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初仕事
52 依頼
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「わぁぁぁぁぁーーーーー!」
「あぁもう! こら待なさーーい」
「ちょっと、リーク君もアリサもって!」
1人の男の子が草原へ飛び出し、駆け巡る。釣られるように、2人の男女が姿を現した。
ここは、クメール公爵家の避暑地。俗に言う別荘というやつだ。
別荘と言えど、その屋敷はかなり大きい。貴族を招いてパーティーを開ける程に。結婚式を挙げて、盛大に祝える程に。
華やかな屋敷ではあるが、無駄に装飾されている訳では無い。白を基調とし自然と一体化した屋敷は、どこか安らぎ、心が落ち着ける。まさに避暑地の屋敷にはふさわしい。
辺りを森と草原に囲まれ、鳥のさえずりが聞こえる。草原を駆ける兎の親子。木陰で眠る2匹の子猫。何者にも襲われる心配もなく、ここにいる動物たちは警戒心を解いている。ここはそういう静かなところだ。
「だから待っててば、速いよ。うわっ! って虫か」
バッタが跳ねたのに、アリサは驚いたが、その正体に気づくと平常心を取り戻し、また追いかける。
「わーい。鬼さんこちら」
草原を駆けるリークとアリサ、ついでにオルバ。それをアイリーンは、バルコニーから優雅に眺めていた。
「アイリ様、お茶が入りました」
「今日はダージリンね」
「分かりますか?」
間違えるはずがない。ダージリンの特徴は、色の薄さと独特の香り。何よりこれも、アイリーンの好きな銘柄の一つだからだ。
「ふあぁぁー……… 眠い」
「ああ。こんな日は木陰で昼寝にかぎる」
エリックとファーゼンは、大木に括りつけられたハンモックで昼寝をしていた。2人も休日を十分に満喫していた。
だが、なぜこうなっているのかというと、話は少し遡る
闘技場での授業が終わる。他の授業も寝ていたエリックとファーゼンは、気付けば放課後になっていた。2人はレベッカ先生のお説教の後、クラブ室へと向かった。
「確か今日から依頼受けるんだよな」
「どんな依頼あるんだろうな」
2人は期待に胸を膨らませていた。
「「ちわーーっス」」
「お! 来たな大型新人」
「相変わらずデケー態度だな」
先輩方は2人よりも早く来ていた。別に2人が来るのが遅かった訳では無い。授業の関係から、授業数が少なくなる先輩方の方が、早くクラブ室に来れるのだ。
今日はそれだけではなく、レベッカ先生からの呼び出しもあり、余計に遅れていた。アリサたちから事情を聞いているため、先輩達も分かっていた。
「ニードル先輩、今日の依頼の件はどうなってるすか?」
「丁度今その事でアリサとオルバと話していたところだ。あとニードル様な?」
2人が席に着くと、話は再開される。
「それでな、4人には指名の依頼が来てるんだよ」
話を何も聞いていないエリックとファーゼンは嫌な顔をする。当然のことだ。厄介事の臭いしかしない。
「「却下だな」」
2人は当然の如く断った。
「まぁ待てよ。まだ何も話してないだろ。依頼内容を聞いてからもでも遅くは無いだろ」
「そんなの決まってるじゃないですか」
(どうせファーゼンの秘密を探ろうとしている奴だろ?)
