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序章
有罪判決
しおりを挟む「義理の妹であるルシーダ・ラングラム嬢の殺害を企て実行したとして、元侯爵令嬢ソフィア・モニク・ラングラムを有罪とする」
裁判官の判決宣告に、それまでシンと静まり返っていた法廷が突如喧騒に包まれた。
ソフィアを罵る者、有罪を妥当だと讃える者、そしてソフィアを擁護し無実だと訴える者──
異様な熱気の中、被告人席のソフィアはひとり静かに立ち尽くしていた。
担当してくれた国選弁護人がもごもごと意味のない謝罪と悔やみを言いそそくさと去っていくが、返答する気力はなかった。
ガンガンッ!
「静粛に!」
裁判官が木槌を打ち鳴らすが、興奮した人々は聞く耳を持たない。
大陪審の判決はソフィアの想像通りのものだった。
裁判官の左右に連なる陪審員は誰も彼もが義妹のルシーダの息のかかった者たちなのだろう。
ソフィアに向けられる彼らの視線は一様に冷たく、揃いも揃って気味が悪いほどに表情がなかった。
( きっと私も似たようなものだわ )
※ ※ ※
ソフィアはハイエンス公国の侯爵家に生まれ、幼少期からなに不自由なく過ごしてきた。
病弱な母と優しい父に愛され、それはそれは幸せだった。
けれど、母が亡くなると状況は一変した。
父が突然見知らぬ親子を屋敷に招き入れ、再婚すると言ったからだ。
ソフィアがまだ8つで母が亡くなってわずか三ヶ月後のことだった。
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