Children Of The God's

鈴木ヨイチ

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第1章

育成神の真実と過去

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 部屋の空気が変な緊張感に包まれてて、なんだか重苦しかった。

「そんな、畏まる事ないわい。ちょっと茶ぁはまだかのぉ? 今は……なんだったかのぉ……」

「マーザです! はい、お茶どうぞ! おじいちゃん!」
「おう、すまんのぉ! お前さんらももらい!」

「今、出しますから! おじいちゃんはちょっと黙ってて下さい!」

「おお、そうか、そうか! そんなら少し黙ろうかのぉ」
「はい、みんな! とりあえず飲みなさい!」

「あ、ありがとう」
「マーザさん、ありがとう!」
「ありがとうございます……」

 喉が渇いていたから、一気に飲み干した。2人も渇いていたのか、テーブルに置かれたコップは空だった。

「マーザ。お代わりを3人に」
「え! もう飲んだの! ここに置いとくから、好きなだけ飲んでね!」

「ありがとう!」
「いただきます……」

「で、ファジー。話って何?」
「あぁ、そうだね。まず、すぐに理解が出来なくても、とりあえず聞いてほしい」

 ファジーの言葉に、再びその場は静まり返った。

「さっき、ガンジョウが言ってしまったけど、彼はノーマのおじいちゃんだよ。夜闘でノーマを助けたのもガンジョウなんだ」

「すまんのぉ、黙っておって」
「俺……じいちゃんがいたのか……」

「ここから話す事は、今だから話す事で、前でも後でもダメな事なんだ。だから、すぐには受け入れられないかもしれないし、私達を恨むかもしれない。ただそれでも構わないから、真実を知ってほしい。」

 今の俺なら、大丈夫な気がした。夜闘を経て生き残り、また皆にこうして会えた。それ以上の衝撃は無いと思えたから。

「まず、私とマーザはノーマの本当の親では無い。私は、ガンジョウと、君の父親『シナズ』の育成神なんだ。マーザは、君の母親『ビキョウ』の天使。ビキョウの女神が、ウルちゃんの今の女神だ」

 理解が出来なくてもの意味が分かった。同じくウルも困惑したような表情を浮かべていた。

「ノーマにはまだ言っていなかったけど、この世界には『課命』と言うシステムがあって、育成神の寿命を課して、能力者を助ける事が出来るんだ。これは、ノーマが気にしていた、目印を消すのを初め、色々な事が出来る」

「病院で、女神に治癒してもろうた筈だが、あれも課命の1つじゃ」

「この課命には、定期課命と言うのがあって、月に1度決まった寿命を課命するシステムがあってね。これにより、私は神界とこの島を自由に行き来出来るんだ 」

「あぁ、なるほどね。じいちゃんがさっき育成神って言ったのは、自分の育成神でもあったからか」

「え…………今そこ気にするの……?」
「ガッハハハ…………流石儂の孫だわい!」

「そうだね。それで、なんで私とマーザ、それにウルちゃんの女神が、今こうなっているのか。その理由を話そうと思うけど、いいかな?」

「あぁ、よろしく」

「頼もしいね、ノーマ。それじゃあ……まず、ガンジョウの育成神でもある私は、息子のシナズの育成神でもあった。シナズが産まれてからは、シナズをずっと視ていたんだ。私はシナズを、ガンジョウ同様に厳しく育てた」

