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第5章 ― 疑惑のドライブ ―
第6話 疑惑のドライブ
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治希が自宅に戻り夜の9時を回った頃、
治希の家の電話が鳴った。
「治希?私」
「美奈・・・」
「今から会えないかな?今、近くの駅まで来てるから。
待ってるね」
治希は夕方の美奈の言葉の真意を確かめようと思い
駅に向かった。
電車を降りて改札を出て行く人達とすれ違い、
最後に出て来た美奈と駅の片隅で立ったまま話した。
「さっきはごめんなさい。今の治希のことを考えないで。
自分の気持ちを抑えきれなかった。でも気持ちは本当だよ。
今でも治希が好き。だけど、槙野ちゃんとの関係を
壊すつもりはないから」
「当たり前だろ。それに、こんなことでぶっ壊れるわけ
ないだろ」
「本当は、去年から駅や街で何度か見かけたんだけど、
声を掛け辛くて・・・」
― 偶然通りすぎた 交差点の脇
聞き覚えのある声 ふと足が止まる
鼓動が速くなって 数人のグループ
大きな声で笑うあなたを見つけた
声を掛けようか しばらく迷って
本当に楽しそうだから 上げかけた手 戻した
わたしだけが忘れない あなたは全て忘れて
毎日の中で 少しも私を 思い出さないの ―
『ふたりのDIFFERENCE』
美奈はあの時カフェで伝えられなかったことを伝えた。
「あのね、私・・・4月からアメリカに行くんだ。
シカゴの大学に留学するの。大学卒業したら向こうで仕事
見つけたいと思って。
だから治希とこうやって話せるのも、これが最後に
なっちゃうから・・・」
「アメリカ・・・。シカゴ・・・」
治希はそうつぶやき、何か大切なものを失うような感覚に陥った。
やはり、『ついていくのに必死』だというのは謙遜だった。
美奈の成績は常にトップクラスだった。本来なら今通っている
地元の大学ではなく、関東の誰もが聞いたことのある有名大学でも
やっていけるはずだが、高校受験のあの時と同じだ。
この街から、治希から離れたくなかっただけだったのだ。
「治希、今からドライブに連れてって」
治希は「美奈がアメリカに行ってしまう」と思うと何も
考えられなくなった。
気が付くと美奈を助手席に乗せ、海岸沿いの国道を西へ走らせていた。
治希の家の電話が鳴った。
「治希?私」
「美奈・・・」
「今から会えないかな?今、近くの駅まで来てるから。
待ってるね」
治希は夕方の美奈の言葉の真意を確かめようと思い
駅に向かった。
電車を降りて改札を出て行く人達とすれ違い、
最後に出て来た美奈と駅の片隅で立ったまま話した。
「さっきはごめんなさい。今の治希のことを考えないで。
自分の気持ちを抑えきれなかった。でも気持ちは本当だよ。
今でも治希が好き。だけど、槙野ちゃんとの関係を
壊すつもりはないから」
「当たり前だろ。それに、こんなことでぶっ壊れるわけ
ないだろ」
「本当は、去年から駅や街で何度か見かけたんだけど、
声を掛け辛くて・・・」
― 偶然通りすぎた 交差点の脇
聞き覚えのある声 ふと足が止まる
鼓動が速くなって 数人のグループ
大きな声で笑うあなたを見つけた
声を掛けようか しばらく迷って
本当に楽しそうだから 上げかけた手 戻した
わたしだけが忘れない あなたは全て忘れて
毎日の中で 少しも私を 思い出さないの ―
『ふたりのDIFFERENCE』
美奈はあの時カフェで伝えられなかったことを伝えた。
「あのね、私・・・4月からアメリカに行くんだ。
シカゴの大学に留学するの。大学卒業したら向こうで仕事
見つけたいと思って。
だから治希とこうやって話せるのも、これが最後に
なっちゃうから・・・」
「アメリカ・・・。シカゴ・・・」
治希はそうつぶやき、何か大切なものを失うような感覚に陥った。
やはり、『ついていくのに必死』だというのは謙遜だった。
美奈の成績は常にトップクラスだった。本来なら今通っている
地元の大学ではなく、関東の誰もが聞いたことのある有名大学でも
やっていけるはずだが、高校受験のあの時と同じだ。
この街から、治希から離れたくなかっただけだったのだ。
「治希、今からドライブに連れてって」
治希は「美奈がアメリカに行ってしまう」と思うと何も
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気が付くと美奈を助手席に乗せ、海岸沿いの国道を西へ走らせていた。
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