近衛 真王 太平録

塩爺

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真王 和をもって天下を制す

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新東金城に居を構えて十年の月日が流れた華姫との間にニ男一女を設け、側室の間にも三人の息子と五人の娘をなした。

計画の第二段階に移行する時が来たようだ、子作りは順調に進んでいるが、このまま1地域に留まっていては子孫が生き残る確率が低くなる、戦や災害などで全滅するかもしれない、俺は外交政策で子孫を全国に散らすことに決めた、縁故外交だ。

俺は関東近郊の大名にその旨を伝え手紙を書いて送った。
直ぐに返事が来る、古河城の足利 晴氏が会って話しがしたいと言ってきた。
もちろん縁組の話しだ、後継ぎが居ない晴氏が俺の息子と自分の娘を縁組させて後継ぎとしたい考えを伝えてきた、両家にとっても悪い話しではない、
古河公方こと古河足利家は由緒正しい名家で全国の大名との付き合いも多い。

俺と晴氏の会談の場所は古河城と東金城の中間地点にある寺で執り行う、それぞれ同行する兵士の数と日取りを決め、事前に家老に内容を詰めてもらう。

俺は華姫との二番目の息子(頼直)を晴氏の娘の相手にと話しを進めるが、晴氏がとんでもないことを言ってきた、一番目の息子を迎えたいなどとほざく、正室の一番目の息子(頼政)と言えば、嫡男、近衛家の後継ぎ、頼成とも約束している。

俺は会談の席で晴氏が腰を抜かす仰天プランをぶちまける、この計画を事前に知っているのは、華姫と家老の一部のみ、交渉に当たってくれた家老には悪いことをしたが、家老も計画を知ったら反対しただろう、それほど無茶な計画だ。

晴氏の娘と頼政との縁組は認める、が、継ぐ家は古河足利家ではなく我が近衛家。
古河足利家を継ぐのは、俺、頼友だ!

これには仰天する晴氏だが頼政との縁組に文句は言えない、頼成も近衛家を継ぐのは頼政なので反対できない。
事前に知っていれば手を打ってきたのだろうが、後の祭り、俺は晴氏に渋々署名させ晴氏には隠居してもらった。

関東への足掛かりを手に入れた俺は、これを機に名を近衛からモンゴルの大王 チンギス・ハーンにあやかり真王 頼友に改めた。

チャンスは立て続けにやってくる、河越城をめぐって扇谷上杉家と北条家の間で度々繰り返された攻防戦、その決着が着こうとしている。
北条家が防衛している河越城を扇谷上杉家の上杉 朝定を盟主に山内上杉家、真王家の三家連合軍、二万で本格的に河越城奪還に乗り出した。
守る北条家の武将は北条 綱成の兵、三千
連合軍は城を包囲して攻めかかるが守りが堅く夜を迎える。

歴史では、闇夜に乗じて綱成が奇襲を仕掛ける、日本三大奇襲の一つ、世に言う北条の河越夜襲である。

しかし、今回は我が真王家が参加している以上、夜襲は通用しない、暗視スコープに赤外線ゴーグルと対策は万全だ、これなら夜でも敵の位置は丸分かり夜襲など成功しようがない。

どこから仕掛けてきても大丈夫なように各陣営にスコープとゴーグルを配る、
北条方が仕掛けたのは山内 朝定の陣、
身構える朝定、しかし思わぬ事態に味方の総崩れになる。

敵の位置を確認しようとスコープを装備した朝定の兵をサーチライトの奇襲が襲う、当然、スコープのセンサーは壊れ、闇夜に目の慣れた味方の兵は視力を失う
半ばパニック状態の味方を綱成の兵が蹂躙する、応援要請の連絡も無線機が繋がらずできない。

この世界に来てから俺は、未来から来た者は俺ただ一人と安心してしまっていて
無線も通常帯で使用していた、そこを突かれたのか?

