Children Of The God's

鈴木ヨイチ

文字の大きさ
上 下
28 / 52
第2章

始まる最終試練

しおりを挟む
 第3段階の修行は全員一緒で、俺とウルとゴカイ、ゴウラク師匠とユウビさんとアネシュさんの、3対3のチーム戦。

 内容は、相手は誰でも構わないから、1人1回以上は必ず攻撃を当てて、合計6回攻撃を当てる事。

 この修行も能力の使用は無しだけど、師匠達も攻撃をしてくるから、終わるまでに約半年もかかった。

 最初は、3人で1人を攻めれば簡単だと思いやってみると、そもそもそんな事させてもらえずに断念。

 次に1対1に持ち込もうとしても、中々持ち込めず、やっとの思いで持ち込んでも、実力差がありすぎて、最初よりも何も出来ず断念。

 それから武器を投げてみたり、それを囮に素手で殴りかかったり、ガン爺の家の庭でやってたから、隠れながら奇襲を仕掛けてみたりした。

 どれも当てられずに断念。そんな事をしてる内に、1ヶ月は経過してたと思う。

 正直言って、1ヶ月間1回も攻撃が当たらなくて、それどころか、当たる気配すらない状況に、俺達は諦めかけてた。

 そんなある日家に帰ると、何故かファジーがアドバイスをくれた事があった。

 後々分かった事だけど、ガン爺が師匠としてではなく、じいちゃんとしてファジーから伝えてもらうように、言ってたらしい。

 直接教えたら修行にならないから、アドバイスを聞いて、自分達で考えるように。

 そのアドバイスと言うのが、1人で闘ってるなら自分だけの為に、自分が決めようとすればいい。

 それと、学び方は直接教えてもらうだけじゃない。この2つだけを言われた。

 それを聞いてからは、まずは攻撃を当てようとせず、師匠達の闘い方を見る事にした。

 見て学んでは実践しながらを、更に約1ヶ月やって、気付いた。

 師匠達は当てられないように守ってるけど、それぞれが自分を守ってる訳ではなくて、他の2人だけを守ってる事に。

 それからは、自分が当てる事を考えずに、2人の事を考えて、やってみた。

 すると段々当たる気がしてきて、そう思えてきた時に、それぞれが2人の為にではなくて、1人に絞ってやってみた。

 まずは、俺とウルとゴカイ3人が、ウルに当ててもらうよう、ウルだけの為に動いた。

 それを実践してすぐに、初めての攻撃が決まった。そのままの勢いで、ウルは1日で2回決めた。

 次はゴカイの為だけに3人が動いたけど、ウルに2回も連続で決められてか、師匠達の動きが完全に変わった。

 そこから1ヶ月は、隙を作る事すら出来なかったけど、やり方は変えずに、1度俺だけの為に動いてもらって、やってみた。

 そして、始まってから3ヶ月が過ぎた頃、俺の攻撃も1回決まった。

 1日でって訳にはいかなかったけど、2回目の攻撃も決まって、後2回当てれば終わる所まできた。

 師匠達は本気になってたけど、それだと隙すら作れないからって事で、手加減をしてくれて、なんとか隙を作っても、ゴカイは当てなかった。

 偽物の武器と分かってても、斬ろうとしなくて、それは流石に意味が分からなかった。

 そのまま2ヶ月間当てなくて、ゴカイが当てないから、もう1度俺が当てて、ゴカイが当てれば終わる状況になった。その時点で、始まってから約5ヶ月が経過。

 結局この修行も、ゴカイは斬らずに一応合格になった。理由は、複数での闘い方を学ぶ為だから、出来てると師匠達が判断して。

 第3段階も、ゴカイの信念に師匠達が負けた形で終わって、第4段階に移った。

 第4段階の修行は、能力有りでガン爺との3対1。内容は、誰かが攻撃を1回当てるか、ガン爺が合格と判断したら終わり。但し、ガン爺も能力を使用する。

 ここにきて、とうとうガン爺が出てきた。結果を先に言うと、実際は5ヶ月で合格したけど、半年間かかって、なんとか勝つ。

