Children Of The God's

鈴木ヨイチ

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第2章

組織

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 ウルが建物の陰から飛び出し、俺とゴカイが後に続いた。

 俺は能力を使い、ウルが触れようとした直前に、ウルに向けて、相手が右腕を伸ばす未来を視る。

 それをウルに教える未来を視ると、相手よりも先に、ウルが触れていた。

「ウル、相手が右腕を出して来るから、気をつけろ」
「おっけー」

 そして未来視通りの結果になり、危なげもなく、作戦は成功した。

「ふぅ、楽勝だったね」
「だな」

 ウルが支配して、相手の思考を停止させたから、動けないし、能力も使えなくなった。

「結局あの人は、何もして来なかったねぇ」

 ゴカイに言われて上を見ると、監視役は堂々と姿を現していたけど、ただこっちを見下ろしてるだけで、動く気配が全く無かった。

「もしかして、あいつは仲間じゃないのか?」
「かもしれないねぇ」

「あんな変態は放っとこ。それよりさ、ノーマの考え通りなら、後は1人ずつ行って終わりだよね」

 俺の考えが正しかったら、ウルの言う通りだけど、呆気なく終わりすぎて、そこが少し引っかかる。

 それに、上から監視してる奴の目的が、益々分からなくなった。

 今倒した男の、仲間じゃ無いならそれでいいけど、仲間だとしたら、いなくても問題無いから、助けようとしないのか。

 それとも、いなくなるのは困るけど、仲間も来てないから、助けたいけど1人じゃ来れないのか。

 どちらにしろ、今の所害はないからいいけど、警戒を怠らず、行動しないといけないのは確か。

「ゴカイ、あいつの警戒任せていいか?」
「勿論だよ」

 ゴカイには、ここにいる間は、上だけを警戒してもらい、とりあえず倒した奴から、話を聞く事にした。

 ウルが、能力だけを使えないようにしてから、起こすと、すぐに目を覚ました。

「起きたな。お前に聞きたい事があるんだけど」
「ごめんなさいっ! なんでも話しますから、殺さないでっ!」

 歳は俺達と変わらないぐらいの男で、気弱な感じだけど、見た目通りだった。

「あたし、分かるんだよね。もし嘘ついたら殺しちゃうかも」
「はい……」

 冗談とは思えないウルの言い方に、凄まれた相手は完全に萎縮している様子だった。

 ゴカイは黙ってたけど、少なからず俺も軽く戦いたし、成長と共に、迫力が増してる気がする。

 だからここは、ウルに任せた。まずウルが聞いた事は、空の奴が仲間かどうか。

 その答えは、仲間だった。何故仲間なのに助けないのか聞くと、同じ組織にいるけど、組まされただけだし、能力ぐらいしか知ってる事は無い。

 その組織の名前はシーク。

「シークって、ゴカイを勧誘した組織か」
「そうだねぇ」

「じゃあ、今いるあんたの仲間は、皆そのシーク?」
「はい。君達3人を倒す為に、組まれたチームです」

 どういう事か聞くと、理由は聞かされてないけど、俺達3人を殺す、もしくは拠点まで連れてくるように、指示をされたらしい。

 狙われる理由は、全く見当もつかないけど、敵だという事ははっきりした。

 全員敵なら、ここでゆっくりもしてられないから、次に仲間の人数と、全員の能力を聞いた。

 まず、今日の夜間闘技に参加してるシークの人数は、11人だけ。

 そして、今話してくれてる奴の能力は、自分以外の物、生き物に触ると、対象の何処かに、印という字が浮かび上がる。

 それがある対象を、自分の好きな場所に瞬間移動させられるけど、時間の経過と共に文字が薄くなり、移動させられる範囲が狭まる。

 浮かび上がってから消えるまでが、約10分だから、その前に1度戻す必要があって、印が消えたら能力は発動しないし、自分は瞬間移動出来ない。

 2人目の空の奴は、時間制限とかはなく、空を飛べるだけ。

 3人目は糸を操る能力者で、目に見えない程の細い糸を、触れた物、生き物に付着させ、自身と繋ぐ。

 1度触れた対象には、自身と繋がってる状態に限り、再び触れずに、対象の位置に関係なく、付着させる本数を増やせる。

 糸が付着すれば、対象の位置が分かり、声が聞こえ、操れ、拘束が出来て、本数が増えるにつれて、様々な使い方が可能になる。

 ただし正確な距離は分からないけど、離れすぎたり、複雑な動きをすると、細いと強度が無いから、勝手に切れてしまう。

 目に見えるようになるにつれて、強度は上がるけど、糸に変わりはないから、意図的に切る事は可能。

 でも、それで切られたとしても、1本でも残ってれば、そこから何度でも増やせる。

 付着させられるのは、手の指の本数分までで、最大10人まで。