 ―――― 育成神の過去






「シナズ、もっと強くなりたくないのか? ガンジョウはこの程度で、音を上げなかったぞ」

「チッ……うるせぇな! 親父と比べんじゃねーよ! あいつより、俺の方が強ぇよ」

「いや、弱い。もう16になるのに、こんなんじゃ夜闘なんか出ても死ぬだけだ」

「舐めんなよ、親父だって生きてんだろうが! あんな筋肉バカがやれて、俺がやれねぇ訳ねーだろ! もういい、勝手にやっとくからどっか行けよ!」

「もう、どうなっても知らないぞ」
「あぁ、構わねぇよ」

 ――――




「おう。珍しいのぉ、どうしたんじゃ」
「シナズの方にいたが、邪魔と言われた」

「そうか。あいつなら心配に及ばんわ! 儂の息子じゃからのぉ。ガッハハハハ」

「来た、私が間違いだった。邪魔をした」
「また、いつでも来い!」

 それから夜闘まで、シナズを視る事は無かった。
 夜闘の日に心配になり、シナズの事を見てみたら、そこには笑顔のシナズがいた。

「おぉ、久しぶりだな。見たかよ、俺の強さ! だから言ったろ? 親父に出来て、俺に出来ねぇ訳ねぇんだよ! な、天使!」

「あまり調子に乗るな。たまたま今回は生き残れた。それだけだ」
「神様。お言葉ですが、シナズは強くなられました。褒めて差し上げても、宜しいかと」

「甘やかすな、天使。まだ1回目だ。気を抜けば死ぬだけだ」
「もういいよ、天使。この堅物には何言っても無駄だ。実力で証明して、褒めさすからよ!」

「左様でございますか。では、私に出来る事があれば申して下さい」
「おう! ありがとな、天使!」

「今回の結果に満足せず、これからも鍛練は怠るなよ。人は脆いのだからな。気を抜けば――」

「わーったよもう、しつけぇな……死ぬんだろ? 1つ言っといてやるよ。俺はシナズだ。親父の思いとかは知らねぇし、関係ねぇけど、俺が名前を意味ある物に、してやんよ!」

「そうか。でも人はいつか死ぬぞ」
「そういう事言ってんじゃねぇよ、堅物! どっか行け!」

「分かったよ。ただ生きてた事は褒めよう。また来る」
「なんだそれ…………またな!」

 それから月日が経ち、仲間も増えたシナズは月に1度ある夜闘イベントだけに出るようになった。他のイベントには目もくれず、夜闘以外の日は学校に行き、仲間と鍛える事しか、しなくなった。

 その仲間が、ビキョウ、フジミ、フルールの3人で、シナズを含めた4人で、常に一緒に行動していた。4人は、どんどん成長していき夜闘で名を上げていった。

 初めての夜闘から8年後の、4人が24歳の時に、フジミとフルールの間に子供が出来た。それから半年後にシナズとビキョウの間にも子供が出来た。

 ただ、シナズとフジミは控えるどころか、ますますやる気を出していった。

「シナズ。子供も出来たんだから、普通に働くか、他のイベントをやった方がいいんじゃないか」

「子供が出来たからこそだろ。もっと強くなって、夜闘で勲章もらって金に換金して稼ぐ。だろ?」

「でもだな……」
「心配すんな! 俺はシナズだ。夜闘で殿堂入りして何もしなくても稼げるようになったら、止めるつもりだからよ。……今なら親父の凄さが分かるよ」

「それなら止めはしないが、程々に。フジミにも言っておくんだ」
「分かったよ。心配どうも!」

 それからフジミとフルールの子供が産まれ、女の子だから母親のフルールからとってウルと名付けられた。

 ビキョウの出産予定日まで、後1週間の時に、シナズとフジミの2人は、いつものように夜闘に参加していた。

 すると、『ゲンキョー』、『ヨンカイ』と名乗る人物が、仲間を引き連れて現れた。

「なんだお前ら? ……あれ、お前たしか…………ゲンキョーだろ?」

「嬉しいねぇ、シナズ! 俺は今日をどんだけ待ったか…………お前を殺せる日をよぉ! ガキの誘拐なんて卑怯な事するよなぁ、お前ら!」

「は? 何言ってんだあいつ」
「言わせといたらええ! 知らん事ぁかんがえても分からんじゃろ!」

「とぼけてんじゃねぇよ! ……まぁ、いい……死なねぇように殺して吐かせてやんからよぉ。お前ら、殺れ」
「うぉーーー!」

 30人はくだらない数の能力者を前に、2人は引けを取らず、寧ろ圧倒してみせた。

「人数揃えりゃ、勝てると思ったかよ」
「その通りじゃのぉ」

 あっという間に倒し、残るはゲンキョーとヨンカイのみになった。

「こんなもんか。大した事ねぇな」
「あぁ、じゃが奴らは簡単にはいかなそうじゃのぉ……」

「いい気になんなよ。こんな奴らに負けて貰っちゃ面白くねぇだろ。てめぇは俺が殺るんだからよぉ! シナズ!」

「あっちの木偶は、ワシに任せときぃ」
「ハナからそのつもりだ。死ぬなよ」
「当たり前じゃ。そっくりそのまま返したるわ」

「おい、ゲンキョー。俺に用があんだろ。サシでやろうぜ」

「そう来ると思ってたぜ……! なら、着いてこい。てめぇの墓場に案内してやるよ」
「あぁ」

「おい、木偶! おまんの相手はワシじゃ」
「……………………」

「なんやぁ、あいつ……釣れないのぉ……」
「じゃあ、頼んだぞ。すぐ戻って来るからよ」
「別に急がんと、ゆっくりで構わんぞ」

 ゲンキョーについて行ったシナズは、少し離れた廃墟ビルに着いた。会話も無く、戦闘は突然始まった。
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