鬼と柊

はるた

文字の大きさ
1 / 25

しおりを挟む
 昔、この世界には鬼がいた。

 鬼とは、角が頭に生えているものを言い、人を喰う存在として恐れられていた。

 ただし、人間は鬼を恐れるだけでは終わらなかった。

 大きな城に住むお殿様が人々の平穏な暮らしのため、各地から剣の腕が立つ者達を手当り次第に集めては、「鬼を斬り、人を守れ」と命じたのだ。

 その者達は殿様の言葉の通り命を尽くして剣を振るい、いつしか鬼斬と呼ばれるようになった。

 そうしてお殿様と鬼斬達の活躍により、鬼はこの世界からいなくなった。


 小さい頃、おばあちゃんの膝に乗って何度も聞いて覚えたお話。

 おばあちゃんのしゃがれた声は聞きやすくは無かったけれど、背中から伝わる体温があったかくて安心して、僕はおばあちゃんの読み聞かせが大好きだった。

 でも僕は、絵本自体には興味は無くて、母にどれが欲しいかと本屋で聞かれ、テキトーに選んだのがこの鬼が出てくる絵本だった。

 この絵本はどこかの地域に伝わる話が元になっているらしい。

 人を喰う鬼が悪で、人を守る殿様と鬼斬が正義のお話。

 だけど、現実はこうもはっきりと正義と悪を判別できないことばかり。

 それでも考えて、考えて、生きている。

 それが正しいことであっても、間違っていたとしても。

 また考えて、考えて、生きていくのだ。

 これから始まる話も鬼と人の物語。

 絵本のように分かりやすくはないかもしれない。

 でも、めでたしめでたしで終われることを目指した鬼と人の物語だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...