ステンカ・ラージン 【軍神マルスの娘と呼ばれた女 5】 ―コサックを殲滅せよ!―

kei

文字の大きさ
7 / 59
ステンカ・ラージン Стенька Ра́зин

05 ブリーフィング

しおりを挟む
 帝国のスパイマスターと3人のエージェントを乗せた馬車はクィリナリスの丘を降り都心に向かった。

「ヤヨイ、お前はバカロレアを出ているが、Geographischen 地理は得意か? 」
 向かいあったウリル少将からこんな質問を受けた。
「専門が違います。リセ程度の知識しか・・・」
「だろうな」
と少将は言った。わかってるなら、聞くなよ。当然そう思い、ちょっとムカついた。
「今回のミッションは、帝国の北の野蛮人の地の西、ドンの北に流れる大河の、さらに北が活動範囲になる。
 ところで、
 現在のドンの西が、かつてどのような地勢であったか、大尉はわかるか? 」
 ウリル少将の向かって右隣にいたシェンカー大尉は頷いた。
「ドンの王都ピングーは、かつてヒマラヤと言われていたチンメイ山脈の向こう、旧文明ではインド亜大陸と言われた地にあります。今次戦役で一部を獲得した旧チナ領もそうですが、旧インド亜大陸も十億を超える人口を抱えていました・・・」
 シェンカー大尉はその後の言葉を飲み込んだ。言わずもがな、だったからだ。
 今から約千年前のポールシフトで、かつて80億ほどもいた人類はことごとく滅び、わずかな生き残りが帝国や東のノール王国、現在のドンや北の野蛮人たちであるのは、帝国人なら誰でも知っている、周知の事実だった。
「今、ドンの西に割拠しているDie örtlicher Ritterエルティシャ・リッター、諸豪族は、かつての旧インド亜大陸の人々と旧チナ人の混血の末裔と思われます。
 その諸豪族が、水没して大きく地形が変わった旧インド亜大陸から、大災厄当時Naher Ostenナーオステン、中東と呼ばれていた地域一帯に勢力を保っている。現在のドン王国の総人口は約2500万ほどだが、そのうちの3割以上、800万ほどの住民がいくつかの豪族の所領に分かれて居住しています」




 へえ。
 ずいぶん物知りなんだな、と思ったがちょっと腑に落ちない点があった。
「でも、閣下。
 閣下は先ほど『ドンの地の北の川の向こうが作戦地域になる』、と仰いました。それと、ドンの西の豪族と、どういう関係があるのですか? 」
「うむ」
 少将は隣のシェンカー大尉を顧みた。
「先のチナ戦役前まで。我が帝国の対外諜報、情報の収集目標は、チナと東のノール、そして北の野蛮人の地の動静を探ることに集中されていた。その外の世界も視野には入ってはいた。だが、優先順位ははるかに低かったのだ」
 はるか古代、共和制期のローマが、ギリシャ以東の地やアルプス以西の土地、そして、地中海を超えた先にあるアフリカ大陸の存在は知りつつも、直近の脅威である北のガリアや南のターラントやナポリと戦わなければならなかった。今の帝国の状況は、その当時と似ているかもしれない。当然、そうだろう。
「はい」ヤヨイも頷いた。
「だが、チナ戦役が終わり、しかも西に友好国ができた。北にもだ。ヤヨイ。お前が任務で不在の間に北の国境を越えて同盟国もでき、駐屯地も作られたのだ。
 これまで優先順位が低かったファーウェストとファーノース、極西、極北の世界への好奇心は、当然に頭をもたげてくる。西や北の情勢を深く知る必要性も、高まっていた。
 そこがどのような地で、そこに住まう者たちがどのような習俗を持ち、産業を営んでいるか。それを知るのは国防上ももちろんのこと、さらなる貿易を振興し農工業を拡大しより国力を高めるためには是非とも必要な探索であったわけだ。
 そこで政府は陸海軍に命じ、ドンの西の諸地方と北の野蛮人の地の探索を行うことになったわけだ。ここまでは、いいか? 」
「はい」
「ここにいるシェンカー大尉は現ドンの西の諸豪族の地を踏査する調査団に加わった。海軍の協力を得て海岸地方と内陸をくまなく調べ、つい先日戻ったのだ」
 じゃあ、わかってて当たり前じゃん! そう思ったが口にはしなかった。
「現在のドン人。旧チナ人というのは狡からいので有名だが、西の地に住む豪族たちというのはそれにさらに輪をかけた人情を持っているらしい。表では帝国からの調査団を歓迎しておきながら、夜になれば宿舎を襲撃してきたりする。そうした卑劣な行動が多々あったのだそうだ」
「ウラヌス」というコードネームが与えられた男というから、これから彼が同僚になるのだろう。ファーストインプレッションはいけ好かなかったが、彼なりに苦労してきたのだな、とは思った。
「そうした諸事情から、同じく北の野蛮人の地に向かった調査団は、相当な準備をし、兵力も一個中隊。ドンの西に派遣した兵力の倍の護衛をつけて向かわせた。
 しかし、その北に送った調査団が、消息を絶ったのだ。
 その一件に、どうもドンの西の豪族どもが関わっているフシがあるのだ」
 

