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第1章
シナズとフジミ
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ゲンキョーとシナズの闘いは拮抗していた。ただ能力の相性で言えば、シナズの能力は、視界に入っている、もしくは正確に思い浮かぶ場所に瞬間移動出来る。自らに触れている物も可能。
ゲンキョーの能力は、仕組みは分からないが、物を転回させる事が出来て、自らに触れていなくても可能。
それに加え、武器はシナズが剣で、ゲンキョーは銃。そのため、能力と武器、どちらもシナズに分があるはずだった。
ただ、ゲンキョーは廃墟ビルの中に入り、連れて来られた場所と言う事もあって、無闇やたらに踏み込めずにいた。
この場所は、ビルに四方を囲まれていて、その中を縦横無尽に移動しながら銃を撃ち、居場所を悟られないように能力使い、シナズを狙ってきた。
シナズは逃げ回り、隠れる事しか出来ずにいた。
「チッ……うっぜぇな…………廃墟ビルに銃に転回させる力……おまけにもうすぐ真っ暗になる……流石俺を殺したいだけあるな……」
「あぁ、用意周到だ。これだと、シナズの力と武器も生きないなぁ……」
「でも、このままって訳にもいかねぇ……どうする……」
「ただ、私の考えだが、こちらが見えていなきゃ力は使えない筈だ。」
「それだと、おかしくねぇか……? 今もこうして逃げてるのに、奴は逃げた先を正確に、なおかつ間髪入れずに撃ってきやがる…………そう言う事か……」
「かもしれない。転回の力だけでは説明がつかない」
「だな。なら……試してみるか」
「何をする気だ?」
「天使、ちょっといいか」
「はい」
「上から見てくんないか? それか見えなかったら、1箇所なのか、移動しながら撃ってるか音を聞いてくれ」
「お任せ下さい」
「なるほど。いい案だ」
天使が上空に行き、シナズは規則的に逃げ回り、5分ぐらいが経過した時、天使が戻ってきた。
「戻りました」
「ありがとな。どうだった?」
「恐らく、敵は複数います。常にシナズが移動する対角からの発砲。瞬時の移動。ただ、場所は4箇所のみです」
「4箇所?」
「はい。ビルの3階、真ん中の部屋。四方全て対角のその場所からです」
「なるほどな。助かったぜ!」
「上出来だ、天使」
「有り難きお言葉。お役にたてて何よりです」
「次で終わらせる」
その言葉の通り、結末は一瞬だった。
シナズは1度移動し、銃声と共に能力は使った。
「おい、次の場所は――」
「ここだよ」
「グフッ! ブファ…………なんで……てめぇ……」
ゲンキョーの目の前に移動し、シナズの剣は、ゲンキョーが能力を使うよりも早く、胸元を貫いた。
ゲンキョーは血反吐を吐き、剣が抜かれると、膝から崩れ落ち倒れた。
「お前が、単純で助かったよ」
「……………………」
「ゲン……ゲンキョー様ぁー」
「ゲホッ、ゲホッ…………来るん……じゃねぇ。ゲホッ……殺れよ……シナズ……俺の負けだ……」
ゲンキョーは、仲間に助けを求める事も、命乞いする事も無く、殺すように言ってみせた。
「いや、殺らねぇよ。お前ぇが死ぬ分には構わねぇが、殺すのはルール違反だからな。俺は行くぞ。あいつに助けて貰え。またいつでも挑戦待ってるからよ」
「ヘッ…………あの時と……一緒かよ……後悔すんぞ……」
「あ? なんか言ったか?」
「なんでも……ねぇよ……」
「いいのか?」
「あぁ、ルールはルールだからな。そんな事より急ぐか」
シナズは、フジミの元に移動した。
「おい、フジミ! 戻った…………ぞ……」
「あれは……!」
そこで見た光景に言葉を失った。
フジミは横たわり、頭に足を乗せて立つ、ヨンカイの姿があった。
「待っていた。こいつはまだ死んではいない。俺の息子は何処だ? 素直に答えれば解放する」
「まず……その足退けろよ……」
「答えろ」
ヨンカイは、持っている薙刀をフジミの首元に当てた。次の瞬間、シナズはヨンカイに切りかかっていた。