そんな事を出来る者がこの世界にいるとは思えないが、万が一いるとしたら未来人!
俺は混乱の収拾と現状把握に全力を尽くす、嘉平(かへい)の部下を使い各陣営に指示を出すと共にドローンを飛ばす、
目まぐるしく移り変わる戦場では衛星は使えない、サーチライトの影響が及ばない上空からドローンで戦場を探る。

俺はサーチライトの映像を見て驚く、ライトのつけられている箱状の物に付けられたハンドルを回す複数の兵、これはエレキテル?
まさか平賀 源内!彼がこの戦場に居るのか?

彼の顔を知らない俺はツクヨミとの連絡が取れない今、確認のしようがない。
嘉平の部下が次々に戻り現状を伝える、それに対して嘉平が的確な指示を与える、今や嘉平も部下を持つ忍衆の頭領だ

俺は嘉平に部下にサーチライトを持たせる、これはこちら側が使うつもりで持って来た物だ、使うタイミングを誤った。

俺の思惑では朝定を倒させる為、綱成に夜襲を起こさせた後、夜襲を阻止して事態を収拾、味方を助けて恩を売る作戦だったが、人間、欲をかくとろくな事がない。

ようやくライトが各陣営に届き点灯させる、気のせいか綱成の攻撃が緩んだかに思えた時、敵のライトが点滅しだし、無線が回復する。

これはモールス信号?

俺は急ぎツクヨミに解析させる、直ぐ内容が判明した、(ワレハ、ホウジョウケノブショウ、ヒラガ、ゲンナイ、ト、モウスモノ、ソチラノ、ダイヒョウ、ト、メンカイ、シタク、ソウロウ)!

平賀 源内!しかもこちらと会いたいとは、源内は江戸時代の人物で異国の文化に精通して、本草学者にして蘭学、医学も学び発明家の一面ももつ、エレキテルの仕組みを解明し改良したのも彼だ。

こちらもモールス信号で返す、(コチラモ、アウ、ジュンビアリ)
攻撃が止まった、理由は分からないが綱成は挟撃に来た氏康と共に城を明け渡し引き揚げて行く。

北条軍の居なくなった河越城で源内と二人だけで話す、二人だけで会うのは隠し事をしない為、当然、俺が未来人だという事も話す、源内なら理解するだろう。

俺はアマテラスの事には触れないで、この時代に飛ばされてからの経緯を話す
源内は目をキラキラさせながら、いちいち相槌をうつ、う~ん、と唸ったかと思えば、急に考え込む、学者という人種はこう言ったものか?

一通り話し終えて源内を見ると源内は俺を舐めるように見ている、今にもこちらににじり寄りそうな勢いだ、源内も未来人なのに可笑しな話しだ、俺は立ち上がりそうな源内を宥め、話しを促す。

源内は頼友殿に比べたら私の話しなどと、前置きしたうえで話しだした。

源内「この世界に来たのは今から八年前、それまで私は江戸の町におり、いつものように異国の文化を学ぶ為、江戸湾に停泊していた異国の船に乗っておりました。」

源内「時間を忘れて学んでおりました所、急に海が荒れだし戻ろうとした矢先に光に包まれ、異国の船ごと、この世界に飛ばされ、気がつくと北条殿の船に囲まれておりました。」

源内「北条殿には右も左もわからない私を船の船員共々大変良くしていただき、
私の知識が役に立つのであればと、船員共々協力を願い出た次第で」

平賀 源内は優れた人物であったが、その優秀さ故、江戸幕府に目をつけられ獄中で病死したとされているが、まさか戦国時代に来ていたとは。

平賀 源内、異国の商船、北条家、この三者がタッグを組んでの、この夜襲、始めから我々に勝ち目はなかった。

攻撃が止まったのはこちらのサーチライトを見た源内殿が興味を持って止めただけ、我々の全滅もあった。

北条家は余程、源内殿を重用している、でなければ綱成は攻撃を止めなかっただろう、その後の退却も考えられない、城ひとつと引き換えるだけの価値が源内にあると言う事だ。

俺は源内殿の口利きで北条家と和睦することに成功する、盟主の上杉 朝定は奇襲を受けて早々に越後に逃亡してしまった、和睦に反対する者はいない、山内 上杉家は城の権利を放棄して居城に引きこもってしまう、俺は労せずして忍城と扇谷上杉家の城を手に入れる。

