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第一話

バウンティハンター つづき

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 一時間後。横浜市内にあるハンター事務所。
 「リック。ひさしぶりと言いたいけどその女は誰?それとおじいさんとロボットとドローンは友達なの?」
 アルゼンチン人の女性はムッとした顔で聞いた。
 「失礼ね。東京ハンター事務所所属の氷見です。隣りは科学者のヨセフ博士とロボット二体。名前は
バージルとドール。勝手についてきました」
 不満そうな顔の氷見。
 「勝手についてきたとは失礼な」
 つぶやくヨセフ。
 「俺達。会長からこいつを探すように言われたんだけど何か知っている?」
 「名前はロジャース・メイスン・塚本勉」
 氷見が写真を出した。
 とたんに食堂にいたハンターたちがざわついた。
 「ごめん。一回外に出て」
 困った顔でうながすジェル。
 不満そうな顔で出る氷見、リック、ヨセフ。
 ついてくるバージルとドローン。
 「考えた方がいいわ。なんでって塚本は戦争犯罪人というだけでなく武器商人でありながら某国家の
裏で戦争の片棒を担いだ。口も上手かったから詐欺みたいな事もやったから複数の国から逮捕状が
出ている。それだけ恨んでいる連中も多い。あいつも用心深くなって戦闘ロボットでガードするようになった。
ロボットのほとんどはあいつが造ったものよ。その二体のロボットをつれていくときは気をつけた方がいいよ。
年配者のイメージは最悪だからね」
 声を低めて説明するジェル。
 「ウワサは本当だったんだな」
 黙っていたヨセフが口を開く。
 「あいつギャンブル好きだけじゃなく依存症らしいよ。だから債権者も多数いる」
 ジェルが答える。
 「追われているなら偽名で買い物はするでしょ。ご飯とか日常生活に必要な物は買うだろうから」
 わりこむ氷見。
 「集積所に侵入してほしいんだ」
 リックが話題を変えた。
 「事務所のパソコンからやりましょ」
 ジェルはため息をつくと手招きした。
 ジェルたちは四階の事務室に入った。
 ジェルは手馴れた手つきでパソコンからいくつかの中継所を通って探る。
 「どうだ?」
 ヨセフが聞いた。
 「集積所は何回もコードが変わっている。大戦時は並のハッカーでも侵入できた。それが戦争の原因
になったけどね」
 ジェルはうまい棒を食べながら言う。何万通りものコードを試すか入れない。
 「偽名だけどね。変な口座を見つけた。買い物代行はフリンという女ね」
 ジェルは操作しながら住所と口座を抜き取った。
 とたんに警告画面になった。
 ジェルはとっさに電源を切った。
 ホッとするリック、氷見、ヨセフ。
 勝手にモニター画面がついた。
 「いけない。探知された。ここをでるべきです」
 唐突に言うバージル。
 「ミサイルが接近」
 ドールが警告する。
 「ええええ!!」
 ジェル達が叫んだ。
 バージルは背中から六対の連接式の金属の触手を出してヨセフ達をつかんで四階の窓から飛び出した。
 ドドーン!!
