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4.突然の拉致
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「陽君、助けて!」
「え」
その日は、曇りだった。雨が降りそうだな、サボろうかなと思いつつ、重い足を動かして学校に向かった。
校門が見えてきたところで電話がかかってきた。
おかしいな。僕の携帯なんかにかけてくる人は滅多にいないのに。
画面を見ると杏奈さんの文字を見てようやく思い出した。二週間くらい前だからすっかり忘れてた。
「あの、もしもし」
「陽君、助けて!」
「え」
「あのね、今変な人につけられてるの!」
どうしよう。焦りながらも、なんとか頭をフル回転する。
「えっと、そっちに向かうんで、場所教えてください!」
とっさに言葉が出た。
生きてきた中で一番大きな声を出したと思う。
「前会った河原の近くにいる!」
「わかりました、待っててください」
通話を切り、走り出した。河原ならここから走って五分もかからない。
はあ、はあ、はあ…。息切れで苦しい。河原にたどり着いたけど、人の姿は見えない。もしかして、もう……。
「っ杏奈さん、どこにいますか!」
必死になって叫んだ。
「ここだよ」
後ろから声がしたのですぐさま振り返った。でも、杏奈さんの声ってこんなに低かったっけ。
そう思った次の瞬間、薬品のにおいがしたかと思うと、僕の意識は朦朧とし始めた。
薄れゆく視界の中見えたのは、杏奈さんと黒服の男たちだった。
♦♦♦
「う…」
目が覚めたら、知らない部屋だった。丁寧にも布団をかけられていた。
「ここどこなんだろう…」
「どこだと思う?」
「うわあっ」
いきなり耳元で声がして、驚いた僕は飛び上がった。
ベットのすぐ横に目を向けると、男の人がいた。全然気付かなかった。
「いいねえ、その反応。脅かし甲斐があるってもんよ」
けらけらと笑うその男は、白衣を着ていた。色眼鏡をかけていて、派手な服を着ている。明らかに変な人だけど……
「…もしかして、お医者さんですか?」
そう聞いたら、男の人はおなかを抱えてうずくまった。
「っく、ぶはっ、そうだよ、ぶふっ、お医者さんだよっ」
なんでこんなに笑われてるんだろう。というかこの人本当にお医者さんなのか。
「おーい、うるせーぞ、理人。って、おい、そいつ起きたらすぐ言えっていっただろーが!」
理人と呼ばれた男の人が扉から入ってきた大きな男の人に殴られる。理人という人と同じくらいの年齢みたいだけど、無精髭が生えていて筋肉質な人だ。
「悪いな、坊主。変なことされなかったか?」
「あ、えっと、大丈夫なんですけど、えっと」
「あー、とりあえず向こうでせつめいするから、」
「あの、杏奈さんは!女の人は無事ですか」
「わーったよ、落ち着け。杏奈は無事だしお前にもなんもしねえから。ほら、ちゃんと立てよ」
そして、僕をひょいっと持ち上げてベットから降ろしてくれた。
とりあえず、悪い人たちではないのかな。
「ありがとうございます。えっと…」
「俺は岳だ。そっちの気持ち悪い奴は理人」
「ひどいなあ、ただ診察してただけなのに」
「ええと、岳さんも理人さんもありがとうございます」
ぺこりとお辞儀する。
「いい、いい。礼なんか。それより、ここがどこか知りたいんだろ?ほら、着いてこい」
岳さんはそう言って、扉から出て行く。
これから何が始まるんだろう。
僕は言葉にできない不安に駆られ、唾を飲み込んだ。
「え」
その日は、曇りだった。雨が降りそうだな、サボろうかなと思いつつ、重い足を動かして学校に向かった。
校門が見えてきたところで電話がかかってきた。
おかしいな。僕の携帯なんかにかけてくる人は滅多にいないのに。
画面を見ると杏奈さんの文字を見てようやく思い出した。二週間くらい前だからすっかり忘れてた。
「あの、もしもし」
「陽君、助けて!」
「え」
「あのね、今変な人につけられてるの!」
どうしよう。焦りながらも、なんとか頭をフル回転する。
「えっと、そっちに向かうんで、場所教えてください!」
とっさに言葉が出た。
生きてきた中で一番大きな声を出したと思う。
「前会った河原の近くにいる!」
「わかりました、待っててください」
通話を切り、走り出した。河原ならここから走って五分もかからない。
はあ、はあ、はあ…。息切れで苦しい。河原にたどり着いたけど、人の姿は見えない。もしかして、もう……。
「っ杏奈さん、どこにいますか!」
必死になって叫んだ。
「ここだよ」
後ろから声がしたのですぐさま振り返った。でも、杏奈さんの声ってこんなに低かったっけ。
そう思った次の瞬間、薬品のにおいがしたかと思うと、僕の意識は朦朧とし始めた。
薄れゆく視界の中見えたのは、杏奈さんと黒服の男たちだった。
♦♦♦
「う…」
目が覚めたら、知らない部屋だった。丁寧にも布団をかけられていた。
「ここどこなんだろう…」
「どこだと思う?」
「うわあっ」
いきなり耳元で声がして、驚いた僕は飛び上がった。
ベットのすぐ横に目を向けると、男の人がいた。全然気付かなかった。
「いいねえ、その反応。脅かし甲斐があるってもんよ」
けらけらと笑うその男は、白衣を着ていた。色眼鏡をかけていて、派手な服を着ている。明らかに変な人だけど……
「…もしかして、お医者さんですか?」
そう聞いたら、男の人はおなかを抱えてうずくまった。
「っく、ぶはっ、そうだよ、ぶふっ、お医者さんだよっ」
なんでこんなに笑われてるんだろう。というかこの人本当にお医者さんなのか。
「おーい、うるせーぞ、理人。って、おい、そいつ起きたらすぐ言えっていっただろーが!」
理人と呼ばれた男の人が扉から入ってきた大きな男の人に殴られる。理人という人と同じくらいの年齢みたいだけど、無精髭が生えていて筋肉質な人だ。
「悪いな、坊主。変なことされなかったか?」
「あ、えっと、大丈夫なんですけど、えっと」
「あー、とりあえず向こうでせつめいするから、」
「あの、杏奈さんは!女の人は無事ですか」
「わーったよ、落ち着け。杏奈は無事だしお前にもなんもしねえから。ほら、ちゃんと立てよ」
そして、僕をひょいっと持ち上げてベットから降ろしてくれた。
とりあえず、悪い人たちではないのかな。
「ありがとうございます。えっと…」
「俺は岳だ。そっちの気持ち悪い奴は理人」
「ひどいなあ、ただ診察してただけなのに」
「ええと、岳さんも理人さんもありがとうございます」
ぺこりとお辞儀する。
「いい、いい。礼なんか。それより、ここがどこか知りたいんだろ?ほら、着いてこい」
岳さんはそう言って、扉から出て行く。
これから何が始まるんだろう。
僕は言葉にできない不安に駆られ、唾を飲み込んだ。
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