 ヤヨイたち一行を乗せた馬車は元老院前広場に止まった。
 広大な石畳の広場の西には内閣府の庁舎が、東には各省庁の建物が、そして北に向かった正面には元老院会議場に入る広い石段があり、石段を登った上には白亜のエンタシスが何本も立ち並んだ、そこに立つだけで荘厳な気持ちになる場所だ。
 すぐに野戦用のヘルメットを被った護衛兵が寄って来て敬礼してきた。彼らは元老院会議が開かれる日はヘルメットをキンキラキンの飾りの着いたヤツに変えて儀仗兵にもなる。
 ヤヨイたちはウリル少将を先頭にして馬車を降りた。
 だが、向かう先は内閣府でも各省庁でも、もちろん元老院会議場でもない。
 会議場とこの広場の地下にある、陸海軍の統合参謀本部である。
 ここに来るのは半年振りか・・・。
 そんな感慨を覚えながら、ヤヨイはウリル少将の後について内閣府の建物の中にある階段を降りた。
 元老院会議場のちょうど真下に、300人ぐらいは収容可能な統合作戦本部の大会議場がある。ヤヨイも半年前にそこで行われた対チナ戦の作戦会議を傍聴した。
 今、一行が向かっているのはその大きな会議場ではなく、そこにある多くの事務局やオフィスと共にいくつか併設されているブリーフィングルームだった。
 すでに幾人かのカーキ色の将官や佐官尉官たち、それに2人だけだが海軍のネービーブルーの軍服が居並んでいて、ヤヨイもリヨン中尉やシェンカー大尉たちと並んで、そのコの字型の机の一番端の一角を占めた。
 右手にはドンと帝国の北方図、そしてドン西岸部の地図が掲げられていたが、その真向いの席にウリル少将と、初めて見るいかにもアタマの良さそうな少将や大佐たちが並んだ。
「では、クィリナリスのウリル閣下が来られましたので会議を始めます」
 まずは、正面最も左に座っていた金の樫の葉、誰だか知らない大佐が席を立ち、ヤヨイたちの向こう側を地図まで歩み寄って棒を持ち、説明を始めた。
「すでに諸官ご承知の通り、北の原住民の地へ向かった第一次調査団が連絡を絶ってすでに48時間が経過しました。
 調査団の規模は2個小隊の近衛軍団兵と20名ほどの学術調査員からなるおよそ1個中隊。昨年暮れに同盟を結んだこの第十三軍団北方のシビル族付近より出発し、4日ほどでこの第一地点に到達、さらに5日後に第二地点、そして第三地点を経由して約20ほどで川の北岸に南下、そこから舟で対岸であるドン領へ帰還する予定でした」