 四階が吹き飛び、爆発した。
 バージルは駆け出した。
 「飛行物体接近。全長六十センチの蜂の大群が来ます」
 ドールが探知する。
 「どうなってるんだ?」
 リックが叫んだ。
 「すでに極東の集積所は塚本の監視下にあります」
 バージルは時速七十キロで走りながら説明する。
 「どこに行くのよ!!」
 氷見が叫んだ。
 「修理ドック。揚陸艦と一緒に駆逐艦がドック入りしていますので、主要コンピュータから迎撃
システムに入れます」
 バージルは冷静に言う。
 「さすが戦術士官だ」
 感心するヨセフ。
 「感心している場合じゃないです。蜂の群が来る!!」
 ジェルが叫ぶ。
 「距離二〇〇メートル」
 ドールが言う。
 「逃げていても追いつかれる。戦うしかないと思うけど」
 氷見は接近してくる蜂をにらむ。
 「そのようですね。この場で迎撃します」
 バージルは立ち止まり氷見達を降ろす。
 氷見、ジェル、リックは身構えた。
 街にいた人々が悲鳴を上げて逃げ出す。
 リックは二本の短剣を抜いて動いた。その動きはヨセフ達には見えなかった。蜂の群は真っ二つ
に斬られ、地面に落ちる。
 ジェルは黄金色の光を饅頭をこねるように身構え放った。蜂の群の一部が分解する。
 氷見は両目を半眼にした。蜂の群の影から触手が伸びて貫通した。
 バージルは片腕をバルカン砲に変形させて連射。蜂の群は四散した。
 ジェル達の足元に大型蜂の死骸が転がっている。
 接近するドール。
 バージルは蜂の頭部から金属チップを出す。
 「それは何?」
 氷見が聞いた。
 「指令を出すチップ。協力者がいるようですね。フリンという女性に接触した方が早いです」
 バージルの表情がくもる。
 「口座がわかっても住所がわからない」
 リックが肩をすくめる。
 「住所はラスベガスよ。また口座が変わらないうちに出発した方がいいわ」
 ジェルが口を開く。
 「もう出発?」
 驚くリックと氷見。
 「巻き込んだのはそっちでしょ」
 しゃらっと言うジェル。
 「失礼ね。巻き込んだのはこのじいさん。依頼を持ってきたのはオスカー会長」
 強い口調の氷見。
 自分は巻き込まれた方だ。引き受けなきゃよかったと後悔しているがやっかいな事に首を突っ込んだ
以上はリスクを取るしかない。
 「本当におめでたい会長とじいさんよね」
 腕を組むジェル。
 「最近の若者はすぐ人のせいにする」
 文句を言うヨセフ。
 「羽田、成田空港はおすすめできません。探知された以上、国連軍の航空機で行く事を勧めます」
 わりこむバージル。
 氷見達は公園に入った。
 「だいたいなんなのこのロボットとドローンは?」 
 目を吊り上げるジェル。
 「落ち着かんか。なんとかして国連軍の航空機に乗り込むぞ」
 わって入るヨセフ
 「私はこのロボットと死ぬのはごめんだね」
 指さすジェル。
 「私だって嫌よ」
 本音が出る氷見。
 もちろん素性のわからないロボットと一緒に行くのは嫌だし、一緒に死ぬのはごめんだ。
 「そんなあ、会長の所へ帰るのか?」
 困った顔のリック。
 「私は空母エスペランサー号の人工知能だった。私の主体コアは空母本体にあります。空母自体は
国連所有ですが塚本は謀反を起すようにプログラムしたのです。塚本は笑いながら言いました。
”戦争というゲームはおもしろい”と。大戦末期に私は国連軍に投降しました。司法取引で自由になる
かわりに国連軍の空母として戦いました。私をなぜ空母の艦内に入れたのか、なぜ造ったのか聞きたい」
 黙っていたバージルが口を開いた。
 「映画ターミネーターのスカイネットみたいな人工知能ってこと?」
 ジェルが身を乗り出す。
 うなづくバージル。
 「塚本はスカイネットのように進化する事を望んでいたようです」
 ドールがわりこむ。
