女装男子は学校一のイケメンからの溺愛を拒めない

紀本明

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「だいたいみっくんもみっくんだよ! イケメン先輩がいくらイケメンだからってハジメテを捧げちゃうなんて……!」
「は、ハジメテ……?」

 いや、なんの話だ。俺はまだ貞操は守ってるぞ……!
 さては、中条のヤツ、ひよりになんかいらんこと吹き込んだな?!

 俺は視線で中条を睨むが、やつは肩をすくめて目を逸らしやがった。

「どうせみっくんのことだからイケメン過ぎる顔に絆されちゃったんだよね……? ねぇ、そうでしょ?」
「あ、いや、ひより、なにか誤解があるような気がするんだが……。俺と中条はそんな仲じゃ……」
「じゃぁどんな仲なの?」
「そ、それは……」

 言えない……、miccoが中条のタイプどんぴしゃで、彼女になってって言われたんだなんて、言えない……、俺の口からは言えない……!

 お前が言えよ、なかじょぉぉ!!

 願いも虚しく、中条はだんまりを決め込んでいる。

「みっくんは、好きでもない人と平気でキスできちゃうような人だったの⁉ じゃぁ私ともできるってことだよね? ねぇっそうでしょ?」

 なんでそうなるかな……。呆れてものが言えない。
 つーか、さっきから論点がズレてやないか……?

「わっ、ひより⁉」
「あっ、コラ、イノシシ女!」

 突然ひよりは俺に詰め寄ると、頬を両手で挟みこんできた。そしてあろうことか、そのまま強引に引っ張られ、不意打ちを食らった俺はバランスを崩してしまう。

 ぎゅっと目を閉じる美少女の顔が、目の前まで迫っていた。


「んむっ……」

 間一髪……!
 唇同士が触れそうになる一歩手前で、俺はひよりの口を手で覆うことに成功。俺は自分の手の甲にキスをするという間抜けをかましていた。

「いい加減にしろって! ひよりこそ、好きでもない俺となんで無理やりキスしようとすんだよ。意味がわからない」

 中条に迫るならまだしも、なんで俺なんだよ。

「なによ……、好きでもない相手にハジメテまで捧げといて、私にはキスの一つもしてくれないんだ……。優しいみっくんのことだから、イケメン先輩に強引に押し切られてるだけだと思ってたのに……。まさかみっくんまでノリノリだったなんてぇ……うわぁぁぁん――」

 ひよりはその場にへたりこんでまた泣き出してしまった。

 泣きたいの、こっちなんだけど……。ひよりと中条のいざこざに巻き込まれてる被害者俺だよな……?
 なんで全部俺が悪いみたいになってんの?

 いや、確かに、ひよりが中条に思いを寄せているのを知ってて、中条とこうなってるのは、自分でもどうかと思ってるけど……。そこは、確かに、俺も悪い。

「ひよりは、なにをどうしたいんだよ……」

 しくしくと泣き続けるひよりにほとほと疲れた俺は、早くこの話を終わらせたかった。ひよりがなにを望んでいるのか、はっきりさせようと俺は覚悟を決める。

 たとえ、ひよりが中条に告白して、俺と中条との関係が壊れようとも、それはもう致し方のないことだし、いずれ来ることは覚悟の上だったはずだ。

「ふぇ? わたし……?」
「そうだよ、なにに怒って悲しんでるのか、教えてもらわないとわかんないんだよ」

 きょとんと俺を見上げて、ひよりは真っ赤な目をぱちぱちと瞬いた。ややして、なにか納得したような表情をして「そっか、みっくんは筋金入りのコミュ障だもん、仕方ないわよひより、ここはコミュ力では上をいく私が我慢してあげなくちゃ」とぶつぶつと呟きだす。

 いや、全部聞こえてますけどね。

 喉まで出かかった言葉を飲み込んで俺は待つ。

 ひよりは少し考えた後、俺を見上げた。

「私が怒ってるのは、イケメン先輩がみっくんのハジメテを奪ったから。あと、みっくんがそんなイケメン先輩につけ込まれて浮かれてるのが気に入らない。悲しいのは、好きな人が私のことなんか全く眼中にないって思い知ったから」

「好きな人っていうのは……つまり……」

 中条のことだよな? って本人の前で聞いていいんだろうか……?
 いや、それはさすがにだめだよな、と思いつつ視線をそっと中条に向けて言外に示唆するが、

「言っとくけど、イケメン先輩じゃないからね」

 と、否定されてしまった。

「えっ⁉」

 違うの⁉

「みっくんさぁ、私とイケメン先輩のことくっつけようとしてたけど、的外れもいいとこだよ」
「え……じゃ、じゃぁ……」

 ――二人の中心にいるのは誰かしら?

 姉ちゃんの言葉が、また頭に響いた。



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