 今思えば、闘い方も分かった状態で、本気で闘い、しかも3対1、それで半年間何も出来ないのは、師匠達の師匠なんだから、当たり前な気がする。

 そのガン爺の能力はシンプルで、身体能力の強化が出来る。ただそれだけで、武器は、いつも持ってた杖が、実は直刀だった。

 ガン爺の能力は、100%を自由に割り振れて、均等に全身強化も出来るし、例えば足を速くして、重い物を持つとかだと、腕に50足に50ずつも出来る。

 それをまず最初に教えてもらったけど、実際に見るまでは信用せずに、ウルに遠距離で撃ってもらいながら、俺とゴカイが近距離で闘う作戦を実行した。

 ガン爺は目を瞑ったままだったり、逆に耳を塞いだり、武器を置いたり、遊んでる様なのに、手も足も出ない。

 それでも作戦は変えず、3ヶ月ぐらいはそのままでやって、それからはウルにも近距離で、銃を撃ちながら、剣でも闘ってもらった。

 それでもやっぱり駄目で、1ヶ月が経った頃に、師匠達が1つだけアドバイスをくれて、ガン爺は視覚を強化すれば銃弾すらゆっくり見えると、教えてくれた。

 最初は、銃が意味無いのかと思い、ウルも剣だけを使う様にしたけど、銃弾を避けるには、見てなければ避けれないから、銃を使う事にした。

 ガン爺を3人で囲んで、動き回って、ウルがガン爺の死角に入った時だけ、銃を撃つ作戦に変えると、常に目を瞑る様になった。

 見てなくても銃弾を避けるから、聴覚を強化して、銃声で距離と位置を把握してると考えて、目を瞑ったら、銃を使わない作戦に変えた。

 目を開けたら死角から撃つ、瞑ったら銃を使わない、これを繰り返して、更に1ヶ月が過ぎた。

 そして、始まってから5ヶ月が過ぎた頃、ガン爺に合格と言われたけど、何故かその時は断り、そこから1ヶ月間、1つの作戦に絞って続行した。

 作戦は、俺が10秒先の未来を視て、そこに合わせてゴカイに能力を使ってもらい、ガン爺の動きと視た未来が重なった瞬間に、ウルに能力を使ってもらう。

 ウルの能力は、自分が触れた物ならなんでも、支配する事が出来る。

 俺の能力だと、ガン爺の動きは視えても、その未来が必ず来る事しか分からないから、ゴカイの能力で、その動きをする確実なタイミングを、先に教えてもらう。

 そして、その動きをするタイミングに合わせて、3人一斉に斬りかかる。

 その動きをして、それによって生まれた隙を、ウルに突いてもらい、やっと触れて、ガン爺の体を支配出来た。

 この作戦は、少しズレただけで失敗してたから、勝った喜びよりも、作戦が成功した喜びの方が、強かった。

 ガン爺は負けを認めて、第4段階の修行も終わった。そして今日、最終段階の修行が行われる。

 その内容が、これから開催するイベント、夜間闘技で3人全員が無事に戻ること。

 もしリタイアになったら、第1段階からやり直しって言われてるから、必ず1回で成功しなきゃいけない。

 今俺は自分の部屋にいて、時間は18時。ウルとマーザは1階で料理を作ってくれてて、俺とゴカイはファジーの帰りを待ってるけど、ゴカイは何故か外で待ってる。

 緊張からじっとしてられないのか、それとも楽しみなのかは分からないけど。

 ファジーの帰りを待ってるのは、俺とゴカイの能力を覚醒しに行ってくれてるから。

 俺がファジーに貰った勲章は、俺の能力を虹色まで覚醒しても余るから、ゴカイの虹色まで覚醒出来る分も、出してあげた。

 貯めてた勲章は、目印を使うのに消したって言ってたし、俺はファジーに消してもらったのに、可哀想だと思ったから。

 ゴカイは最初は遠慮してたけど、仲間だろって言ったら素直に納得したし、4年経っても変わらず、バカだけど良い奴。

 本格的に修行を始めてからは、ウルとの喧嘩も無くなったし、ウルはゴカイにも優しくなった気がする。

 そんなウルが作ってくれてる晩御飯も、そろそろ出来ると思うし、もうすぐファジーも帰って来ると思うから、リビングに降りようと思う。
しおりを挟む

処理中です...