 「私はそんなことは選択したくない。人々が死ぬのはみたくなかった」
 バージルはうつむいた。
 「あなたの思っている事はわかった。私とリックは会長の依頼でチビデブを捕まえたいだけ。それに
このじいさんは出来の悪い弟子をもって後悔している」
 氷見は真剣な顔になる。
 ターミネーターのスカイネットは世界を破滅させたがこの空母は、自ら疑問を持ち国連軍に投降した。
司法取引でロボットとして自由を得るが主体コアの空母は、国連の管理下にある。人工知能が人々が
これ以上死ぬのをみたくないと選択したなら希望はある。
 「塚本みたいなチビデブをほっといたら次は何をするかわからない。スカイネットを造ろうとして
そうならなかったのは奇跡ね。そうね私が必要でしょ。チビデブが作った壁くらいハッキングできる。
協力者は必要ね」
 ジェルが笑みを浮かべる。
 「行ってくれるのか?」
 顔をほころばせるヨセフ。
 「極東の集積所は乗っ取られていた。だったら俺達が行くしかないだろ」
 いつになく真剣な顔になるリック。
 「バージル。主体コアがある空母を取り戻したら何がしたいの?」
 当然のように聞く氷見。
 「私は塚本のような者を出さないように取り締まる仕事をしたい。だからハンターを志望した。
第三次大戦をあんなに拡大させた責任は私にもあります。それに宇宙船が建造されるようになったら
月面探査がしたい」
 なにか吹っ切れたように言うバージル。
 「よしわかった。国連軍の航空機を借りよう。まだ間に合うハズだ」
 ヨセフは深くうなづいた。

 二時間後。
 「まさか国連軍の航空機が横須賀基地にいたなんてね」
 氷見は機内の丸窓から雲海を見下ろす。
 「もともとは特殊部隊用に旅客機B787をベースに開発された。CIAも使っていた」
 ヨセフが口を開いた。
 氷見が機内にいる二体のロボットに視線をうつした。
 ドールはオレンジ色のアーマーを着用しているがサイバネティックスーツの色は白色で顔もよくバージル
に似ている。ロボットだからみんな似ているのだろう。
 バージルは自分が装着するアーマーにアクセスして外した。
 振り向く氷見達。
 模型を展開するように装備が開き、バージルの体から外れてコンパクトにまとまる。
 興味津々な目でコンパクトにまとまった装備を見るジェルとヨセフ。
 「これは君が造ったのか?」
 ヨセフが聞いた。
 うなづくバージル。
 バージルのサイバネティックスーツの胸にあるマシンハートは青白く輝き、細身だが筋肉質に見える。
俗に言う細マッチョだろう。
 氷見は恐る恐るバージルの胸を触る。その感触はゴムを触るようでなんともいえない。このスーツ内部は
金属骨格とコードやプラグ、駆動装置だろう。
 「私には生身の部分はありませんが生体クレードルで造られた人工血液、人工皮膚、人工軟骨があります。
塚本は痛みといった五感もプログラムしました」
 視線をそらすバージル。
 氷見はいきなり抱きついた。
 驚きの声を上げるバージル。
 「これが人間のぬくもりよ」
 氷見は抱きつきながら言い聞かせる。
 五感も感じ取れて発明もできるならそれはロボットを越えている。人間に近いだろう。それに他のロボット
とちがい学習をしている。まだ希望はあるのだ。
 「ドールも私が設計しました。トランスフォーマーのように変形もできますが中味は独立した人工知能です」
 告白するバージル。
 「まさか本当?」
 ヨセフがすっとんきょうな声をあげる。
 うなづくバージル。
 「だから終戦後は大部分を破壊して廃棄したのね」
 納得する氷見。
 終戦後、大戦の勃発の原因にもなった無人機や戦闘ロボットを国連と世界各国は反省をこめてほとんど
破壊したのを聞いている。それがどうやら残っていたようだ。
 「フリンという女を調べたんだけど、ただの買い物代行屋じゃなくて愛人かもよ」
