【R18】一目惚れされた俺!恋人は俺だけに甘いスパダリだった!

望月 キララ

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# 66ー記憶ー

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 だが、次の瞬間――望の視界に入ってきたのは、制服姿の雄介だった。

「なぁ、お前さー、まさかその格好で出かけるつもりなのか?」

「しゃーないやろ? 今はこれしか持っておらんのやから」

「流石にその格好じゃな……」

 そう、今の雄介が着ているのは、消防の制服だ。
 いくらなんでも、出かけるのにそのままでは格好がつかない。
 しかも制服の袖口にはうっすらとアイロンの跡が残っており、仕事帰りそのままという雰囲気だった。

「流石にそれじゃあさ、マズいだろ? 俺が洋服貸してやるし」

「ええねんけど、昨日とか貸してもらってた服なんか、ちょっと小さい感じがしたんやけどな。
そういや、望が着てるサイズっていくつなん?」

「俺はMだけど、これだって日本人の平均男性じゃ普通だろ?」

「俺は普段Lやしな。
まぁ、望とはちょっと体型も違うやろうし、普段着の方は入るか分からんけど……昨日みたいに綿素材やったら何とかなりそうやけどな?」

「まぁ、そうだけど。あ! そうだ! ここからお前ん家って近いんだろ? なら寄ってけばいいじゃねぇのか?」

「ああ、確かにそうやね。ほな、そうさせてもらうわぁ。
ほんで、今日は何処行く?」

 雄介はそう言いながら、コンロの火を止めて、出来上がった料理をテーブルに並べていく。
 湯気が立ちのぼり、朝の光がカーテンの隙間から差し込む。
 休日のゆったりした空気が二人の間に流れていた。

「そうだなぁ……車でならどこにでも行けるけどな」

「ほな! 遊園地!」

「今時期は暑いし、子供じゃねぇんだからさ」

「ほな、海は?」

「明日はまた仕事だから、疲れたくねぇし」

「外がダメっていうんやったら、もう屋内系しかないやんか」

「そんなんでいいよ」

「望はインドアなんやなぁ?」

「そりゃ、ずっと屋内で仕事してるからな。
あんま外に行きたい気分にはならないっていうのかな?」

「たまには外に出た方がええねんで」

「いいんだよ」

「そういうもんなんか?」

「そういうもんなんだよ。……ごちそうさま」

 望は食べ終えた食器を軽くまとめると、立ち上がった。
 そして何気なく伸びをしてから、シャワーを浴びにお風呂場へと向かう。

 リビングに一人残された雄介は、望の背中を見送りながら、小さく笑った。

「ま、ええか……望とどこかに出かけられるっていうんやったらな」

 ぽつりと独り言を漏らす。
 その声には、どこか柔らかな温もりが混じっていた。
 雄介は空いた食器を流し台へと運び、水を出して軽く洗い流す。
 窓の外では、夏の陽射しがすでに眩しく光っていた。
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