これにより関東の中央に広大な領地を有することになる俺は新たな夢を実現する為に、動く。

関東の大名、北条家、里見家、佐竹家、宇都宮家、長野家(元山内 上杉家)、の五家との連合国家の形成に乗り出す。

長野家に忍城を返し、北条に岩付城を佐竹家に関宿城を譲り、金野井の地に城を建て里見家に渡す、我が本城古河城を宇都宮家に明け渡す。

河越城は我が息子の一人頼直に武田の姫を娶らせて任せる、我が居城は6城の中心 鴻巣の地に安土城にも負けない城を築いて、各城と繋ぐ六本の道路を通し各道路に異国の建築様式の建物で飾る、ロマネスク様式やゴシック様式、ルネサンス様式、さぞ華やかな街並みになることだろう。

関東の覇者になった俺は、皆を集めて宣言する。
織田信長は武をもって天下を制する天下布武を宣言したが、俺は和をもって天下を制する天下和平を宣言した。

それに伴って独自の通貨を発行する、名前はもちろん和平通宝。

最近、思うことがある、時空転移者の俺のまわりの時間の流れが遅くなっているように感じる、しかも俺に近ければ近い程その影響が現れる。

時代は1590年、俺がこの世界に来てからすでに30年が経っているが、関東の時代の進み方は10年そこそこので思うの肉体も30代を保っている。

もう1人の転移者の平賀 源内がいる北条家に至っては、氏政が当主の筈がまだ氏康が現役で当主を担っている。

俺達から離れた近畿地方では正常な様子で時代は進み、武田家が滅び(勝頼は居なくなったが近衛 頼直が武田の性を名乗り武田 頼直となって武田家を継いでいる)、織田信長が本能寺で倒れ、秀吉が天下に手を掛ける、この後の戦イベントを済ませれば
天下は秀吉ではなく俺のものだ。

秀吉の小田原城攻め、十五万の兵をもって北条家を滅ぼし関東を握り、領地替えで移った徳川家康が後に江戸幕府を開く、日本の歴史の分岐点、その歴史を俺は変えてしまうことになる。

秀吉が大軍を率いて、駿河を抜け相模に迫る、それに伴い、奥州の伊達、越後の上杉が関東に侵攻を開始する。

迎え討つ真王家を中心とした連合国軍は佐竹、宇都宮家の一万五千で伊達を、長野、武田家の一万八千で上杉を牽制させ、里見、近衛家には五百の船にて海上を封鎖してもらう。

北条家には、充分な兵糧を用意した上で兵二万で籠城戦をやってもらい、真王家は二万の兵で戦場を縦横無尽に駆け回り、総勢九万三千で迎え討つ。

対する秀吉軍は十五万、石垣山に城を築いて陣を張り小田原城を包囲にかかるが、こちらの海上封鎖の所為で不完全になる。
秀吉は仕方なく兵を分け関東の諸城の攻略を開始、だが、真王家の働きでことごとく失敗する。

上杉、伊達の援軍はこちらの牽制で動けずにいて、膠着状態となる。

後は秀吉の補給路を絶って兵糧切れを起こさせればミッション終了だ。
里見、近衛の船団に海から駿河を、武田に甲斐の攻略を開始させる。
2週間で駿河を攻略、その3日後、甲斐が落ち
逆包囲が完成する。

あとは秀吉軍に降伏させ我が臣下のひとりとするだけになった、その時。

ツクヨミからの緊急連絡が入る!

緊急連絡とは穏やかではない、いままでの戦の中でもそんな事はなかった。
俺は真王城で各諸侯を集め、秀吉軍の仕置きを話し会っている最中だった、仕置きとは処遇の事で彼等をこの後、どうするかということだ。

その最中に、けたたましい警報音がなりツクヨミからの音声が流れる、本来ならツクヨミからの連絡は必ず俺を経由して他にいく、それが直接とはいかに緊急かがわかる。

ツクヨミ(緊急連絡!13:25分35秒に太平洋のxx地点にて大規模な海底隆起が発生した模様)

ツクヨミ(それに伴って津波の発生を確認、その津波が太平洋に面した各国を襲う可能性あり、津波の推定の高さは約150メートル、津波の第一波の日本沿岸への到達時間は16:10分と予想されます。)

