分析能力で旅をする ~転生した理由を探すためにレインは世界を回る

しき

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第二章

第8話『はじめての依頼』

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ギルドカードを受け取った私はトリッシュに誘われてギルドの掲示板を見ていた。今日はまだ時間があるから、依頼を受ける所までやってみるとのことらしい。

「じゃあ依頼についてだけど、ギルド規約はもう見た?」

「うん。常設、採取、討伐、護衛、緊急の五種類あるんだよね」

「そう。でも、緊急依頼は普段出されていることはないし、常設依頼は前もって報告する必要がないから、基本的には三種類って考えてもらっていいよ。で、普通は好きに選んでもらうんだけど」

トリッシュはそう言うと採取依頼を一つ一つ確かめていった。

「…うん。チュートリアルとしてこれがいいかも」

手渡された依頼書を見た。採取依頼のようだ。

「ボアゴートの毛皮採取?」

「うん。ボアゴートっていう魔物がいるんだけど、それを倒してギルドまで持っていけばオッケー。勿論毛皮だけ持ってってもいいよ」

トリッシュの説明を聞きながら依頼書の内容を一つ一つ確かめる。報酬金は小銀貨1枚、契約金は大銅貨1枚、違約金は大銅貨3枚だ。

「これ、討伐依頼じゃないの?」

「半分そうね。でも、目的はあくまで毛皮を手に入れること。だから採取依頼に分類されてるの」

なるほど。採取依頼って聞いたから植物とか鉱石とかを採るんだと思っていたが、魔物の素材も採取対象なのか。

私は受付のスタッフに依頼書と大銅貨1枚を併せて見せた。

「これを、受けたいんだけど」

「ボアゴートの毛皮採取、の依頼ですね。ではこちらをどうぞ」

スタッフから渡されたのは石のようなものだった。紫色に淀んだ石は一見毒があるようにも見える。するとトリッシュが後ろから話しかけてきた

「それは転移宝石って言ってね、使い方は…まぁ、そん時に説明すればいっか!」

転移宝石…。名前からしてなんとなくどういうものなのかはわかるが、宝石と言うには輝きがない。

トリッシュが笑ってる最中、スタッフがこっそり私に耳打ちをした。

「トリッシュさんはお気楽な性格の方ではありますが…実力は確かですので、安心してください」

ギルドマスターがギルド初心者の私の付き添いとして指名するぐらいだから、実力は間違いないだろう…と思いつつ、ずっとニコニコしているトリッシュを見て苦笑いをするしかなかった。

「申し遅れました。私、ギルド運営で主に受付スタッフを担っております、テオです。これからギルドの一員として、よろしくお願いします」

「うん。よろしくね」




依頼を受諾した私はトリッシュとともに街の外へ出た。ボアゴートという魔物は森を住処すみかとしているらしいが、餌を求めて草原に現れることもあるらしい。折角だからさっき買った杖の使い勝手も試してみよう。

「いたいた。あれがボアゴートだよ」

トリッシュが指差す方向には立派な牙と角を持ったイノシシみたいな動物が三匹いた。



【名称】ボアゴート
【種族】魔物-獣
【体力】50/50
【魔力】1/1
【弱点】氷
【耐性】打
【スキル】-



スライムに比べ体力が多いだけのようだ。難のことはなさそうだ。

「比較的倒しやすい魔物だけど、突進の力は強いから気をつけてね」

トリッシュがそう言うと、ボアゴート達は私達に気づき、こちらに向かって走ってきた。

スライム狩りをしていた頃は、魔物の方から突撃してくるなんてことはなかった。いざ魔物がこちらへ向かってくるところを見ると怖気づいてしまう。だがギルドに入った以上、そんなこと言ってられない。

私はロッドを構えて氷魔法を唱えようとすると、魔力がロッドの先端にじわじわと集まるのがわかる。そして私は魔力が溜まった杖をボアゴートに振りかざした。

「<<アイスクアッシュ>>!!」

複数の氷のつぶてがボアゴート達の顔に当たり、ボアゴート達は勢いに負けて仰向けにひっくり返る。近づいて様子を見てみるとピクリとも動かない。どうやら無事に倒すことができたようだ。