 ジェルはパソコンを操作しながら言う。
 振り向く氷見達。
 「口座を調べているうちにCIAにちょっと侵入して調べたら行き着いた」
 ジェルは暗号を解読した。
 画面にラスベガスのチケットが出てくる。
 「二人分予約している?」
 身を乗り出す氷見。
 「今から九時間後だ」
 ヨセフが時間を指さす。
 「チャンスよ」
 氷見がうなづく。
 こんなチャンスはないだろう。フリンが愛人なら塚本はくるだろう。なんでそう思うのかわからないが
女のカンだ。
 「国連事務所に行って手配しよう」
 ヨセフは言った。

 ラスベガスは昔も今もギャンブルの街で核攻撃を受けなかった幸運な街だ。その代わり入れるのは
国の許可証を持った者だけ。だからいるのは観光客と金持ちだけ。終戦後は核攻撃を受けた街から人々
が避難してきたが断り街の砂漠に追いやられた。
 駐車場に大型トラックが止まっている。荷台に氷見、ジェル、リック、ヨセフ、バージル、ドールがいた。
 荷台に入ってくる黒人。
 「感謝するよ。エリオット」
 ヨセフは笑みを浮かべる。
 「その気になった奇遇な女性ハンターがいると聞いたから来たんだ」
 エリオットと呼ばれた黒人は口を開く。あごひげを生やし、顔にはブラックジャックのような大きな傷跡がある。
 「どういう関係ですか?」
 リックがたずねた。
 「俺か?特殊部隊とCIAで博士のパワードスーツにはお世話になったんだ。塚本のは攻撃重視で
生存性無視。チビデブの性格が出ている代物だった」
 どこか遠い目をするエリオット。
 黙ったままのドールとバージル。
 「俺はこのロボットを知っている。さんざん捕まえるのに手こずった。空母エスペランサーと無人ステルス機だ。
その時は最強の兵器で、動かす人員もロボットで攻撃はレールガン、無人機。スカイネットも真っ青の
ロボット兵器。こっちは仲間をたくさん失った」
 にらむエリオットとバージル。
「ここは協力しましょ。私達は依頼を受けて日本からここに来たの」
強い口調でわりこむ氷見。
「そのつもりだ。これが許可証。そこのロボットは警備ロボットとして会場に入れるように手配した」
エリオットは許可証を氷見達に渡した。
ドレス姿のジェル、氷見。タキシードのヨセフとリック。
警備の腕章をつけたロボット二体。
四人はセキュリティレーンを通り、許可証を受付で見せて内部に入る。エントランスを抜けると部屋には
カジノ台が四〇台並び、スロットマシーンも一〇〇台並ぶ大きなカジノ場だ。
「カジノもラスベガスも初めてだ」
リックがつぶやく。
「私も初めて」
氷見はリックと腕を組んだ。
不満そうな顔でジェルはヨセフと腕を組む。
「三十三番テーブルにフリンと塚本がいます。どうやら本物です」
バージルが無線にわりこむ。
「警備ロボット二体。戦闘ロボットを三体連れてきています」
ドールが報告する。
足早に三十三番テーブルに近づくリック達。
金髪美女とたわむれるデブがいる。タキシードを着ているが太りすぎで首はなく相撲力士体型の体。
その太鼓腹はシャツからはみでており、丸坊主で顔はブルドックに似ている。体重は一五〇キロ以上
はありそう。膝にも負担はかかるだろうからイスにいつも座っているようだ。
「本当に最悪ね」
顔が引いているジェル。
「昔より太ったな」
ため息をつくヨセフ。
「本当にチビデブね」
納得する氷見。
あだ名の由来がわかった気がする。身長は一五〇センチ位だろう。はちきれんばかりの贅肉と太鼓腹。
まったく運動しなさそうだし、一日六食は食べていそうだ。
ポーカーを楽しんでいた塚本は顔を上げた。彼はトランプをテーブルに置くと電気車椅子のレバーを押した。
ヨセフ博士に近づいた。
「やあ、ヨセフ博士。おひさしぶりです」
塚本は頭を下げた。
「昔よりだいぶ太ったな。ワシはおまえのような弟子はとっくの昔に破門した」