俺は自分の耳を疑った、150メートルの津波だと!
そんな高さの津波など聞いたことがない、そんなものに襲われたら、北海道から九州までの太平洋側の陸地は壊滅するだろう。

到達まで、3時間!アマテラスの全能力を動員しても避難をすることは不可能だろう。
このような事態、戦国時代の皆に話しても理解できまい、しかし、いままでにも災害はあった、皆、此度の事態が容易ならざるものだと認識して俺の言葉を待っている。

俺は皆を前に今後の話しをする。
このままでは日本がなくなる事、俺はアマテラスでそれを阻止する為に動く事、今更アマテラスの事を秘密にする必要はない。

それにより俺が居なくなる事、これほどの規模の津波を破壊するには粒子加速砲しか手段がない、また時空転移するかもしれない。
俺が居なくなってからの連合国のあり方を示す、華姫を真王家の当主とし、北条、里見、近衛、佐竹、宇都宮、長野の六大老で華姫を支えてもらう。

意を唱える者はいない、皆、華姫を認めている、設備の面はアマテラスが無くなれば、ほとんどの設備が機能を失うだろう、皆が困らないように最低限の設備は使えるよう源内にアドバイスする。

秀吉軍の処遇は秀吉は撤退させ、この先、関東に手を出さなければほっとくこと、ただし家康はこちらの味方に引き入れて江戸城を与える。

俺に思い残す事はなくなった、飛空艇でアマテラスに向かう、ここから粒子加速砲の有効射程距離まで移動しても、まだ1時間以上ある。
俺は移動しながら戦国時代に転移してからのことを記録に残す為に思い返す、30年の歳月は俺に信じられない体験をさせてくれた、俺が知る歴史とは、ほど遠い結果になったとはいえ俺の望む未来だ。

この歴史はカプセルにして宇宙空間に飛ばそう、のちの世で誰かが発見してくれるかもしれない。

粒子加速砲の発射地点に着いた俺は発射シークエンスを開始する、しかし、ツクヨミの警告で中断された。

ツクヨミ(このままの収束発射では、日本のみの効果となり、また、第二波の津波までのチャージ時間が足りません。)

このままでは世界が滅ぶ、これでは俺のやってきた事が無駄に終わる、ならばとるべき手段はひとつ、拡散粒子加速砲で海面ごと吹き飛ばす。

その出力をツクヨミに計算させる、答えはエラー、不可能という答えだ。
ならば、アマテラスの動力である対消滅縮退炉(ついしょうめつ しゅくたいろ)を暴走させての出力なら?

答えは、またエラー、しかし今回はそんな命令は受け付けられないという事、暴走した縮退炉の影響でアマテラスは消滅する、マスターを危険に晒す行為をAIは禁止されている。

俺はツクヨミにまるで友達に話しかける口調で話す。

俺  「なぁ、ツクヨミ、俺とお前が最初に会ったのは、俺が適正試験に合格して、アマテラスに乗った時、それまで負け続けて大変だった日本の救世主になるべく期待され、これからという時に戦国時代に飛ばされ、未来を変えられる可能性にかけて、お前の力を借りた。」

俺   「その可能性がなくなろうとしている、だが、お前とアマテラスの力が有れば未来に繋げることができるんだ!」

ツクヨミ「・・・・・」

ツクヨミ「マスターの承認を確認!拡散粒子加速砲、出力200パーセント、目標、前方海面隆起部!」

俺  「ありがとう、ツクヨミ。」

俺はツクヨミに礼を言っていた。

俺  「光学迷彩解除、艦のシールドを砲の射角以外に展開!」

これは艦を守る為ではない、日本を守る為だ

俺  「全てのエネルギーを拡散粒子加速砲に充電!発射シークエンスを開始する‼︎」


その光景は後の世に多くの記述が残っている。

光の扇、海を切り裂き 炎の柱、天を貫く 仏の怒りか、神の身技か。

この現象は世界中で目撃されたとされ、

海面を切り裂いた光は神の身技を連想させ。
天を貫いた炎は仏の怒りを思わせた。
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