Children Of The God's

鈴木ヨイチ

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第1章

疑惑

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 施設を後にして、ウルの家に向かってると、ゴカイに理由を聞かれたから、一緒に暮らす事を伝えた。

「えぇ! そうなの?」
「何? 嫌なの?」

「すぐそうやって、怒らないでよねぇ……驚いただけなのに……」
「別に怒って無いけど、そう思っただけよ」

 今回は2人の喧嘩が始まらなくて、とりあえずは良かった。

「とりあえず今日はさ、必要な物だけ取りに行って、徐々に運んで行こうぜ」

「そんなに荷物があるの?」
「何? 悪い?」

「だからなんでそんなにすぐ怒るのっ!」

 珍しく、ゴカイが声を荒らげた。

「だから別に怒ってないって。怒ってるのはあんたの方じゃん」

 ウルは表情を何1つ変える事なく、冷静に言い放った。

「なっ……それは……ごめん」
「結局謝るなら、最初っから怒らなきゃいいのに」

 ゴカイは謝ったのに、ウルは更に追い打ちをかけた。

「ノーマぁ……僕謝ったよね……」
「まぁ……喧嘩するほど仲がいいって言うしな」

「ちょっと、やめてくれる? 仲悪くないってだけだから」
「そんな事言うなよ……ゴカイも気にするな」

 良かれと思って言った事が、更にゴカイを傷付ける結果になってしまった。

 なんて声をかけたらいいか分からず、出てきた言葉が気にするなだった。

 少し不機嫌そうなウルと、落ち込んだ様子のゴカイに挟まれて、気まずい空気の中歩いてると、やっとウルの家に着いた。

「中入って待つ?」
「いや、なんか手伝う事ある?」

「とりあえず、今週分だけだから平気だけど」
「それなら、ここで待ってるわ」

「じゃあ、ちょっと待ってて」
「うん、分かった」

 ウルは荷物を取りに、家に入って行った。

「ウルも来たら楽しくなるな」
「そうかな? 僕は思わないけどねぇ」

「お前らって、なんでそんな仲悪いの?」
「知らないよ、僕の方が聞きたいぐらいだねぇ」

「パチッ」目が開く音が鳴った。

「え、ファジー? 視てるのか?」

 音が鳴った気がしたけど、目印も光も無いから、気のせいだった。

「やぁ、視てるよ」
「え?」

 気のせいじゃなくて、やっぱり視てた。

「ちゃんと消えてるようだね」
「あ、消してくれたのか。ありがとう」

「これからは音だけ鳴るから、慣れてね」
「分かったよ。視に来たのはそれだけの為?」

「それもあるけど、ガンジョウに言われてね。来てないから視て来るようにって」

 それには理由があって、ゴカイの施設に行ってた事と、ウルも一緒に暮らすから、荷物を取りに来てる事を、説明した。

 ファジーは納得してくれて、それをじいちゃんに伝えておくと言ってくれた。

「じいちゃん怒ってた?」
「怒ってなんかいないよ。ガンジョウも楽しみなんじゃないかな、皆が来るの」

「そうか、今日行くって言ったしなぁ。明日は絶対行くからって言っといて」

「伝えておくよ。それとゴカイに話しがあるから、それは帰って来たら話すね。それじゃあ、気を付けて」
「え、待ってよ……」

 ファジーは内容を言わずに、視るのを止めた。ゴカイは不安そうな表情を浮かべたまま、空を見上げてた。

「良くないよねぇ、こういうの。ただ気になるだけなのにさ、言うなら全部言って、言わないなら帰ってから、呼べばいいのにねぇ。ほんと良くないよ」

 ファジーに対して思った事を、そのまま全部口に出して、怒ってる様だった。

「はぁ……不安だよねぇ……簡単な話しなら今言うもん。でも言わないって事は、はぁ……」

 今度は溜め息ばっかりついてて、情緒不安定な状態になってた。

「お待たせー、ちょっと手伝ってくれる?」

 荷物の整理が終わったみたいで、ウルが家から出てきたけど、玄関に置いてある荷物の量に、戸惑った。

「ちょっと待てよ……これ全部? 今週分で?」
「うん。少ないかなぁ?」