だがヨンカイは、シナズの速さに反応し、薙刀で防いだ。その隙にシナズはフジミに触れ、ヨンカイから離れた。
「フジミ、しっかりしろよ……おい、起きろよ!」
「あぁ…………なんじゃ……もう戻って来たんか……もうすぐ勝つ所じゃ……そこで見とれ……」
「何言ってんだよ……生きてんならそれでいい。病院行くぞ」
「それは……出来ん……」
「なんでだよ、治してからまたやればいいだろ。フジミの育成神も、こいつに言ってくれよ」
「フジミはもう大人だ。口出しは出来ない」
「なんだよそれ……こいつが死んでもいいのかよ」
「俺は育成神だ。それならそれで、仕方の無い事だ」
シナズの気持ちは、充分に分かるが、育成神の立場、在り方も、間違いではない気がした。
「お前……マジで――」
「よせや、シナズ……その通りじゃ……ワシが選んでやっとる事……誰にも口出しさせん……」
「フルールはどうする……ウルはどうする……お前が死んだら、あいつらどうなんだよっ!」
「逃げ帰ったら……それこそ顔向け出来んじゃろ。あぁ…………痛ったいのぉ……手ぇ貸してくれんか」
「起きんなよ、大人しくしててくれよ……」
「ダメじゃ。ワシの相手だからのぉ。おまんに任された、ワシの相手じゃ。死んでも手ぇ出すな。ええな」
「そんなの許す訳……」
「ええな、シナズ」
「終わったか。あくまでシラを切るなら、それでも構わない。気が済むまで相手をしよう」
「すまんのぉ。ほんまに子供ん事は知らんが、信じて貰えんようなら、やるしかないのぉ」
「来い」
再び始まったこの闘い、フジミには厳しい様に思えた。
フジミの能力は、速度を支配出来る。自らは勿論、武器、人、あらゆる物には、手で触れるだけで変える事が可能。
触れてしまえば、誰も勝ち目の無い能力だが、ヨンカイには、未だに触れる事すら出来ていない。
その理由が、ヨンカイの能力かは分からないが、武器の差は確実にあった。
フジミは刀の二刀流に対し、ヨンカイは、刀の倍以上の長さはある薙刀。懐に入る事さえ容易ではない。
とは言え、薙刀にすら触れていない事が、実力差を物語っていた。
「なんで触れないんや……」
「教えてやる。俺の力は先見だ。お前に勝ち目は無い」
「親切やのぉ……そりゃあ、きついのも納得じゃなぁ」
ただ、例えどんな能力でも、それを扱うのが人間なら、必ず隙は生まれる。そこを見逃さず、確実に攻める事が出来れば、勝ち目が無いとは言いきれない筈だ。
「少しでも触れれば……」
「厳しいな。先見という事は、あらゆる物事を見透す。武器の差に加え、あの力の差だ」
シナズの期待に対し、フジミの育成神は、冷静に状況を見ていた。
「そんな事……俺は信じてる……お前もあいつの育成神なら、信じろよ」
「闘いとは、他人が信じてどうにかなる程、甘くはない。俺は事実を言ってるまでだ」
「さっきから聞いてりゃ、ふざけんなよ! あいつは必ず勝つ……俺はなんと言われようと信じてるからな」
「話しは最後まで聞け。フジミが自分を信じてる限り、負ける事は無い。お前が信じるのは勝手だが、あいつはきっと、自分を信じているから心配するな」
フジミの育成神は、期待していない訳では無く、勝てると信じているフジミ自身を、信じていた。
「お前……」
「あいつが、勝負を他人任せにするようなボンクラなら、俺はとっくに見限っている」
「それもそうだな……悪かった。いざとなれば俺も行けばいいしな」
「お前は、本当に信じているのか?」
「は? 当たり前だろ」
「なら何故、もしもを考える? お前が」
「…………それは……」
「お前があいつの立場ならどうだ。負けそうなら行けばいい、死にそうなら助ければいい、手を出すなと言っているのに。それで本当に信じてくれていると思えるのか?」
「いや…………だけど信じるのと、死ぬのを黙って見てるのは違うだろ」
「それは、答えになっていない。お前ならどう思うか聞いているんだ」
「俺なら…………俺はあいつじゃねぇから、分かんねぇよ」