「おおー!すごいすごい!これで依頼はほぼ達成したよ!」

トリッシュが拍手をして讃えてくれる。そこまで苦労した訳では無いから、多少過剰に感じる。だけど、気分は悪くない。

「それで、これをどうすればいいの?」

「そしたら、転移宝石をボアゴートの近くに置いてみて」

言われたとおりに転移宝石を置く。するとその地面周辺が魔法陣のようなものを描き、ボアゴートを包むような光が溢れ出す。その光が消え去った時、ボアゴートがいなくなっていた。

「すご…」

思わず声を出して驚く。マジックを見ているようである。ーいや、実際本当に魔法だから、込んだトリックが使われているわけではないのだが。

「これやって使えば、ギルドまで勝手に素材が持ち運ばれるの。で、あと私達がギルドまで報告すれば依頼達成!」

転移宝石…という名前から、転移魔法が施されているのか?しまった。どうせなら分析しておけばよかった。

…まぁ、依頼を受諾すれば必ずもらえるらしいから、次もらったときに分析すればいいか。

「よし、じゃあ一度ギルドに戻ろっか」

「うん」

私とトリッシュは足並みをそろえてギルド繁華街へ戻る。討伐のような依頼だったが、なんの問題もなく達成できた。自分の力で仕事を熟せたのがちょっと嬉しく、右手に持ったロッドを見る。これなら安定して稼げるだろう。

道すがらさっき放った魔法の感触を思い出す。確かに魔力が杖の先端に集まっていった。ただ、素手の時よりも魔力の集まり方が遅いような気もする。加えて魔力の消費も同じぐらいだった。その反面、素手の時に比べて魔法の制御がしやすかった気がする。あとは木製の杖の属性は「風」だったから、風魔術がどう変化するかを確かめたい。

「それにしてもレインってすごいね。氷魔法を使えるなんて」

そう考えている最中トリッシュに話しかけられる。魔法使いなら各属性魔法は使えて当然だと思っていたが…。

「珍しいの?」

「そうね、レインぐらいの歳で魔法を使うってなったら、普通は地水火風のどれかだからね。どこで覚えたの?」

ちょっと答え方に困る質問をされてしまった。魔女から教えてもらった、なんて言えないし、更に分析スキルのお陰だなんて言えるわけがない。ただ、咄嗟に嘘が思いつかなかった。

「秘密だよ」

「えー、残念。でも、そしたらレインは氷属性の素質があるのかもね」

トリッシュが関心して話す。もしかしてまだ氷魔法しか使えないと思われているのか?いや、そう思われるのが普通だ、と考えるべきか。

人によって属性に対する素質があるのかと聞きたいところだったが、私のスキルについて更に追求されるかもしれないと思い、その話題をこれ以上深掘りできなかった。

そもそも多種に渡って魔法を使えること自体珍しいのか?もしそうだとしたら、急にシェーラが強大な存在なように思えてきた。

トリッシュと会話をしながら、そんなことを考えていた。





「レインさんですね。こちらでボアゴート三匹が確認できました。依頼達成とさせていただきます」

ギルドに戻って依頼達成の報告をすると、すぐに報酬金の小銀貨1枚をもらった。

「ありがとう」

依頼達成、とテオから言われて心が少し小躍りした。難しい依頼と感じなかったが、成功したという結果は安堵を覚える。

「初めての依頼達成、おめでとうございます。これからも街のために頑張ってくださいね」

「うん。がんばるね」

テオとちょっとした会話をしたあと、トリッシュの元へ戻った。トリッシュは私に対して笑顔で親指を立てた。私もそれに合わせて親指を立てる。

「初依頼達成おめでとう。今日はもう早めに休んで、明日からはレイン自身に依頼を選んでもらうからね」

「わかった。ありがとう」

私はトリッシュに手を振りつつギルドから出た。まだ陽は出ているものの、一度身体を息める場所を確保しようと宿屋へ向かった。
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