風と、海と、太陽と。 ~ Feel the Wind ~

清野 星弥

文字の大きさ
28 / 38
第5章 ― 疑惑のドライブ ―

第4話 言えなかった・・・

しおりを挟む
 「2年だよね。長いよね。喧嘩とかしないの?」

 「たまにはするけど、すぐに仲直りするよ」

 「ふ~ん。いいなぁ。私も彼氏欲しいなあ」

 「あれから、誰とも付き合ってないの?」

 「うん・・・そうだね。大学で声を掛けられたことは
何度かあるけど、イマイチなんだよね」

 「好きな人はいないの?」

 「いないことはないんだけど・・・。
ちょっと無理かな。今は・・・」

 美奈は目線を少し下げ、両手の中にあるカフェ・オレの
入ったカップをぼんやりと見つめながら答えた。

 「美奈なら怖いものないだろ」

 「ちょっと、それどういう意味?私を化け物みたいに
言わないでよ」

 美奈は少し怒ったような顔で治希を見て、
カップをテーブルに置いた。

 「そういう意味じゃないけど、美奈が告白すればみんな
OKしてくれると思うからさ」

 「そうかなぁ・・・。でも自信無いんだ」

 「そんな弱気なとこ見るの、初めてだな」

 「・・・」

 美奈は思わず口から出そうな言葉をグッと飲み込んだ。

 「で、愛のことって何?」

 「えっ?あぁ、あのね、今だから言うけど、実は高校3年の冬休み、
槙野ちゃん私の家に来たんだ」

 「ホントかよ!直接話したことあったのか!」

 「うん。私ん家の近くに公園あるでしょ?あの公園で話したんだけど、
どうやったら治希が好きになってくれるか、どうやったら私を
超えられるのかって、真剣に質問してきたよ」

 「・・・」

 治希は無言のまま再びコーヒーを一口飲み、二人が話してる
光景を想像した。そして、頭を整理しようと目を閉じた。

 美奈は治希のそんな行動を見て、少し間を置いて話を続けた。

 「それで、私は『もう、とっくに超えてるよ。
私も治希が短い髪の方が好きだって知ってて・・・、
私のことを忘れないで欲しいと思って切ったの。
 槙野ちゃんも治希が短い髪が好きだって知って切ったんでしょ?
 私は縁りを戻すつもりはなかったけど、
治希を誰かに取られるのは嫌だった。
私、自信があったんだけどなぁ。
治希はまた戻って来るって・・・』って言ったの・・・」

 治希はそれまで黙って美奈の話を聞いていたが

 「まて・・・それじゃあ、美奈は高3の時、
オレのことが好きだったってこと?」

 「そうだよ・・・」

 美奈は事もなげに言い、再三口から出そうになる言葉を飲み込んだ。
そして更に話を続けた。

 「でも、槙野ちゃんは、『まだ超えてない。まだスタートもしていなし、
付き合って3年以上経たないと超えたとは言えないもん。
武田くんは美奈ちゃんを3年間好きだったんだから。』って言ってた。
槙野ちゃんのあの強烈な目で、じっと見られると迫力あるよね」

 「そうだな。オレも時々睨まれるし・・・」

 治希は三口目のコーヒーを口にしながら、
愛の二重瞼の大きな目を想像して苦笑いした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

一億円の花嫁

藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。 父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。 もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。 「きっと、素晴らしい旅になる」 ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが…… 幸か不幸か!? 思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。 ※エブリスタさまにも掲載

〜仕事も恋愛もハードモード!?〜 ON/OFF♡オフィスワーカー

i.q
恋愛
切り替えギャップ鬼上司に翻弄されちゃうオフィスラブ☆ 最悪な失恋をした主人公とONとOFFの切り替えが激しい鬼上司のオフィスラブストーリー♡ バリバリのキャリアウーマン街道一直線の爽やか属性女子【川瀬 陸】。そんな陸は突然彼氏から呼び出される。出向いた先には……彼氏と見知らぬ女が!? 酷い失恋をした陸。しかし、同じ職場の鬼課長の【榊】は失恋なんてお構いなし。傷が乾かぬうちに仕事はスーパーハードモード。その上、この鬼課長は————。 数年前に執筆して他サイトに投稿してあったお話(別タイトル。本文軽い修正あり)

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...