 頭のてっぺんがハゲかけたダレダカワカラン大佐は、いちいち棒で地図を指し、こう続けた。
「最後に通報があったのはこの、Die Volgaヴォルガ河の北方、クンカーの北北東約60キロ内陸のDritter Punkt第三地点付近と思われます。対岸に待機していた渡河支援隊の再三の無線での呼びかけにも応じなかったため、事態が明らかとなったわけであります! 」
 し~ん・・・。
 で? と誰もが思う。
 その救出隊をどのように編成・派遣するのか。その具体策のために、集まったんじゃないの? と。
 自然に、ウリル少将の隣に座っているアタマの良さげな金の縁取り肩章の黒髪メガネ氏に目がいった。
 すると、ヤヨイの隣にいたリヨン中尉がメモの切れ端にこんなことを書いて、寄越した。
――あのエラソーなメガネの人、リヒテル少将。作戦課の人。北の里の部族との同盟とか今回の調査事業全部立案した人。一個中隊ゼンメツ、ってなったら立場ない人。だからイラってるのさ! ――
 リヨン中尉は情報収集能力に秀でていてしばしば敵地潜入を行っているが、彼のもう一つの特技は、その類まれなる記憶力で帝国の陸海軍ほとんどの将官と佐官の顔と名前を全て記憶していることだった。
 見ると、黒髪メガネ少将の片足がかすかにカクカクしているのがわかった。貧乏ゆすりだ。
――へえ・・・――
 裏にそう書いて中尉に戻した。
 で、またメモが。
――な? 焦ってるんだよ、上は。勇み足だっつーの! ――
 そのメモをチラ見していると、
「そこっ! 厳粛なる会議中に、何をしておるのかっ! 」
 目聡くも、ダレダカ大佐がリヨン中尉とヤヨイのコソコソメモのやり取りを見つけ、あげつらった。
 しかも大佐はつかつかヤヨイの前に来てそのメモを取り上げようとした。
 が、
 リヨン中尉の手が伸びる方が早かった。
 彼は小さなメモをクシャクシャにして口に放り込みごっくん! 丸呑みしてしまったのである。
 こんな、ちょっとお茶らけが過ぎるところがあるリヨン中尉だが、こう見えて神経が図太い。
 先のチナ戦役で、彼は敵地深く潜入し機甲部隊の通過予定地を調査した。運悪く敵に掴まり酷い拷問を受けたりもしたが、絶対に口を割らず、逆に敵に信用されて敵将との橋渡しをしたりして戦争の早期終結に貢献したりした。人は見かけによらないのだ。
 ダレダカ大佐の呆気にとられた顔も面白かったが、それよりもウリル少将の顔の方が数段笑えた。
 ヤヨイのボスは、絶対に笑ってはいけない情況になると口をギュッと引き結びまるで怒ったような顔をしてソッポを向くのがクセだった。常日頃から細かいことをクドクド小うるさい上司ではあるが、こういうちょっとカワイイところがあるのでニクめない上司なのである。
 もちろん、笑いはしなかった。太腿をギュッとつねって堪えた。
 そして、尋ねた。
「あ、あのすいません。そもそも、その第一次調査隊の連絡途絶の原因を、統合参謀本部としてはどのように把握しているのですか? 」
 今は可能な手段をできるだけ早く講じるべきだろう。そのためには、出来るだけ多くの情報を得なくては。
「あー、それについてはほぼわかっている」
 ウリル少将が発言した。
「おそらくは北の野蛮人共が組織する大規模な騎馬隊が関与しているものと考えている。
 ほぼ同時期にこのヴォルガ河の南岸の都市クンカーが正体不明の騎馬隊の襲撃を受け少なくない被害を被っている。現地の情報を総合したところでは、その兵数は約3,000から5,000ほどらしい」
「結構な兵力ですね・・・」
 シェンカー大尉が唸った。
「あの、もうひとついいですか? その河の幅は? 馬が渡れるなら、深さはどのくらいなんですか?」 
 再びヤヨイが質問した。
「このクンカー北方の川幅は最も狭いところで1キロはある。それに水深もある。馬での渡河は不可能だ。目撃した者がいないので推測だが、おそらく騎馬隊は平底の舟を利用したものと思われる。これは史料編纂室にあったものだが、旧文明の20世紀に実際に海峡横断上陸作戦に使用されたものだ」





