寝取り寝取られ家内円満 ~最愛の妻をなんと親父に寝取られたのに幸せになっちゃう男の話~

kei

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01 いつもとは違う朝

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「いってらっしゃい。がんばってね」

 靴を履いて三和土に立ち、妻マユのバード・キスで送り出されるのが俺の朝の常でした。
 朝が弱いマユは大抵俺が出かける寸前まで寝ています。だから朝食は自分で作って独りで食べます。身支度を整えに寝室に戻る頃に彼女は起きだします。だぶだぶのTシャツにショートパンツというしどけない姿。セミロングの髪はくしゃくしゃ、腹や尻をぼりぼり掻いて欠伸を噛み殺しながら俺を追って階段を降りてくる・・・。

 それが、いつもの朝の風景でした。

 ところがその習慣がこの半月前ほどから徐々に変わり、その朝は特に違っていました。
 驚天動地というのはこのことでしょうか。朝は俺より早く起き、食器をガチャガチャ言わせてわーとかぎゃーとか叫び、大騒ぎしながら朝食を作ってくれ、だぶだぶTシャツこそいつもながら、髪は後ろできちんと巻き上げ、いささか緊張した面持ちで俺を玄関で見送ってくれるようになっていました。
 いつもの「いってらっしゃい」後のキスはその朝特に熱く、俺の首に腕を回して舌まで入れてきました。突然のことに驚きましたが、応えました。夫婦、しかもまだ結婚して一年半の、新婚と言っていいぐらいの俺たちなのですから、おかしくはないのかも知れませんけど。
 上がり口の壁に下げてある古い姿見にマユの肢体が映っていました。張りのある尻から伸びる健康的な白い太腿。彼女の汗の匂いとキスの刺激とで昨夜の激しかった情交を思いだし熱くなりました。
 そんな熱いセックスは本当に久しぶりでした。最近受け身がちになっていたマユが、昨夜は俺を半ば押さえつけるように貪ってきたのです。その刺激のせいか、連夜の残業で疲れていたせいか、一か月ぶりのコトだったせいなのか、一分と持ちませんでした。当然マユは満足していなかったでしょう。
「疲れてたんだよね。ホントにごめんね」
 終わった後、そう言って慰めてくれはしましたけど。
「おっと、電車に乗り遅れるよ! 」
 俺は後ろ髪を引かれる思いで家を後にしました。
 六時五五分の通勤快速に乗るためには十五分には家を出なければなりません。駅まで自転車で走るのです。都合の良いバスが無いので仕方がありませんでした。このド田舎の実家に戻ってきて早や半年。毎朝のこの苦行にも慣れてきました。
 
