読めない彼女の心情

わらび餅

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9.不登校 前半

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テスト結果発表日のホームルームでのこと

担任の先生がプリントの束を持って話し始めた

「みんな、知っていると思うが
クラスメイトの蔵木 透(くらき とおる)くんは、入学からほとんど学校に来ていない
テストも気分が悪いとのことで別室で受けてもらった」

念のためここで言っておくが彼は、体が弱いわけではないらしい

テストもおおかた仮病だろう

いわゆる不登校児だ

「なのでテスト結果をまだ知らせられていない
だれか、彼の家に行って届けてくれないか
場所は、北地区のあたりだ」

面倒なのか、それとも生徒に対する余計な気遣いなのだろうか

そもそも、こんなものに立候補するものなど

(北地区…うちの近くですね
…嫌な予感がします)

秋の頭には、あの赤い頭が浮かぶ

「あ、じゃあオレやります」

そういって綺麗に手を上げたのは、斗真だった

「おおそうか、やってくれるか
じゃあ、如月に任せよう」

その後も、順調にホームルームは進み今日授業は、終了となった

秋は、用は済んだとばかりに帰ろうとするが斗真に捕まる

「なあ、秋一緒に行こうぜ」

「…やっぱりそうなりますか
一様聞きますが拒否権は?」

案の定というかなんというか
当然というように秋も連れて行く気らしい

返事ももちろん『ない!』という言葉が満面の笑みで帰って来た

「来ないなら、蔵木んちに行った後お前の家にも突撃するけど?」

なんて脅し文句まで付けてきた

(それは、少々困りますね
まあ、言いませんが)

「わかりました
私も行きましょう」

こうして、仕方がなく秋も同伴で蔵木 透の家へとむかうのだった
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