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魔女への入門
第四話 ステイ先へ
しおりを挟む川を越えると、そこは別世界だった。
空にはホウキで飛ぶ人たち。中央に続く道の屋台も、見たこともない魔法の道具や薬がたくさん置いてある。
「うわあああああ! 本当に魔女だ。魔法初めて見た!」
楽しくて、馬車の中からおのぼりさんのようにキョロキョロ忙しなく見回す。
しばらくすると、開けた所で馬車が止まった。扉が再び自動で開く。
「お疲れ様です。これから頑張ってください、魔女修行」
「送ってくれてありがとうございました」
御者の少女に心ばかりのチップを渡し、シアは馬車を降りた。
そこは広場になっていた。石畳の広場の真ん中にはモニュメントがあり、少し奥に小さな教会が建っている。反対側にはホールだろうか。モニュメントの両端には屋台が立ち並び、その外側は商店が並んでいる。
売っているものも独特だった。魔女っぽい服もあれば杖もあり、見るもの全てが珍しく、つい目的を忘れそうになってくる。
「余所見ばかりしてると危ないぞ」
村の警備の魔女だろうか。黒い制服のような衣装を身に纏ったお姉さんが、声をかけてくれた。
「わわ、いけない、ありがとうございます」
「余所者か? そういえばそんな時季だったな。どこに行く?」
「あ、あの、ゲーラさんのところに」
すると魔女のお姉さんはかなり驚いた顔をしたが、指を指しながら丁寧に説明してくれる。
「この通りをまっすぐ進み、三番目の道を右に曲がって二十分といったところか」
「あ、ありがとう、えーと」
「アイラだ。君は?」
笑顔で「シアです、よろしく」と答えると、教わった道を早速進み始めた。
◇◆◇◆◇
教えられた通りに道を曲がると、お庭のある一軒家が増えてきた。どのお宅のお庭も花いっぱいで、ひと工夫凝らしてある。
シアのいた都市より小綺麗で雰囲気もいい。建物の陰や裏の通りなども危険な感じは全くない。
ほぼ二十分。魔女のお姉さんの言った通りの時間で、ゲーラの家に到着した。
こじんまりとした一軒家に手入れの行き届いたお庭。傍にはテーブルとベンチがあり、外で食事をするなら気持ちが良さそうだ。
写真の通りの家を確認すると、シアは三回ほど深呼吸をした。
お世話になるのだから失礼のないように、と気合を入れると呼び鈴を鳴らす。
「こんにちは! ごめんください」
すると、中から「はーい」という少女の声と、軽快な足音が聞こえた。
ゲーラさんは老師じゃなかったかな、お手伝いさんかご家族かな、などと考えていると扉が開く。
しかしそんな彼女を出迎えてくれたのは、
「お、シア! 遅かったなっ!」
つい先程別れたばかりの幼馴染みに、顔も雰囲気もそっくりの、少女、だった。
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