甘責めがつ子の惑溺愛へのナローパス

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がつ子、道草を食う

7.


 掌で耳が塞がれ、玄関の扉越しにわずかに伝わってきていた外の雨の気配が絶えた。
 大きな男の腕の中で吸われ啜られる音と自分が貪られる感触に支配される。かくかくと脚が震えた。
 自由を奪われる悔しさ、恐ろしさと似ていて、それらとは違う。
 快楽に似ているのに、自分の知るそれとは違う。
 樹子はおどろいた。
 動けず抗えず、ままならないというのに進んで男に身を委ねたいと望んでいる。
 とんでもないことだ。
 自分の動きを封じ唇を貪る男の体は大きい。力も強い。害意があれば無事では済まない。それなのに樹子は広居主任を疑ったことが一度もなかった。今まで害されたことが一度もないのだから、これからもないはずだと無根拠に信じている。いとしげに頬ずりし口づける男を信じたがっている。何より

――好き。

 警戒も保身も建前も何もかも、主任が心に秘めている他人への気持ちさえしのぎ、樹子の恋情はいつの間にか大きく育ち心を占めている。
 自分の思いの丈と同じだけ、相手から思われたい。
 そう願っているから、広居主任の仕草、愛撫のひとつひとつに自分への渇望を見出してしまう。それはただの願望だ、思い過ごしだ、冷静になれといつもなら樹子の心にかかるかせが今夜は役に立たない。
 からもつれるように玄関から寝室へ移る。

「大路、会いたかった……」

 ぎゅう。
 きつく抱き締めていた手が背中から腰、腰からスカートの下へと這った。熱い掌がゆっくり毀れものを扱うようにガーターベルトに縛められた太ももから尻へ、尻から太ももへ丸みを確かめるように動く。耳もとで広居主任が深く溜め息をつく。指がTバックショーツの細いストリングスをなぞった。

「しゅに、ん……っ」
「あの青い下着の中から、選りに選ってこれ、か。――今日はずっとこれを?」
「は、い。今夜お目にかかる予定でしたけど、残業もあって遅くなりそうだから……」
「知っていたら何が何でも早い便で帰ったのに」

 尾てい骨の上、ストリングスの結節点ノードを飾るレースの花をくるりくるりと撫でながら広居主任は怒張を押しつけた。

「駄目、です……」
「どうして」

 溜め息まじりに耳もとで囁かれて肌が粟立つ。息が上がる。

「しゅに、んのスーツ、汚しちゃう……、あそこ、もう濡れて、るから」

 大きな手がびき、と動きを止めた。

「俺はいっこうにかまわないんだが、きみが気にするなら先に脱ごう」

 互いに服を脱ぐ。広居主任にいわれてストッキングも下着も着けたままの姿で樹子はベッドにうつぶせた。熱い掌に導かれ腰を高く上げる。クロッチで隠れる前面と違い、尻はストリングスのみでほぼ露わになってしまっている。

「苦しい?」
「いいえ、苦しくはないんですがその、は、恥ずかしいです……」
「気にするな。見るのは俺だけだ」

 溜め息とともに大きな手がそっと腰に触れた。
 熱い指が腰から尾てい骨へと紺色のストリングスをたどる。

「もうご覧になったことですし、あの、シャワーを――」
「それは後で」
「でも、……っん」

 尾てい骨の上で咲く小さなレースの花を撫でた指がクロッチへ降りていく。淡く濃く珊瑚礁の海のようにグラデーションをなすブルーのレースで飾られたそこはすでに
 く、ちゅ。
 濡れていた。秘唇のかたちを確かめるように指が前後する。
 快楽が泡と化し胎の奥へたちのぼるように伝わっていく。樹子は喘ぎをこらえた。

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