「まぁそうだな。受けるメリットがない」
(エリックは俺の心配をしているだろうが、それは自分にも当てはまると言うことを知らないからな。どこまでお人好しなんだか)
2人は頑なにニードルの話を聞こうとはしない。あれだけの事(エルドールの件)があれば、それも仕方の無いことだろうが。
「まぁそれも仕方の無いことなのかもしれないわね。でも、依頼主を聞いたら驚くわよ」
「そうだね。サプライズって感じだったもんね」
アリサとオルバは口を揃えて言う。
「そうだぞ。例えどんなに怪しくても、俺だったら断らないな」
ニードルがそう言うからには、何かあるのだろう。
「そこまで言うなら聞くけどさ、で誰なの?」
「それはだな、アイリーン様だ」
「あぁもう! こら待なさーーい」
「ちょっと、リーク君もアリサもって!」
1人の男の子が草原へ飛び出し、駆け巡る。釣られるように、2人の男女が姿を現した。
ここは、クメール公爵家の避暑地。俗に言う別荘というやつだ。
別荘と言えど、その屋敷はかなり大きい。貴族を招いてパーティーを開ける程に。結婚式を挙げて、盛大に祝える程に。
華やかな屋敷ではあるが、無駄に装飾されている訳では無い。白を基調とし自然と一体化した屋敷は、どこか安らぎ、心が落ち着ける。まさに避暑地の屋敷にはふさわしい。
辺りを森と草原に囲まれ、鳥のさえずりが聞こえる。草原を駆ける兎の親子。木陰で眠る2匹の子猫。何者にも襲われる心配もなく、ここにいる動物たちは警戒心を解いている。ここはそういう静かなところだ。
「だから待っててば、速いよ。うわっ! って虫か」
バッタが跳ねたのに、アリサは驚いたが、その正体に気づくと平常心を取り戻し、また追いかける。
「わーい。鬼さんこちら」
草原を駆けるリークとアリサ、ついでにオルバ。それをアイリーンは、バルコニーから優雅に眺めていた。
「アイリ様、お茶が入りました」
「今日はダージリンね」
「分かりますか?」
間違えるはずがない。ダージリンの特徴は、色の薄さと独特の香り。何よりこれも、アイリーンの好きな銘柄の一つだからだ。
「ふあぁぁー……… 眠い」
「ああ。こんな日は木陰で昼寝にかぎる」
エリックとファーゼンは、大木に括りつけられたハンモックで昼寝をしていた。2人も休日を十分に満喫していた。
だが、なぜこうなっているのかというと、話は少し遡る
闘技場での授業が終わる。他の授業も寝ていたエリックとファーゼンは、気付けば放課後になっていた。2人はレベッカ先生のお説教の後、クラブ室へと向かった。
「確か今日から依頼受けるんだよな」
「どんな依頼あるんだろうな」
2人は期待に胸を膨らませていた。
「「ちわーーっス」」
「お! 来たな大型新人」
「相変わらずデケー態度だな」
先輩方は2人よりも早く来ていた。別に2人が来るのが遅かった訳では無い。授業の関係から、授業数が少なくなる先輩方の方が、早くクラブ室に来れるのだ。
今日はそれだけではなく、レベッカ先生からの呼び出しもあり、余計に遅れていた。アリサたちから事情を聞いているため、先輩達も分かっていた。
「ニードル先輩、今日の依頼の件はどうなってるすか?」
「丁度今その事でアリサとオルバと話していたところだ。あとニードル様な?」
2人が席に着くと、話は再開される。
「それでな、4人には指名の依頼が来てるんだよ」
話を何も聞いていないエリックとファーゼンは嫌な顔をする。当然のことだ。厄介事の臭いしかしない。
「「却下だな」」
2人は当然の如く断った。
「まぁ待てよ。まだ何も話してないだろ。依頼内容を聞いてからもでも遅くは無いだろ」
「そんなの決まってるじゃないですか」
(どうせファーゼンの秘密を探ろうとしている奴だろ?)
「まぁそうだな。受けるメリットがない」
(エリックは俺の心配をしているだろうが、それは自分にも当てはまると言うことを知らないからな。どこまでお人好しなんだか)
2人は頑なにニードルの話を聞こうとはしない。あれだけの事(エルドールの件)があれば、それも仕方の無いことだろうが。
「まぁそれも仕方の無いことなのかもしれないわね。でも、依頼主を聞いたら驚くわよ」
「そうだね。サプライズって感じだったもんね」
アリサとオルバは口を揃えて言う。
「そうだぞ。例えどんなに怪しくても、俺だったら断らないな」
ニードルがそう言うからには、何かあるのだろう。
「そこまで言うなら聞くけどさ、で誰なの?」
「それはだな、アイリーン様だ」
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