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梨沙梨沙の実家からの帰宅途中、利久は利和にお礼を言った。

利久「父さん。本当にありがとう。今回の件もそうだけど、梨沙の事も認めてくれて。今回の依頼報酬は家に帰ってからすぐに支払います。」

利和「報酬はいらん。二人の未来の為に使いなさい,。、、梨沙さんは本当にいい子だ。これは弁護士として受けたわけじゃ無い。少し法律に詳しい初老が家族を守るためにやった事だ。」

その言葉を聞いて利久は父の偉大さを実感し、涙が流れてきた。

家に着くと、佳恵と梨沙が心配そうに庭で待っていた。

それを見て、利久は笑顔で手を振ると、梨沙は糸が切れたようにその場に泣き崩れ、佳恵はそんな梨沙の背中を優しくさすり始めた。

利和「決着を付けてきた。話は家の中でしよう」

そう言うと、梨沙を立ち上がらせ、「お前はうちの子だ!胸を張れ」と優しく微笑みかけた。

梨沙は言葉も出せないほど泣いていたが、利和の一言に対し精一杯「バィ」と返事をして、深くお辞儀をした。

利久は梨沙を支えながら家の中に入っていた。

家の中で改めて、利和が梨沙の実家であった事、無事二人から署名をもらえたことを伝え、梨沙に声をかけた。

利和「梨沙さん。これで過去は清算できた。私の目の黒いうちはあの二人は絶対に近づけさせない。遅れてしまったが、改めて息子をよろしくお願いします。」

その言葉と同時に深く頭を下げ、佳恵も無言のまま頭を下げた。

「お義父さん、お義母さん頭をあげて下さい。こちらこそ不束な小娘ですが、よろしくお願いします。」

と頭を下げた。

利久「帰り際、報酬はいらないと言われたけど、これは気持ちです。受け取ってください。」

利久は封筒を利和に差し出した。

利和「気持ちは受け取った。弁護士費用としてこれは受理するが、ここからは親としてちゃんとお祝いしたい。これを受け取ってくれ。」

と利和は封筒をそのまま利久に戻した。それと同時に、ハッと気がついた佳恵はちょっと待っててと言い残し、退出した。

利久「父さん本当にありがとう。そう言うことなら父さんの気持ちとしてありがたく頂戴します。」

梨沙「私にできる恩返しがあれば何でもします。お義父さん達は私の恩人です。」

その言葉を言い終わるや否や佳恵が小さな箱を持って戻ってきた。

佳恵「梨沙さん。これは私が母から受け継いだ時計なの。」

そう言うと佳恵は、かなり古いがキレイにメンテナンスされ、大事にしてきたのがはっきりとわかる懐中時計を梨沙に差し出した。

佳恵「私の母はもう他界してしまっていないけど、この時計を生涯大事にしていたわ。いつか信頼出来る子が出来れば受け継いで言って欲しいと言い残して、私に託したの。」

佳恵「私の祖母が祖父に初めてプレゼンされた品らしいのだけど、もう古くてね、動かないし、修理も効かないらしいのだけど、これを受け継いで欲しいの。梨沙さんに。」

梨沙「そんな大事なものを私なんかに渡していいんですか?それに、私、まだ、、お会いしてから数日しか経ってないのに。」

佳恵「人の想いって時間では無いの。大切な思いは最初から変わらず、時間だけが過ぎていくものなの。想いと時間は=では無いのよ。私は梨沙さんが大好きで信頼してる。だから、、ね?」

佳恵の言葉を聞きながら梨沙はまた涙を流し始めた。

利久は、そんな梨沙の背中をさすりながら、

利久「梨沙は年末から泣きっぱなしだな。そろそろ梨沙の笑顔が見たいんだけど?」

と優しく微笑んだ。

梨沙「、、、無理。無理だよ。こんなに暖かくて、幸せで、ホッとする人たちに囲まれて、、過去のことも全部知った上で、こんな私を大好きって言ってくれ、、泣かない方が無理だよ。。」

佳恵「いいのよ。今までずっと我慢してたんだもんね。誰にも言えないで、、一人で、、がま、、んして、たんだもんね?」

その言葉を発しながら佳恵も涙を浮かべて、梨沙の隣に座りなおし、優しく抱きしめた。

その行動が、さらに梨沙の涙を加速させ、声にならない声で鳴き続けた。

利和は、みんなから見られないように後ろを向いたが、わかる。

鼻をすする音と腕で必死に目をこする姿を見て利久も泣いた。

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