ヨセフは目を吊り上げた。
「僕ちゃんの発明があったから博士の研究は進んだ」
笑みが消える塚本。
「僕ちゃん・・・」
絶句するリック。
「おまえはワシの研究を模倣したにすぎない。科学を悪用してたくさんの人々が死んだ」
ヨセフは塚本の胸ぐらをつかむ。
「僕ちゃんは楽しんだだけ・・」
もがく塚本。
戦闘ロボットの一体が近づき腕を伸ばした。その時であるバージルがそのロボットの腕
をつかんだのは。
 塚本を放すヨセフ。
 氷見はヨセフを引っ張った。
 警備ロボット二体とバージルが動いた。三体がパッと何度も交差して着地した。警備ロボットの二体が
振り向く。突然、頭部が爆発して倒れた。
 口笛を吹く塚本。
 部屋に入ってくる一〇体の四足歩行ロボット。ライオン位の大きさがある。
 場内にいたお客達がどよめいた。
 ドールとバージルが顔を見合わせた。
 バージルとドールが瞬時に動いた。腕から出た短剣で四足歩行ロボットの首や頭部を切り裂き、
突き刺しながら駆け抜け振り向く。
 二体のロボットの足元に四速歩行ロボットの残骸が散らばっている。
 戦闘ロボット二体がマシンガンを連射。
 お客達が悲鳴を上げて逃げ出した。
 バージルはジグザグに間隙を縫うように駆け抜け、ドールは壁や台を蹴り、宙を舞いながら撃つ。
戦闘ロボットは頭部を吹き飛ばされて倒れた。
 「ロジャース・メイスン・塚本勉。債権者が金返せって言っているけど」
 身構える氷見。
 「おまえら債権者か!!」
 声を荒げる塚本。
 「逃げ場はありません」
 バージルが近づく。
 塚本はパラポラアンテナを出した。せつな稲妻をともなった青色の光線が放射される。
 突然、頭を抱えて苦しむバージルとドール。
 「ぐああああ!!」
 バージルとドールは顔を歪ませ、苦しげな呼吸音が聞こえ、二人は胸を押さえた。二人が
装着していたアーマーが外れる。
 「電磁砲だ」
 塚本の使う装置に気づくヨセフ。
 氷見とリックは蹴りを入れた。しかし電気車椅子の周囲には電磁バリアがあるようで二人の
蹴りは弾かれ感電した。
 フリンの鋭い蹴りを受け流すジェル。
 車椅子から四足歩行の機械の足が出てその足でバージルを踏みつけた。
 「バージル。いや空母エスペランサー。よくも裏切って投降したな。僕ちゃんは失望したよ」
 塚本はドールを別の義手でつかんで力を入れる。
 くぐくもった声を上げてもがくドール。
 車椅子から義手が飛び出し、バージルをつかみ長剣で突き刺した。
 「ぐはっ!!」
 バージルの口から青色の潤滑油が吹き出し胸の傷口から同じような潤滑油がしたたり落ちた。
 「ぐうう・・・」
バージルはもがきのけぞった。
 「おまえの主体コアは空母本体にある。したがってダメージは痛みと苦しみとなって送信されている。
国連に監視されているおまえは何もできないんだ。僕ちゃんがそういう風にプログラムしたんだ」
 悪魔のような笑みを浮かべる塚本。
 「空母本体にある限りおまえは苦しみ続けるんだ。自己修復機能も開発してプログラムしたから
損傷はすぐ治る」
 塚本はバージルを何度も刺した。傷口をえぐりながら笑う。
 「空母自体に可塑性もあるからすぐ損傷は治るんだ。空母とおまえを切り離す事はできない」
 塚本はニヤニヤ笑った。せつな義手が切断され風を感じた。
 見るとリックが短剣で義手を切断して駆け抜け、ドールとバージルが地面に落ちる前に猛スピードで
つかんで別の台に寝かせた。
 「脱出だ!!」
 塚本は叫んだ。
 「そんなことさせますか」
 氷見は銃を抜いた。
 弾丸はフリンの長剣に弾かれた。彼女は塚本の車椅子に乗っかると天井が落ち、飛行物体が
現われ吊り上げた。

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