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「ふーん……そうだったんだね。 芸能界って、精神的にも体力的にも疲れる場所だっていうことなんだ。 んで、売れっ子になると抜いてる暇も無い位、忙しいっていう訳なんだねぇ」

 その言葉に急に顔を真っ赤にする麗矢。

「そ、そんな事ないからっ!」

 そんな真っ赤な顔をして言ってる麗矢が今度音也からしてみたら可愛く見えて来たのか、頭を撫でると、

「もう、私の前では強がらなくていいんだよ……。 今ので十分に君の事が分かったからさ……なら、ついでに、私の事を言ってもいいかな?」

 そう言うとさっきまでしていた事を中断し、ベッドの端へと腰を下ろすと、

「あのね、この前、君が私に向かって、抜いてくれ。 と言っていた時は、いきなりの事だったから戸惑って逃げるようにして君の病室を出ていったのだけど、その後から色々と考えていたし、男同士の事についても学んで来た。 じゃあ、私がその事について学んで来たか? と言ったら、この前、君から誘われたからなんだよ。 それまで、私は女性と付き合う事はあったけど、女性を抱く事に関しては全く興味はなかったっていう訳だ。 で、もう大人なんだから、一人でっていうのにはちゃんと興味あった訳だし、そこの所については問題無いっていう事も自分で分析して分かってる事だったし、そこの所は問題無いっていう事だ。 で、君を見たのは、君が入院して来る前に、入院患者さん達が憩いの場でテレビを見ていてだったんだよね。 そこで、私は君に興味を持った訳だ。 寧ろ、毎日のように気になってしまって君が出ている番組を全部録画して見る程になってしまったんだけどね。 で、君が入院して来て、君にあんな事を言われて、で、今までちゃんと私はネットで男同士について勉強して来たっていう訳なんだけど……ソレを続けても大丈夫かな?」

 今度、音也は麗矢のベッドの上へと上がると、麗矢に視線を向け真剣な瞳で麗矢の事を見つめるのだ。

「え? ……へ?」

 音也が言った事を理解してないのか、目をパチクリさせながら麗矢は音也の事を見つめ返す。

「簡単に言えば、私は君が入院して来る前から気になっていた。 って言ったら分かって貰えるかな?」

 その言葉に音也は麗矢に向かいクスリとしながら見上げる。

「それとも、君の事が好きだ。 って言ったら、分かって貰えるかな?」

 音也の方はそう余裕そうな笑みで好きだっていう想いを麗矢に伝えたのだが、麗矢の方は、寧ろ余計に顔を真っ赤にさせ、実際こういう時どうしたらいいのか? っていうのが分からないような表情で視線を天井へと向け、指で頬を掻いてしまっていたのだから。
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