「そうか。なら、そうやっていつまでも誤魔化していればいい。それもお前の勝手だ」
フジミの育成神が言っている事は最もだった。だがシナズが、分かっていない訳が無い事も分かっていた。そう思うと、シナズにかける言葉が見つからなかった。
ゲンキョーの能力は、仕組みは分からないが、物を転回させる事が出来て、自らに触れていなくても可能。
それに加え、武器はシナズが剣で、ゲンキョーは銃。そのため、能力と武器、どちらもシナズに分があるはずだった。
ただ、ゲンキョーは廃墟ビルの中に入り、連れて来られた場所と言う事もあって、無闇やたらに踏み込めずにいた。
この場所は、ビルに四方を囲まれていて、その中を縦横無尽に移動しながら銃を撃ち、居場所を悟られないように能力使い、シナズを狙ってきた。
シナズは逃げ回り、隠れる事しか出来ずにいた。
「チッ……うっぜぇな…………廃墟ビルに銃に転回させる力……おまけにもうすぐ真っ暗になる……流石俺を殺したいだけあるな……」
「あぁ、用意周到だ。これだと、シナズの力と武器も生きないなぁ……」
「でも、このままって訳にもいかねぇ……どうする……」
「ただ、私の考えだが、こちらが見えていなきゃ力は使えない筈だ。」
「それだと、おかしくねぇか……? 今もこうして逃げてるのに、奴は逃げた先を正確に、なおかつ間髪入れずに撃ってきやがる…………そう言う事か……」
「かもしれない。転回の力だけでは説明がつかない」
「だな。なら……試してみるか」
「何をする気だ?」
「天使、ちょっといいか」
「はい」
「上から見てくんないか? それか見えなかったら、1箇所なのか、移動しながら撃ってるか音を聞いてくれ」
「お任せ下さい」
「なるほど。いい案だ」
天使が上空に行き、シナズは規則的に逃げ回り、5分ぐらいが経過した時、天使が戻ってきた。
「戻りました」
「ありがとな。どうだった?」
「恐らく、敵は複数います。常にシナズが移動する対角からの発砲。瞬時の移動。ただ、場所は4箇所のみです」
「4箇所?」
「はい。ビルの3階、真ん中の部屋。四方全て対角のその場所からです」
「なるほどな。助かったぜ!」
「上出来だ、天使」
「有り難きお言葉。お役にたてて何よりです」
「次で終わらせる」
その言葉の通り、結末は一瞬だった。
シナズは1度移動し、銃声と共に能力は使った。
「おい、次の場所は――」
「ここだよ」
「グフッ! ブファ…………なんで……てめぇ……」
ゲンキョーの目の前に移動し、シナズの剣は、ゲンキョーが能力を使うよりも早く、胸元を貫いた。
ゲンキョーは血反吐を吐き、剣が抜かれると、膝から崩れ落ち倒れた。
「お前が、単純で助かったよ」
「……………………」
「ゲン……ゲンキョー様ぁー」
「ゲホッ、ゲホッ…………来るん……じゃねぇ。ゲホッ……殺れよ……シナズ……俺の負けだ……」
ゲンキョーは、仲間に助けを求める事も、命乞いする事も無く、殺すように言ってみせた。
「いや、殺らねぇよ。お前ぇが死ぬ分には構わねぇが、殺すのはルール違反だからな。俺は行くぞ。あいつに助けて貰え。またいつでも挑戦待ってるからよ」
「ヘッ…………あの時と……一緒かよ……後悔すんぞ……」
「あ? なんか言ったか?」
「なんでも……ねぇよ……」
「いいのか?」
「あぁ、ルールはルールだからな。そんな事より急ぐか」
シナズは、フジミの元に移動した。
「おい、フジミ! 戻った…………ぞ……」
「あれは……!」
そこで見た光景に言葉を失った。
フジミは横たわり、頭に足を乗せて立つ、ヨンカイの姿があった。
「待っていた。こいつはまだ死んではいない。俺の息子は何処だ? 素直に答えれば解放する」
「まず……その足退けろよ……」
「答えろ」
ヨンカイは、持っている薙刀をフジミの首元に当てた。次の瞬間、シナズはヨンカイに切りかかっていた。
だがヨンカイは、シナズの速さに反応し、薙刀で防いだ。その隙にシナズはフジミに触れ、ヨンカイから離れた。
「フジミ、しっかりしろよ……おい、起きろよ!」
