妃のチャンス!! さぁ、笑顔で行こう、ゴゥートゥーキャッスルキャンペーン』の終了を号外で告知済みです」
「いや、だからまだ求婚中だぞ」
「えぇ、でも陛下ですから。
それともキャンペーン継続を希望されますか」
「いや、それはないが…」
「ということですので、告知も問題ないかと。
それから、ヘケロ妃殿下におかれましては州としても初参加でしたので順位が優先されましたが、現状は二年先まで抽選希望がびっしりと埋まっておりました。
それなのでそのまま移行する形で通称『元々が特別なオンリーワンなのだから敗者でも大丈夫、さぁ笑顔で古都に行こう、ゴゥートゥーキャッスルキャンペーン』を始めました」
「宰相、意味がわからないのだが…」
どういうことなのだ、これは。
またしても事後報告なのか。
自分たちで決められることは評議会で決めろと伝えてはあるが、王の承認を何だと思っているのだの第二弾か。
あ、わかったぞ。
これは詳細を追求したら王代理とともに決めましたと返事が来るパターンだな。
そうに違いない。
「はい、陛下、少々お待ち下さいませ。
いま資料をお目にかけます。
例のモノを!!」
パンパン、パンパンと侍従長兼宰相歴六十年以上の老人が手を叩き、ザッと若手が立ち上がる。
えっほ、えっほと重厚この上ない特大な机を持って来た。
ドンッと目の前に置かれるや否や、パラララ…と机上に図案が広げられる。
「陛下、要するに遷都でございます」
「遷都?」
「はい、いくつか案は上がったのですが、やはりモロコーシムーラ州よりもあえてそのお隣のポイーフル州が新しい王都にはより適しているかと。
まずはご覧下さいませ。
西は我が国屈指の兵力を誇るブルガリリア州、つまり陛下の公領でございますが、ブルガリリア州が同盟国及び異教徒ダンジーキ族へと睨みをきかせ、防衛に関しては特に問題はございません」
トントンと宰相が図面を指先で叩いて地域を示す。
描かれているのはジセイカ王国領土と隣接するサンジーノオ・ヤーツ教国家、そしてその周辺を取り巻く異教徒国家との勢力構造が色分けされた世界地図だ。
「ん、そうだな」
「はい、そして南の脅威ツマミィグゥイ族にはカジーユ・ウグーミ・メイ・ジセイカ前王が治められるグーミ州が、東の脅威ソショーク教徒にはメル・ティキース殿下のトーキゲン・テイチヨーコ州が戦略上の重要な要塞としての役割を担って下さってます。
ですが近年、躍進めざましい北の蛮族ヤショーク族に対してはこのように手薄でございます」
「確かにそれはその通りだが、なぜそれが遷都にいきなり結びつくのだ。
新しい王都とはなんだ」
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