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 話しながら春馬がもう一つの部屋のドアを開ける。

 ……って、寝室でやるんじゃないの!?

 そう思ってる間に春馬はその部屋の電気を点けるのだ。

 電気が点くとそこには……きっと誰しも口を開けてしまいそうな光景が広がっていた。

 ……へ? 何これ?

 棚や壁には色々な道具が置いてある。

「ちょ、ちょ、ちょっと! コレは何!?」

 余りにも驚きすぎて質問の仕方が棒読み状態だったかもしれない。

「何!? って……? そういった道具ですよ……」
「ん?」
「まぁ、私のコレクションって言ったらいいのかしらね? 勿論、玩具からローションまでありますよ……。 まぁ、ムチとかもありますけどね……」

 ……そう、さらりと言ってますけど……結構、コレは凄いもんですからーー……。

「大丈夫! 伊吹には痛いようにはしませんからね……。 だって、伊吹はそういうの苦手そうですから……」

 ……そ、そういう意味じゃなくて……。 このコレクションが本当に凄いですから……。 あ、お店並みって言ったらいいのかな? 確かにコレクションっていうだけありますからーー!

「首輪みたいなのもあったりしますからね……」

 ……って、そんなのどういう時に使うんでしょうか?

 もう俺は春馬の言葉に1つ1つ心の中で突っ込んでいく。

 でも本当に凄い! あ、いやいや……感心してはいけないのかもしれないのだけど。 そこで俺が春馬に褒めたら図に乗って「やってみます?」なんて言われたら本当に困る。 俺はまだまだ、こういうことに関して疎いというのか知識はそんなにないのだから、本当に普通でいいと思う。

「昔、私はこういうなんていうんでしょ? ああいう仕事をしていたので、お客さんに合わせて買っていたら、コレクションにする程、増えてしまっていたんですよ……」

 ……あ、そうだったんだ。 ってか、よく考えたら、俺ってドン引き出来る立場じゃないかもしれない。 だって俺の部屋あんなに汚くても春馬は俺のこと受け入れてくれたんだしな……。

 そう思うと何だか気が楽になった気がする。

 春馬はこういう趣味を持ってるんだ……。 それをちゃんと受け入れるのも恋人の役目だろう。

 俺達は恋人同士になってから、まだ1日も経っていない。 俺だって春馬には一目惚れしたのだから、まだまだ別れる気なんか毛頭ないのだからな。
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