「あぁ…………なんじゃ……もう戻って来たんか……もうすぐ勝つ所じゃ……そこで見とれ……」
「何言ってんだよ……生きてんならそれでいい。病院行くぞ」
「それは……出来ん……」
「なんでだよ、治してからまたやればいいだろ。フジミの育成神も、こいつに言ってくれよ」
「フジミはもう大人だ。口出しは出来ない」
「なんだよそれ……こいつが死んでもいいのかよ」
「俺は育成神だ。それならそれで、仕方の無い事だ」
シナズの気持ちは、充分に分かるが、育成神の立場、在り方も、間違いではない気がした。
「お前……マジで――」
「よせや、シナズ……その通りじゃ……ワシが選んでやっとる事……誰にも口出しさせん……」
「フルールはどうする……ウルはどうする……お前が死んだら、あいつらどうなんだよっ!」
「逃げ帰ったら……それこそ顔向け出来んじゃろ。あぁ…………痛ったいのぉ……手ぇ貸してくれんか」
「起きんなよ、大人しくしててくれよ……」
「ダメじゃ。ワシの相手だからのぉ。おまんに任された、ワシの相手じゃ。死んでも手ぇ出すな。ええな」
「そんなの許す訳……」
「ええな、シナズ」
「終わったか。あくまでシラを切るなら、それでも構わない。気が済むまで相手をしよう」
「すまんのぉ。ほんまに子供ん事は知らんが、信じて貰えんようなら、やるしかないのぉ」
「来い」
再び始まったこの闘い、フジミには厳しい様に思えた。
フジミの能力は、速度を支配出来る。自らは勿論、武器、人、あらゆる物には、手で触れるだけで変える事が可能。
触れてしまえば、誰も勝ち目の無い能力だが、ヨンカイには、未だに触れる事すら出来ていない。
その理由が、ヨンカイの能力かは分からないが、武器の差は確実にあった。
フジミは刀の二刀流に対し、ヨンカイは、刀の倍以上の長さはある薙刀。懐に入る事さえ容易ではない。
とは言え、薙刀にすら触れていない事が、実力差を物語っていた。
「なんで触れないんや……」
「教えてやる。俺の力は先見だ。お前に勝ち目は無い」
「親切やのぉ……そりゃあ、きついのも納得じゃなぁ」
ただ、例えどんな能力でも、それを扱うのが人間なら、必ず隙は生まれる。そこを見逃さず、確実に攻める事が出来れば、勝ち目が無いとは言いきれない筈だ。
「少しでも触れれば……」
「厳しいな。先見という事は、あらゆる物事を見透す。武器の差に加え、あの力の差だ」
シナズの期待に対し、フジミの育成神は、冷静に状況を見ていた。
「そんな事……俺は信じてる……お前もあいつの育成神なら、信じろよ」
「闘いとは、他人が信じてどうにかなる程、甘くはない。俺は事実を言ってるまでだ」
「さっきから聞いてりゃ、ふざけんなよ! あいつは必ず勝つ……俺はなんと言われようと信じてるからな」
「話しは最後まで聞け。フジミが自分を信じてる限り、負ける事は無い。お前が信じるのは勝手だが、あいつはきっと、自分を信じているから心配するな」
フジミの育成神は、期待していない訳では無く、勝てると信じているフジミ自身を、信じていた。
「お前……」
「あいつが、勝負を他人任せにするようなボンクラなら、俺はとっくに見限っている」
「それもそうだな……悪かった。いざとなれば俺も行けばいいしな」
「お前は、本当に信じているのか?」
「は? 当たり前だろ」
「なら何故、もしもを考える? お前が」
「…………それは……」
「お前があいつの立場ならどうだ。負けそうなら行けばいい、死にそうなら助ければいい、手を出すなと言っているのに。それで本当に信じてくれていると思えるのか?」
「いや…………だけど信じるのと、死ぬのを黙って見てるのは違うだろ」
「それは、答えになっていない。お前ならどう思うか聞いているんだ」
「俺なら…………俺はあいつじゃねぇから、分かんねぇよ」
「そうか。なら、そうやっていつまでも誤魔化していればいい。それもお前の勝手だ」
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