 糸は対象同士を繋げないから、対象の声は1度自分を通して、別の対象に繋いでる。

 4人目は、記憶を操作する能力者で、触れた対象の記憶を、自分の思い通りに変えられる。触れてる時間が長い程、対象の記憶は戻りにくくなる。

 ただ、普通の能力なら、使ってから触れるけど、この能力は順序が逆。

 まず対象に触れ、手を離したら能力が作動して、能力を使う前に触れた秒数で、効き目が変わる仕組み。

 対象の数に制限は無いし、操作出来る数にも制限は無いけど、対象の記憶が1つでも戻った時点で、全ての記憶が戻る。

 それに、対象に能力を使ったその瞬間から、対象の記憶が戻るまでの間は、触れた秒数はカウントされず、蓄積も出来ない。

 5人目は、自分の命令しか聞かない、複製人間を5人まで作れる。

 そのクローンは意志を持たず、簡単な命令しか聞けないし、それにも一定の距離があって、それ以上離れると、クローンは動かなくなる。

 6人目は今日初めて会ったから、能力は分からないらしい。

「能力者6人に、クローン5人なので、これで全員です」
「なるほどね。それじゃこの作戦の目的は?」

 ウルが聞くと、これも素直に教えてくれた。俺達3人をばらばらにして、1人ずつ倒してく、それだけの単純な作戦。

 シーク側は、ゴカイの能力は把握してたけど、俺とウルの能力を知らない。

 上手くいってれば、見つかっても見つからなくても、俺達は走り回って、やがて別行動になり、疲れた所を、1人に対して全員で攻める。

 ウルが1人になった時に行こうとしたけど、留まってる事が気になり、能力も分からないから攻めれず、それが誤算となり、今に至るらしい。

「ありがとう、それじゃあたし達は行くから。あ、それと、2時間後に能力使えるようにしたから、よろしく」

 抜かりなく、夜間闘技が終わるまでは、能力を使用出来ないようにしてて、ウルはそれを相手に伝え、俺達は歩き出した。

「あのっ……」
「何かな?」

 俺達は1度足を止め、問いかけに対し、ゴカイが返事をした。

「1つだけ……僕のお願いを聞いて欲しいんです……」
「なんで? どうしてあたし達が、敵のお願いを聞かなきゃいけないの?」

 ウルの言う事は最もだけど、こいつは敵の俺達が聞いた事に、ちゃんと答えてくれた。

「俺達のも聞いてもらった訳だし、聞くぐらいならいいんじゃないか?」

「何言ってんの? あたし達のはお願いじゃなくて、命令だから」
「そうだよな、ごめん」

 俺はすぐに謝った。確かにウルが正しいけど、敵とは言え、悪い奴には見えないから、少し可哀想にはなった。

 でも見た目で判断は出来ないし、他の能力者に会うまでは、話しが本当かも分からないから、この場はウルに従う事にした。

「分かればいいのよ。ほら、2人とも行くわよ」
「ちょっと待って、助けて欲しいんだって」

 俺とウルが話してる隙に、ゴカイが話しを聞いていた。

 ゴカイの聞いた話しだと、まず名前はシュンで、シュンはシークを抜けたいから、助けて欲しいとの事。

 その理由が、シュンの親がシークにいただけで、自分も自然と入らされた。

 参加したくも無い夜間闘技に参加させられ、抜けた所で行くあてもないし、それより抜けたら、後で何されるかも分からない。

 それで今日も、無理やり知らない人達と組まされ、夜間闘技に参加させられた。

 だけどさっき俺達に会って、やられた時に、全部話して信用してもらい、助けてもらおうと思ったらしい。

「ふーん……で? それよりゴカイ、あんた何してんの?」

「僕と同じなんだよねぇ。あの時と今は違うけど、僕もノーマに助けられたから、僕も誰かに返さないといけないんだ」

 ウルに怒られる覚悟はした上で、俺と初めて会った時のように、今度は自分が誰かを助けようと、話しを聞いた。

 だから怒られてもいいし、別行動でもいいから、ゴカイはシュンを助けると言って、譲らなかった。

「まぁ、ゴカイがそこまで言うなら、それでいいよ」
「ちょっと、ノーマ。ダメに決まって――」

「ただ、条件がある」

 俺が出した条件は、これから1人1人倒しに行くのに、シュンも一緒に同行する事。闘わずに、ただついてくればいいだけ。

「どうする?」
「はい……よろしくお願いします」

 シュンは条件を承諾した。まだ信用出来ないから、全員倒し終わり、全てが真実だったと分かった後で、改めて助けるか話し合う事に決まった。

 ゴカイはそれで納得して、ウルも渋々ではあるけど、一応納得してくれた。

 そしてウルには一応、夜間闘技が終わるまでは、シュンの能力が使えないままにしてもらい、ゴカイには、空から監視してる奴を警戒してもらった。
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