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魔界の王と天界の最高位と
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問いかけられた側がその瞳の色を変えた。
日が名残惜しげに沈みゆく刻、あたかもその未練の度合いを示さんがごとく鮮やかに赤く染まった空―――そんな情景を彷彿させる瞳が赤味を薄くし、黄色一色と化す。
さらに黄金色により近づけたかと思いきや、深みと茶色を混ざり合わせた美しい琥珀色へと変化させた。
だが、すぐに夏の青空のような瞳へと戻す。
それは対極を背負う片翼への偽りない返事。と同時に、極力控えめに応じる必要があることを踏まえての応答。
よくよく理解しているのだ。自身に対する果てのない執着と劣情と独占欲と嫉妬深さと。そして、どれほどの害をもたらすかも。
その、あえてして見せた現象の意図することを、
(今のは・・・一体・・・?)
と理解に至って欲しい相手は追いきれずに首を傾げ、だが、もう片方は確実に察した。
「ならぬ・・・ならぬぞ・・・そんなことは許さぬ・・・」
魔王が低く唸るような声を発した。
ドプン、ドプン、ドプン・・・・・・
感情の起伏に呼応するかのように、闇の湖面が激しく波打ち始める。
「そなたに教えるのは我だけ・・・我だけだ・・・我が教えた・・・我が教えたのだ・・・」
ジクジクと目を光らせながら、魔王が陰鬱な声音でつぶやいた。
光の根源。創造主たる存在が原初に、自らの代行者として創り上げた兄弟の天使。無の状態から有限の世界へと、その実現のために対で具現化された聖霊。
好奇心旺盛の兄に、優しく見守る弟。互いに無垢から始まり、共鳴し合って、分離した個体としての成長を遂げ、そして決定的な別離を迎えた。
それは永遠の運命共同体による、必須の離別。
「そなたは我だけのものよ・・・許さぬ・・・我らの間に入ることなど・・・」
ドプン・・・ボコッ・・・ドプン・・・ボコッ・・・ドプン・・・ボコッ・・・・・・
闇の波が大きくうねり、間から生れた不浄な泡がまるで天が地になったかのように、宙に向かって零れていく。
「本当に小憎らしい奴よのぅ・・・許さぬ・・・許さぬ・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォ・・・・・・
魔王の全身からすさまじい怒気が立ち上がった。ビリビリと空間を裂き、身に突き刺さるほどに感じる邪気。悪しき霊となって闇色の風に宿った。
ヒューン、ヒューン!! シャアァァーッ!! ヒューン、ヒューン!! シャアァァーッ!!
不快な音を立てながら、複数の渦の流れとなって四方八方に激しく行き交う。一際大きな塊が、ヒューンと大きく回りこむと、悪鬼の顔を模った。
ガァァアァァァァァーーー!!
黒い牙をむき出しにしながら、ラシュレスタに襲いかかる。
「くっ・・・」
闇の地に囚われて身動きできない身体が、咄嗟に両手を前にして防御を試みようとする。その時―――ふわりと大気が軽く、そして明るくなった。
「!!」
目の前に金色の翼。立ち塞がったその背中に、ラシュレスタが目を見開いた。
日が名残惜しげに沈みゆく刻、あたかもその未練の度合いを示さんがごとく鮮やかに赤く染まった空―――そんな情景を彷彿させる瞳が赤味を薄くし、黄色一色と化す。
さらに黄金色により近づけたかと思いきや、深みと茶色を混ざり合わせた美しい琥珀色へと変化させた。
だが、すぐに夏の青空のような瞳へと戻す。
それは対極を背負う片翼への偽りない返事。と同時に、極力控えめに応じる必要があることを踏まえての応答。
よくよく理解しているのだ。自身に対する果てのない執着と劣情と独占欲と嫉妬深さと。そして、どれほどの害をもたらすかも。
その、あえてして見せた現象の意図することを、
(今のは・・・一体・・・?)
と理解に至って欲しい相手は追いきれずに首を傾げ、だが、もう片方は確実に察した。
「ならぬ・・・ならぬぞ・・・そんなことは許さぬ・・・」
魔王が低く唸るような声を発した。
ドプン、ドプン、ドプン・・・・・・
感情の起伏に呼応するかのように、闇の湖面が激しく波打ち始める。
「そなたに教えるのは我だけ・・・我だけだ・・・我が教えた・・・我が教えたのだ・・・」
ジクジクと目を光らせながら、魔王が陰鬱な声音でつぶやいた。
光の根源。創造主たる存在が原初に、自らの代行者として創り上げた兄弟の天使。無の状態から有限の世界へと、その実現のために対で具現化された聖霊。
好奇心旺盛の兄に、優しく見守る弟。互いに無垢から始まり、共鳴し合って、分離した個体としての成長を遂げ、そして決定的な別離を迎えた。
それは永遠の運命共同体による、必須の離別。
「そなたは我だけのものよ・・・許さぬ・・・我らの間に入ることなど・・・」
ドプン・・・ボコッ・・・ドプン・・・ボコッ・・・ドプン・・・ボコッ・・・・・・
闇の波が大きくうねり、間から生れた不浄な泡がまるで天が地になったかのように、宙に向かって零れていく。
「本当に小憎らしい奴よのぅ・・・許さぬ・・・許さぬ・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォ・・・・・・
魔王の全身からすさまじい怒気が立ち上がった。ビリビリと空間を裂き、身に突き刺さるほどに感じる邪気。悪しき霊となって闇色の風に宿った。
ヒューン、ヒューン!! シャアァァーッ!! ヒューン、ヒューン!! シャアァァーッ!!
不快な音を立てながら、複数の渦の流れとなって四方八方に激しく行き交う。一際大きな塊が、ヒューンと大きく回りこむと、悪鬼の顔を模った。
ガァァアァァァァァーーー!!
黒い牙をむき出しにしながら、ラシュレスタに襲いかかる。
「くっ・・・」
闇の地に囚われて身動きできない身体が、咄嗟に両手を前にして防御を試みようとする。その時―――ふわりと大気が軽く、そして明るくなった。
「!!」
目の前に金色の翼。立ち塞がったその背中に、ラシュレスタが目を見開いた。
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