風と、海と、太陽と。 ~ Feel the Wind ~

清野 星弥

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第3章 ― 新たな予感 ―

第3話 秋風~あきかぜ~

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 美奈へ渡した手紙の返事は、高校1年の秋と
高校2年の夏の過去2回と同じく、美奈の友人から
手渡された。
 「武田くん、ちょっと待って。これ、美奈から」
 そう言って呼び止めたその顔には明らかに
 「どうせダメなんだから、こんな役回りさせないでよ」
 と訴えていた。

 雅哉と一緒に下校している時に正門の近くで
声を掛けられ、治希と雅哉はチラリと顔を見合わせた。
 正門を出た後は長い下り坂が続く。
 治希は楷書の綺麗な字で書かれた手紙を読みながら
坂道を下り、雅哉は無言で治希の横に並んで歩いた。


  『手紙ありがとう。気持ちはとても嬉しいです。
  この先の人生で、これほど私のことを好きに
  なってくれる男性が現れるのかな・・・。
   もう二度と、こんなに私のことを思ってくれる
  人はいないかもしれない。
   でも、2年前に私から終わらせた恋を、
  中途半端な気持ちで復活させることは武田くんに
  失礼だから・・・。ごめんなさい・・・。
   お互いにもっと素敵な人に巡り合えることを
  願っています』


 治希は読み終えると、ため息をつき天を仰いだ・・・。
そして、天を見上げたまま横にいる雅哉に手紙を渡した。
 雅哉は一読して、治希の肩を無言で「ポンポン」と
二度叩いた。

 治希は快晴の秋空に、胸の奥から美奈の存在がスーっと
消えていく感覚を覚えた。そして、もう冷たくなっていた
晩秋の風がやけに心地よかった。

 数日後、治希と中学3年の時に同じクラスだった
お節介好きな女友達が、美奈が推薦入試に合格したという情報を、
わざわざ治希に伝えに来た。
 この県立高校からその大学に合格できたのは、
美奈が初めてのことだった。
 「当然だろ。美奈だぞ。」
 内心では治希はそう思っていたが、口には出さず
 「“おめでとう”って伝えといて」
 と伝言を頼んだ。

 美奈と治希の教室は離れていたため、互いの姿を見かける
ことはほとんどなかったが、それでも何度か見かけた美奈の
後ろ姿は、現役のバレー部だったころと同じく、
短い髪のままだった。
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