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chapter four

33.シリアスクラッシャー

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アベルの住む屋敷

普段誰も近付かない彼の屋敷の前には、ふたりの男の子が立っていた

「…なんか緊張する」

「緊張って、散々忍び込んだろ?」

「昼だから…?」

カイルとソラは来た道を逆戻りして屋敷に帰っていた

本人達は、これで真剣なのだがどうも気が抜ける

「ま、オレがついてるんだから心配はいらないぜ!」

「兄さん…ボク達は謝りにいくんだよ?」

「っう…」

元気付けようとしたのだろうが逆につっこまれてしまった

本人達は、これでも真剣…のはずだ

「と、とりあえず行くぞ」

なんだか同じ光景を見た気もするが

ともかく門番の人に声をかけることにした

子供なんて無視されるかもと心配していたふたりだが

「おお、ミリア殿のお知り合いですか
少々お待ちを」

と、あっさり通されてしまった

ミリアは、一様新入りという枠組みではあるが

色々な部署に回されているため異様に顔が広かったりする

その後もトントン拍子に話が進みミリアの部屋でミリアが来るのを待っていた

「…オレ達、結構頑張って忍び込んだのに」

そんな、虚しい呟きをするのだった




しばらくするとミリアがクッキーと紅茶を持ってやってきた

「いらっしゃいませ、カイル様、ソラ様」

「…お姉ちゃん、それ食べてもいいの?」

急いできたせいかソラはお腹が空いていた

しかもミリアの焼いたクッキーは絶品だったりする

「はい、前回お褒めいただいたので」

ソラは、もぐもぐとクッキーを頬張りあっという間に完食してしまった

「…あ」

空の皿を見てしょんぼりする

「ふふ、大丈夫ですよ
おかわりをお持ちしますね」

その言葉にめがキラキラ輝く

何故だろう尻尾が見える気がする

「おいソラ、何しに来たか覚えてるか?」

「…あ」

本当に、真剣なのだろうか…
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