Children Of The God's

鈴木ヨイチ

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第1章

修行

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 ついに始まった修行。その内容は、じいちゃんの弟子だと言う3人と、それぞれでの1対1。

 3人共が全身真っ黒の、衣装にマスクをして、フードを被ってて、黒子みたいな奴ら。

「おぬしら3人は、まず相手に一撃決める事じゃ。決めた者から、次に進む、能力の使用は禁止じゃ」

「一撃って、当たればいいの?」
「そうじゃ。じゃが、飛び道具は武器での攻撃が当たるまで。武器の変更も自由。精々頑張るがよい」

 正直、楽勝だと思った。まぐれでもなんでも、当たれば終わりだから。

 俺の相手は、薙刀を持った奴。武器の長さは負けてるけど、速さでは勝ってると思う。

 ウルの相手はただのナイフで、俺より楽勝な気がする。

 ゴカイの相手は槍で、ゴカイも長さでは負けてるけど、速さでは勝てるはずだから、1日で終わらせてすぐに次に進めるはず。

「さっさと終わらせようぜ」
「そうね。あたしが1番だけど」
「僕だって負けないからねぇ」

 皆やる気は充分みたいだ。
 ウルが相手に向かい、躊躇無く発砲したのを合図に、俺とゴカイも飛び出した。

 俺はまず、薙刀の間合いにさえ入れればと思い、後ろに回った。相手は微動打にせず、こっちを見ようともしない。

(こいつ、やる気あんのか……それとも舐めてんのか)

 そんな事、構わず剣を振り下ろした。ただ、思ってた以上に重くて、速さが出なかったのもあるかもしれないけど、見る事無く避けられた。

「舐めんなよ」

 前に移動した相手に、こっちも1歩踏み込んで、剣を下から振り上げようとした時、物凄い風圧を感じて、よろけた。

(危ねぇ……なんだ今の……)

 そう思い顔を上げると、視界の端に光る物が見えた。

 俺が振り上げるよりも早く、体を転回して、俺に向けて降った薙刀の風圧だけで、よろける程の衝撃を感じてた。

(まじ……かよ……)