「野蛮人共はまだエンジンを持っていない。だから、一艘につき10から20騎程度のもので漕いで渡ってきたものと思われる」
「とすると、総兵力4,000騎として少なくとも200隻! よくそんな舟を・・・」
「それは簡単だ、少尉」
 ヤヨイの疑問に答えたのが「ウラヌス」だった。ウリル少将に叱られたくせに、彼は性懲りもなく見下したように言った。
「今回の調査行で判明したのだが、このヴォルガ河が注ぐDas Kaspisches Meer カスピ海とドンの西岸は水で繋がっているのだ」
「繋がっている? ということは、マルセイユからもターラントからも船で行き来可能ということですか。その、北の国境の川と? 」
「そうだ」
と、シェンカー大尉、「ウラヌス」は言った。
「元々ドンの西の豪族たちは古来漁や船での貿易で富を得ていたこともわかった。おそらくは今回、北の野蛮人と結託して北を襲撃させ、ドンがその収拾に忙殺されるようならその隙に乗じてドンの中枢を脅かそうというハラだったのだろう」
「左様であるっ! とにかく! 」
 ダレダカ大佐が苛立ったように吼えた。
「この上は、早急に救出隊を派遣、必要ならば河口から海軍の艦艇を遡上させるなどし、さらに飛行船による北方異民族に対する威嚇爆撃などで牽制、救出隊の安全を担保する予定だ! 」
 そこで、ヤヨイの正面に座っていたネービーブルーの金髪士官がすっくと立ちあがった。、
「第三艦隊参謀、エーリッヒであります! 意見を、よろしいですか?! 」
 ちょっと、血の気多すぎ? みたいな熱血少佐は、「憤然と!」という形容詞が似合いそうな勢いでダレダカ大佐に挑みかかった。
「・・・承(うけたまわ)る」
 すると金髪ネービー熱血少佐はさながら機関銃のように言葉を発し始めた。
「では、申し上げます!
 先ほどの大佐のご発言の中に『必要ならば河口から海軍の艦艇を遡上させるなどし』というお言葉がございましたが、現在、海軍には当該河川へただちに遡上させ得る艦艇はありません! 」
「なんだと?! 」
「事実であります! まず喫水の確認をするべく、当該河川の水深測量を行ってから航行の可否の決定をする。その手順が必要なのであります! 」
 ネービーブルーの熱血少佐は続けた。
「今回の西の調査行でドンの西が、我が帝国とドンを北の原住民の土地と隔てるヴォルガ河とつながっているのが確認されたのは大きな発見でした。ですが、それ以上の踏破にはどうしても事前の河川調査と補給の算段が必要なのであります! 
 もし行うとすれば、この辺りに補給地点を設けて石炭を集積し、臨時の桟橋を敷設し補給船を回し・・・」
 地図の前に進み出て、今すぐの川の艦船遡上行動などはムリであることを力説した。もし行うとすれば、調査と補給地点の設営に3か月はかかり、補給地点を海兵隊に守備させる必要がある、と。
「そんな悠長なヒマはないっ! 」
 メガネのリヒテル少将のカクカクがカカカ・・・になり、さらにひどくなった。
 ウリル少将がそれまで一言も発言していなかった隣のエリート少将に尋ねた。
「ところでリヒテル少将、ドンは正式に救援を要請してきたかね? 」
 リヒテル少将は貧乏ゆすりをやめ、帝国のスパイマスターの質問に答えた。
「さきほど、駐ピングーの大使館を通じて要請してきたと報告があった。すでに国境にいる第十七軍団の兵を割いて南岸の防備に向かわせている。友好国であり、軍派遣の要請があった場合の取り決めもある。陛下には先ほど内閣府を通じてご報告申し上げた。トラックを使用しているので明日中には配置に着く予定だ」
「では、その部隊に救出隊の支援が期待できますな」
「もちろん、その予定だ」
「ではだいたい、材料は出そろったようですな」
 ウリル少将は広がりつつある額に手を当てて立ち上がった。
「統合参謀本部、及び内閣府からの要請によれば、この『北方異民族の地における第二次調査事業』、その実は『第一次調査隊の救出作戦』、は、全てわが特務の裁量にお任せいただけるという話だった。それで、よろしいですな? 」
「・・・承知している」
 とリヒテル少将は言った。
「その作戦内容、向かう部隊の編成、兵員、装備、飛行船を含む航空支援なども全て」
「・・・左様である」
「第十七軍団の後方支援も含めて、全て参謀本部了承の許、全面的に協力いただけると。そうですな? 」
 うむ、と作戦部の将官は被りを振った。
「では、結構です。直ちに作戦に移ります! 」
 ヤヨイたち「エージェント」もまた、起ちあがった。
 そして、ボスであるウリル少将に続いてブリーフィングルームを後にした。
 だが、ヤヨイがルームを出る間際、エラそうなリヒテル少将がつかつか寄って来て、何をされるのかとちょっと怯んだが、少将はヤヨイの手をギュッと握って、
「ヴァインライヒ少尉、いや『マルス』! ぜひとも、よしなに、頼む・・・」
と言った。疲れからなのだろうか、彼の目は少し潤んでいるように見えた。
「び、微力を尽くします!」


