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# 22ー記憶ー
しおりを挟む望は携帯の画面を開く。
『まだ、雄介に電話してねぇだろ?』
そこには、まるで心を読まれたような言葉が並んでいた。
このメールの差出人は――和也だ。
やっぱり自分のことを一番に分かってくれている。
そう思うと、胸の奥が少し温かくなった。
望は和也に返信を打つ。
『悪かったな、まだしてねぇよ。流石お前だよな。俺のこと、よく分かってるじゃねぇか……』
送信してから数分も経たないうちに、すぐ返信が届く。
『え? それって、褒めてくれてんのか?』
「はぁ?」
望は思わず声を漏らす。
自分では普通に返したつもりなのに、和也のその調子に少し腹が立った。
『褒めてねぇとでも言うのかよ!』
半分キレ気味に返信すると、和也からの返事は冷静だった。
『今ので分かっただろ? メールじゃ想いは伝わらないってことがさ……』
「あ……」
望は息を呑む。
確かに、和也の言う通りだ。
画面をスクロールすると、メールにはさらに続きがあった。
『ちなみにさっきのメールで、望が俺のこと褒めてくれたのは分かってたぜ。
でも、雄介にはちゃんと電話で伝えろよ!
俺が見守っててやるから頑張るんだぞ! ……ってのは変だけどさ』
その文を読んだ瞬間、望は深く息を吐いた。
プレッシャーで固まっていた体から、ふっと力が抜けていく。
『ありがとう。俺にとってお前は最高の親友だからな』
送信ボタンを押すと同時に、胸の奥が少し軽くなった気がした。
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