 前の年の春、世の中が世紀末とかミレニアムとかでザワザワしていた年、俺は二五で二才年下のマユと結婚しました。社内恋愛でした。
 背が高くて、目が大きくて、ちょっと天然で体育会系が入っていて、押しが強いけどサバサバした性格。それが何故か心地よくて、何故かいつも俺の側にいるという感じで、いつの間にか自然に付き合い、いつの間にか結婚していました。
「結婚したら、コトブキするから養ってね! 」
 そう言ってあっさり会社を辞め、彼女は専業主婦になりました。
 はじめは俺が入社してから住んでいた街中のアパートにそのままマユが転がり込んできたような形で暮らしていました。
 給料が上がったらもっといいマンションに移ろう。
 そう話し合っていたのですが、半年前の冬、今住んでいる俺の実家に移りました。
 理由は、俺の収入が減り安アパートの家賃さえ満足に払えなくなってしまったからです。
 俺の会社は所謂IT業界に属しています。企業にコンピュータのシステムを提案し、構築し、保守するのが主な業務です。俺は営業として顧客を開拓し、既存の顧客に提案し、業務を受注して、開発にシステムを構築させ、販売し、保守管理の契約を取るのが俺の仕事です。
 仕事はキツく就業時間もあってないようなものでした。固定給の割合が小さく歩合給は成績に左右されますから気を抜けません。月末など売上が目標額に達していない場合、終電で帰れればいい方で、もう何度会社やホテルに泊まったりオフィスの机に伏して朝を迎えたか知れません。
 結婚と前後して大きな顧客を任されるようになり、さらに新規開拓のプレッシャーがかかり始めると、徐々に仕事が厳しくなりました。次第に成績が下がってゆき、それに伴って歩合給も減ってゆきました。焦って闇雲に頑張ろうとすればするほど仕事の内容は空回りしてゆきました。
 本当はマユに働いてほしかったのですが、なかなか自分からは言い出せませんでした。
 でもとうとうどうにもならなくなって、恥ずかしさを堪え、マユに全て打ち明けました。
 それなのに、黙って俺の話を聞いていたマユの口から出た言葉は期待とは全然違うものでした。
 マユは俺のことを「たー君」と呼びます。名前が「タカシ」だからです。
「じゃあさ、たー君の実家でお義父さんと一緒に暮らそうよ。そうすれば家賃分節約できるじゃん! 」
 耳を疑いました。
 俺のオヤジは若いころから女遊びが好きで、俺のオフクロと結婚してもそれは続いていました。外で会うだけならまだしも、ついには愛人を家に連れ込み、挙句オフクロに愛人との行為を見せつける。そんな鬼畜の所業を積み重ねてきた人間なのです。俺が五年生の時、とうとうオフクロは愛想をつかして家を出て行きました。
 それ以来オフクロには会っていません。
 そのせいで、俺の思春期は少年時代の優しかった美しいオフクロの面影を独りで反芻してばかりいる暗いものになっていました。
 そういうことが積み重なって俺はオヤジを憎むようになり、高校に上がった時からずっと実家を避けるように生きて来たのです。
 マユと付き合い始め、結婚し共に生活してゆく中で、そのことについては彼女にも再三説明していました。彼女は俺の気持ちを理解してくれているはず、と思い込んでいました。だから、オヤジとの同居を言い出したことに驚いたのです。
 俺はどうしても同居がイヤで、プライドを捨てて共働きの事を頼みました。それに対し彼女はただ一言、
「やだ」と言いました。
「だってあたし、ストッキング履くのキライなんだもん」
 ショートパンツから伸びるピチピチの生足を叩きながら、マユはあっけらかんと言い放ちました。
 人生最大の鬱でした。
 俺はマユのストッキング嫌いのお陰で会いたくもないオヤジに頭を下げに行かなくてはならなくなりました。マユに腕を引かれ、重い脚を引き摺るようにして実家に行きました。
 オヤジとはマユとの結婚式で会ったきりでした。
 恥を忍んで同居のことを切り出すと、傲岸不遜な貌でしばらく俺を無言で見下していました。そして・・・。
「好きにしろ」と言いました。
「どうせ部屋は余ってるし、お前の家なんだから遠慮するな」
 オヤジを嫌いながら、オヤジに縋らざるを得ない。惨めさと自己嫌悪とを抱えながら、俺は実家に移りました。
 それなのに。
 そんな俺の内心を知ってか知らずか、マユは、
「あたし、大きな庭のあるお家に住むの夢だったんだあ! 」とか、
「あたし毎日庭の手入れするからね! 」とか、
「こういう家なら子供六人ぐらいいてもいいね! 」
 などと能天気に燥ぎ、俺の気分をさらに落ち込ませました。それまでの片道三十分の通勤時間が四倍になり、そのせいで終電を逃すことが多くなり、会社に泊まり込むことが増えてゆきました。
 結婚当初こそ毎晩のようにしていた夜の性活のほうも次第に減ってゆきました。結婚二年目にして早くも月に一度もないような状況になりました。そして悪いことには、挿入しても途中で萎えてしまう、いわゆる「中折れ」さえするようになっていたのです。
 一方のマユは、性生活が減少しても特に不平も言わず、食欲も増し、毎日残業でクタクタになっていく俺に反比例するように美しくなっていきました。
 付き合う前はスレンダーなカモシカの様な体つきだったのに、次第に豊満になり、色艶に輝きが増していくように見えました。太ってきたのではなく、出るとこが出てきて締まるところは締まった体つき、とでも言うのでしょうか。
 特にお茶椀ぐらいだった乳房が膨らみをまし、腰回りの肉付きも増してゆきました。愛妻が美しくセクシーになってゆくのを嫌がる男はいないと思います。要するにマユは日々魅力的になってゆきました。
 家事についても苦手な料理にも積極的になり、「わー」とか「あちゃー」とか言いながらどんどんレパートリーを増やして行きました。縁側から転げ落ちて頬に青タンを作ったり、階段を踏み外して膝を擦り剝いたりしながら、古くて広い家を切り盛りするのを楽しんでいるように見えました。
 オヤジは地元の市役所に勤めていましたが、俺が出勤する時間は毎日のロードワークに出かけていて居ませんし、俺が帰宅する深夜にはすでに床に就いていました。その年に定年を迎えることもあり、「有給消化だ」と言ってはゴルフだなんだと遠出していたせいで、あまり家に一緒に居る印象を受けずに済んでいたのは不幸中の幸いでした。

 ですが、ただ一つ気がかりなのは、やはりマユのことでした。
 年を取ったとはいえ、オヤジは女癖に関しては前科がありましたから。それがために初夏を迎え薄着になったマユには特に気を付けるように再三注意していました。
「お義父さんなら大丈夫だよ」
 その度に事も無げに応えるマユに些かの不安を抱いてはいました。
 特に、偶の休みの日など、例のTシャツにショートパンツというあられもない格好で庭の草取りをしているマユを目にするのですが、ブラジャーをしていないのが一目でわかりますし、ショートパンツから尻の谷間が見えていることもありました。
「そんな恰好で」と注意すると、
「虫除けしたから大丈夫」と見当外れのことを言いました。
 時にマユがオヤジと一緒に台所に立つツーショットを見てしまったりすると、大人気ないヤキモチを覚え、何だよアレはと抗議したこともありました。
「あたし料理下手だからお義父さんから教わってるだけだよ。たー君心配し過ぎィ・・・」
 とケラケラ笑うのです。
 憎たらしいったらありゃしませんでした。
 結婚した当初は舅と嫁を意識してかギコチ無さすら見せていたのに、同居をキッカケに急速に親しくなる二人がまるで夫婦のように見え、小言ばかり言う俺の方がマユの義父であるかのような錯覚をするほどでした。
 自転車は車と一緒にガレージに置いてありました。オヤジの派手な赤いロータス・エランが憎たらしく、タイヤを一つ蹴って、自転車に跨り駅に向かいました。

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