 一瞬焦ったけど、すぐに向かって行こうとすると、その気持ちとは裏腹に、冷や汗が出てきて、体は小刻みに震えて踏み出せなかった。

「ノーマ、震えとるぞ」
「分かってる……なんで動かねぇんだよ……」

「本能で負けとるんじゃ。実戦なら死んどるわい」

 その言葉は、俺に深く刺さった。

 実戦なら死んでる。夜闘の時も、じいちゃんに助けて貰わなければ、確実に死んでた。

 ただ、これは実戦じゃない。そう思わなければ、完全に心も折れてしまう気がして、自らを無理やり奮い立たせた。

 1度深呼吸をして、ウルとゴカイを見た。2人も全く手も足も出ない状況だけど、諦めてる様子は無かった。

 それを見てると、段々自分に腹が立ってきた。これは自分との闘いだと思い、まずは自分に勝つ事を考えた。

 勝つために出した結論は、何も考えない事。今はまだ、これしかなかった。

 とりあえず、その通りに何も考えず突っ込んだ。

 実戦なら死んでる。逆に捉えれば死ぬ事は無いから、何も気にせず、剣を振る事だけに集中した。

 当然避けられ、防がれ、倒され、それでも諦めずに、振り続けた。

 だけど時間が経つにつれて、意識に体がついて来てないのが、分かった。

 思うように踏み出せないし、見えているのに防げず、振ろうとしてるのに腕も上がらなくて、ついには、踏ん張る力も無くなり、倒れた。

「今日はそこまでじゃ」

 じいちゃんが、この状況を見てだと思うけど、止めてくれた。

 体中が痛いし、重くてもう動ける気がしないから、助かった。

 1日目からこんなに大変なんて、思って無かったし、始まるまで楽勝とか思ってたのに、全く歯が立たなかった。

 そんな自分の弱さに笑えてくるけど、悔しいとかは無くて、清々しい気持ちになった。まだまだ成長出来ると思えたから。

「飯にするぞい」
「確かに、腹減ったな」

「そりゃそうじゃろ。昼も回っとるからのぉ」

 じいちゃん家に着いたのが、朝8時前だから、4時間以上も休まずやってた事になる。

 当然腹も減る筈だけど、何しろ動けない。ウルとゴカイの方を見てみると、2人も同じように、倒れたまま動けない様子でいた。

「ウル、ゴカイ、飯だってよ」
「うん……お腹は空いたけど……」
「起き上がれないよねぇ……」

 そのまま状態のままいると、じいちゃんがこっちに歩いて来て、丸い薬のような物を俺たちにくれた。俺とゴカイは白で、ウルだけ黒だった。

「これを食ってみぃ」

 良く分かんないけど、言われた通り食べてみた。そしたら、すぐに体の痛みも怠さも無くなって、動けるようになった。

「なんだこれ!」
「凄い! もう動ける!」
「ほんとだねぇ!」

「それは、体力を回復する薬じゃ。傷は治せんがのぉ」

 これは勲章で交換出来て、能力者の色と同じ色の薬を飲めば、傷とか病気以外なら治る。

 だけど、かかる勲章の数も色で違って、1番高い黒と虹を食べても、自分の色に合ってないと、なんの効果も無いらしい。

「修行中は儂の奢りじゃ。気にせず疲れてよいぞ」

「よっしゃ、いくらでも出来るな」
「そうね」
「それより、ご飯貰おう。お腹空いたよ」

「ゴカイの言う通りじゃ。飯食わんと力も出んからな。中に入って、とりあえず食べぇ」

 そう言われて家に上がると、縦3m、横2mぐらいのテーブルに、絶対3人じゃ食べきれない量の、食事が並べられてた。

 3人で全部食べ終わるまで、修行の再開は無しと言い残して、じいちゃんは部屋から出て行った。

 とりあえず座って、それぞれ好きな物を皿に取った。肉、海鮮、野菜、麺類まで、多種多様な食材、料理の数々があって、どれも美味そうだった。

「美味そうだな」
「足りないかもね!」
「そうだねぇ」

「いただきます」

 そう言って食べてみると、想像以上に美味かった。肉が柔らかくて、味付けとかは良く分かんないけど、タレが凄く美味かった。

 タレだけで10種類もあって、飽きる事ないし、無限に食べれる気がした。

 ケーキも色んな色があって、ウルはいきなり真っ赤な奴を食べてた。

 ゴカイは、片手に骨付き肉を持って、ラーメンと交互に食べながら、箸と肉を置く事無く、ストローで飲み物を飲んでた。

「動いた後だから、より美味いな」
「ほんとに最高! いくらでも頑張れるよね!」
「ずっと食べてられるねぇ」

 そんな話しをしながら、半分ぐらいが食べ終わった頃、急に苦しくなってきた。どんなに美味くても、やっぱり量に無理があった。

 それでも、少しづつ食べ進めてたら、ウルとゴカイの箸が完全に止まった。ウルに関しては置いた。

「おい……お前ら頑張れよ……」
「ちょっと休憩……」
「僕も……」

 2人も大分苦しそうで、とうとうウルは寝転んだ。と思ったら、ゴカイも続いた。

「起き上がれよ……」
「ノーマも寝てみなよ……」
「そうだねぇ……気持ちいいよ……」

 そんなに言うなら、少しだけと思って寝てみたら、満腹感と、ふかふかの絨毯の気持ち良さに、起き上がる気が無くなった。

「お前ら……5分だけだぞ……」
「そうね……5分だけ……」

 喋らないと思ってゴカイを見たら、もう眠ってた。5分経ったら起こせばいいと思って、俺も目を瞑った。

 目を開けると、眠ってたようでスッキリした。5分は過ぎたけど、そんなに寝てないと思って時計を見ると、18時を過ぎていた。

 5分だけと思って時計を見た時に、13時30分だったから、5時間近く寝てた事になる。

「2人とも起きろ」

 2人を揺さぶると、すぐに目を覚ました。

「ヤバいっ、寝ちゃった!」
「僕はどのくらい寝てた?」

「5時間ぐらいだな」
「5時間? 大分寝てたんだね」
「スッキリしたし、ちょっとお腹も空いてるしねぇ」

 言われてみれば腹も減ったし、残りを食べようとしたら無くなってた。

「あら、お目覚めね」

 見た事ない、長い黒髪の綺麗な女の人が、部屋に入ってきた。
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