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# 51ー記憶ー
しおりを挟むタイミングよく、雄介もこちらにやってきた。
「ああ、お腹空いたかも」
初夏ということもあり、雄介はタンクトップ一枚にエプロン姿だ。仕事で日に焼けているからか、褐色の肌に白いエプロンがよく映える。そんな雄介の姿に、望はつい見惚れてしまう。
すると、雄介が急に声をかけてきた。
「ほな、飯にするな」
「え? あ、ああ」
「飯の用意するし、着替えてきぃ。この時期のスーツは暑いやろうしな」
確かに雄介はタンクトップ一枚でいるが、望は長袖のスーツ姿。暑いのは間違いない。
「ああ、じゃあ、着替えてくるな」
そう言うと、望は自分の部屋へと向かう。
部屋に入ると、目に入ったのはきちんとベッドメーキングされたベッドだった。
思わず息を吐く望。雄介の性格は、やはりきちんとしたところがあるらしい。
望なら、朝は特に忙しく、そのまま布団を畳まずに出かけることが多いだろう。
着替えを終えた望は、リビングへと向かう。
下へ降りると、テーブルには雄介が作った料理が並んでいた。
肉料理も野菜料理もあり、その種類の多さに望は圧倒される。
「やっぱ、お前ってすっげぇんだな! 俺にはこんなに沢山の料理は作れねぇぜ」
「今日、一日何も食わんでおったら、めっちゃ腹減っててな……それで、調子に乗って作ってしまったっていう事やんな……」
「そうだったのか? ま、いーや……お腹空いたし食べようぜ」
二人は席につき、両手を合わせて、
「いただきます」
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