 クィリナリスに帰る馬車の中で、ボスは言った。
「現地に向かう救出部隊は『マルス』、そして、『ウラヌス』とする」
 えーっ?! なんで?
 ヤヨイの顔に思わず浮かんだ嫌悪の色を、閣下は無視した。
「その指揮を、『ウラヌス』、キミが執れ」
「はい、わかりました」
 えーっ?! マジ? 
 ショックを隠せないヤヨイをヨソに、最後に閣下はこう言った。
「『マーキュリー』は第十七軍団の支援部隊に加わり、救出作戦を支援する。いいな?」
「わかりました・・・」
 がーん!・・・。
 あまりにもショック過ぎてしばらく口が利けないでいたが、馬車がクィリナリスに着く前に、辛うじてこれだけは言った。
「では、連れて行くスタッフはわたしに選ばせてください! わたしのほうが、経験は上ですから! 」
 閣下はしばらく黙っていたが、ふっ、と鼻で笑い、言った。
「よかろう。勝手にしろ」
「じゃあ、勝手にさせてもらいます! 」
 そして、「ウラヌス」を睨んだ。













アサシン・ヤヨイシリーズ ひとくちメモ

 26 上陸用舟艇について



上陸用舟艇にはいくつかのタイプがあります。

以降、ウィキペディアより。

WWⅡだけでも、
大日本帝国
・小発動艇 日本陸軍の上陸用舟艇。兵員用の小型艇。海軍にも供与。
・大発動艇 日本陸軍の上陸用舟艇。兵員・車両用の大型艇で主力となった形式。海軍にも供与。
・特大発動艇 日本陸軍の上陸用舟艇。大発動艇の拡大型。

イギリス
・LCA (Landing Craft Assault)イギリス海軍の小型の上陸用舟艇。

アメリカ合衆国
・LCI (Landing Craft Infantry) アメリカ海軍・イギリス海軍の大型の揚陸舟艇。歩兵用。
・LCPL (Landing Craft Personnel(Large)) LCVP、LCMと並んでアメリカ海軍の主力揚陸用舟艇。
・LCT (Landing Craft Tank) 戦車揚陸用。同様の目的の戦車揚陸艦(LST)よりかなり小型。アメリカ陸軍・イギリス海軍で使用。
・LCVP ヒギンズ・ボート(Landing Craft, Vehicles, Personnel) 汎用小型上陸用舟艇。20,000隻以上製造された。アメリカ陸軍・アメリカ海兵隊で使用。
・MINI ATC(小型装甲兵員輸送艇)ベトナム戦争中、SEALs向けに開発された特殊作戦用の上陸用舟艇。アメリカ海軍、フィリピン海軍で使用。
メコン川流域での特殊作戦を想定しているが、内水での行動も可能。高速で浅水域を航行でき、セラミック装甲を有していたが、武装は貧弱であった。現在はこの後継としてアメリカ海軍では河川特殊作戦舟艇が配備されている。

LCVP (アメリカ合衆国)
 軽貨排水量:18,000ポンド (8.2 t) 全長:36フィート3インチ (11.05 m) 全幅:10フィート10インチ (3.30 m) 吃水 前方:2フィート2インチ  0.66 m) 後方:3フィート (0.91 m)
機関:225馬力 (168 kW) グレーマリン・ディーゼルエンジンまたは、250馬力 (190 kW) ガソリンエンジン × 1基 速力:9ノット (17 km/h)
乗員:3人 
搭載能力:車両6,000ポンド (2,700 kg)、もしくは物資8,100ポンド (3,700 kg) 兵員:36人 武装:7.62 mm機銃 × 2丁 

現存する艇
D-Day博物館に展示中のLCVP
数隻のオリジナルとレプリカが21世紀に入っても存在しており、国立第二次世界大戦博物館(旧称: 国立 D-Day 博物館)、アメリカン・ヘリテージ・ミュージアム、国立アメリカ陸軍博物館などアメリカの軍事系博物館で見ることができる。なおアメリカン・ヘリテージ・ミュージアムで展示のものはノルマンディーで発見されたLVCPのオリジナルである。

アンドリュー・ヒギンズ設計による第二次世界大戦で用いられた上陸用舟艇であり、ヒギンズ・インダストリーおよびライセンスされた各社合計で20,000隻が建造された。
合板製の船体は吃水の浅い艀状であり、1個小隊相当の36人を9ノットの速度で海岸へ揚陸可能とした。乗り込んだ兵員は、前方のバウランプから突撃することが可能であった。

最初の写真は、1945年4月、太平洋戦線沖縄の戦いにおいて、兵員を満載し上陸に向かうアメリカ軍のLCVP。ハスケル級攻撃輸送艦「ダーク」所属の18号艇

二番目がノルマンディー上陸作戦におけるアメリカ軍の上陸用舟艇(LCVP)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...