「どう見ても多すぎるだろ……」
「そうかな? とりあえず行きましょ」

 とりあえずの4日分だけで、トランクケース2つに、大きめのリュックを3つは、流石にいらない気がしたけど、黙って持つ事にした。

 俺とゴカイで、トランクとリュックを1つずつ持って、ウルはリュック1つに、靴が2足入った袋も持って来て、俺ん家に向かった。

 幸い、トランクは転がせるし、リュックは背負えばいいから、以外と楽に感じた。

「重いねぇ……少し休む?」

 10分も歩かない内に、ゴカイがへばり始めた。

「早ぇーよ」
「ほんとっ、情けないよね」

「2人が疲れたかと思って……ハァ……僕が言ってあげた……だけだよ……ハァ」

 息も切れてるし、完全に強がりなのが分かった。

「休んでもいいぞ?」
「いや……ハァ……2人が大丈夫なら、僕は平気だよ」

 ゴカイが珍しく、意地の様なものをみせてきたから、休まず歩き続けた。

 ゴカイは辛そうな顔をしてるけど、ウルは何も言わず、微笑んでた。

「褒めてやれば?」
「え? いやよ」

 俺がウルに言った途端、急に真顔に戻って、歩く速度を上げた。

 ウルは俺達の事を気にしながら、一定の距離を取ってるから、俺はゴカイのペースに合わせて歩いた。

「ノーマも……先に行っていいよ」
「いいよ、ゆっくり行こうぜ」

「ありがとねぇ」
「うん。それよりさ、ちょっとした疑問なんだけど、なんで創造神って事を、今まで黙ってたと思う?」

 ファジーが視にきて何故か、ふとそんな事を思ったから、ゴカイに聞いてみた。

「うーん……それは何かあるね。ちょっと待って……」
「どうした?」

 急に立ち止まり、俯いて何かを考え始めた様子だった。

「良く思い出してみてよ。16年も黙っててさ、急にマーザが創造神なんて呼ぶかねぇ?」

「いや、それは話したからだろ。そうじゃなくてさ、黙ってた理由があるのか、って事だよ」

「いや、絶対わざとだねぇ。何かしらの意図がある筈だよ。僕に任せてよ、聞いてみるから」

 話しを聞いてくれないから、諦めて任せてみる事にした。

「ちょっとー、なにしてんのー」
「あ、なんでもない。行くぞ、ゴカイ」

「そうだねぇ」

 急に歩く速度を早めて、不敵な笑みを浮かべてた。

 さっきまでが嘘のように、疲れた様子も無く、先頭を歩いて行って、俺も負けじと付いてった。

「先行くぞー」
「え?」

 ウルも追い抜いて、あっという間に家に着いた。

「もう着いたねぇ」
「急にどうしたんだよ、あんなに疲れてたのに」

「先に行くなんて、酷くない?」
「最初に行ったのは、そっちだろ」

「あたしは待ちながらでしょ。もういいっ」
「なんだよそれ……」

 何故かウルは不機嫌だけど、こういう時は何を言っても駄目だから、それ以上は言えなかった。

 とりあえず家の中に入って、リビングに行くと、ファジーもマーザもいなかった。

「先に、ウルの部屋に荷物だけ運んじゃうか」
「あたしの部屋があるの?」

「うん、元々俺の部屋だけど」
「あの部屋使っていいんだ。2人は?」

「ちゃんとあるよ。行こうぜ」

 2階に上がってウルの部屋に行くと、綺麗に片付いてて、ベッドも新しくなってた。

 ウルの荷物を置いて、俺とゴカイの新しい部屋も見に行くと、俺の部屋の物が移されて、綺麗に掃除もされてて、新しい2段のベッドが置かれてた。

「あたしが来るから、同じ部屋なの?」
「それは違うけど、ゴカイに聞いて」

 ゴカイは、昨日俺に話した事を、照れくさそうにしながら、ウルにも簡単に説明した。

「そういう事ね。なんか色々とごめんね、2人とも。それに……ありがとう」

「どうした? 急に謝ったりお礼言ったり、頭大丈夫か?」
「心配だねぇ」

「なんとでもどーぞ、片付けて来よーっと」

 ウルの心境が全く分からなかった。

「怒らなかったねぇ」
「だな。俺達はどうするか」

 迷ってると、玄関が開いた音が聞こえたから、ウルに声をかけて、下に降りた。
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